通知・通達

消防危第28号 複数の取扱形態を有する一般取扱所に関する運用について (平成10年3月16日)

消防危第28号
平成10年3月16日


各都道府県消防主管部長
  殿



消防庁危険物規制課長     

複数の取扱形態を有する一般取扱所に関する運用について
(通知)


 一般取扱所のうち、その取扱形態を類型化することができるものは、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号。以下「令」という。)第19条第2項に基づき同条第1項の基準の特例が定められているが、同条第2項各号のうち1の号の取扱形態を有し、かつ、それ以外の取扱形態も有する一般取扱所については、当該一般取扱所が同条第2項各号の取扱形態に適合しないこととなるため、従前より同条第1項の位置、構造及び設備の基準によりその設置がなされてきたところである。
 これらの一般取扱所の中には、同条第2項の基準の特例が適用された一般取扱所に比べ、複数の取扱形態が組み合わされることにより危険性が増大するおそれがないものが含まれており、かかる一般取扱所については、同条第2項の基準の特例(第4号及び第5号に係るものを除く。)と同様、室内に当該一般取扱所を設置することとして差し支えないものと考えられる。
 このことをふまえ、同条第1項の基準について令第23条を適用し、同条第2項各号に掲げられた取扱形態のうち複数の取扱形態を有する一般取扱所を室内に設置する場合の運用について、別紙のとおり、「複数の取扱形態を有する一般取扱所に関する運用指針」を定めたので、執務上の参考とされたい。
 なお、当該指針に掲げられた取扱形態の一般取扱所以外にも、一定の安全性を有すると判断される一般取扱所について、市町村長等が令第23条を適用することにより、同条第2項の基準の特例(第4号及び第5号に係るものを除く。)と同様の条件により、室内に当該一般取扱所を設置することが否定されるものではないことを念のため申し添える。
 おって、貴管下市町村に対してもこの旨示達され、よろしく御指導願いたい。

別紙

   複数の取扱形態を有する一般取扱所に関する運用指針

1 (1)アからキまでに掲げる危険物の取扱形態のみを複数有する一般取扱所であって、(2)及び(3)に適合し、かつ、2(1)から(12)までに掲げる位置、構造及び設備を満足するものには、令第23条を適用し、令第19条第1項において準用する令第9条第1項第1号、第2号及び第4号から第11号までの規定((1)オ及びカに掲げる取扱形態以外の取扱形態を有しない一般取扱所にあっては第18号及び第19号の規定を含む。)を適用しないことができるものであること。

 (1) 危険物の取扱形態
  ア 塗装、印刷又は塗布のために危険物(第二類の危険物又は第四類の危険物(特殊引火物を除く。)に限る。)を取り扱う形態
  イ 洗浄のために危険物(引火点が40度以上の第四類の危険物に限る。)を取り扱う形態
  ウ 焼入れ又は放電加工のために危険物(引火点が70度以上の第四類の危険物に限る。)を取り扱う形態
  エ ボイラー、バーナーその他これらに類する装置で危険物(引火点が40度以上の第四類の危険物に限る。)を消費する取扱形態
  オ 危険物を用いた油圧装置又は潤滑油循環装置(高引火点危険物のみを100度未満の温度で取り扱うものに限る。)としての危険物の取扱形態
  カ 切削油として危険物を用いた切削装置、研削装置又はこれらに類する装置(高引火点危険物のみを100度未満の温度で取り扱うものに限る。)としての危険物の取扱形態
  キ 危険物以外の物を加熱するため危険物(高引火点危険物に限る。)を用いた熱媒体油循環装置としての危険物の取扱形態

 (2) 建築物に設けられた一般取扱所であること。

 (3) 指定数量の倍数が30未満であること。

2 一般取扱所の位置、構造及び設備

 (1) 建築物の一般取扱所の用に供する部分は、地階を有しないものであること(1(1)エ及びオに掲げる危険物の取扱形態のみを有する場合を除く。)。

 (2) 建築物の一般取扱所の用に供する部分は、壁、柱、床及びはりを耐火構造とすること。

 (3) 建築物の一般取扱所の用に供する部分は、出入口以外の開口部を有しない厚さ70ミリメートル以上の鉄筋コンクリート造又はこれと同等以上の強度を有する構造の床又は壁で当該建築物の他の部分と区画されたものであること(1(1)オ及びカに掲げる危険物の取扱形態のみを有する場合を除く。)。

 (4) 建築物の一般取扱所の用に供する部分は、屋根(上階がある場合にあっては上階の床)を耐火構造とすること。ただし、1(1)ア又はイに掲げる危険物の取扱形態を有しない場合にあっては、屋根を不燃材料で造ることができるものであること。

 (5) 1(1)エに掲げる危険物の取扱形態を有する場合にあっては、危険物を取り扱うタンクの容量の総計を指定数量未満とすること。

 (6) 危険物を取り扱うタンク(容量が指定数量の5分の1未満のものを除く。)の周囲には、危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号。以下「規則」という。)第13条の3第2項第1号の規定の例による囲いを設けること。ただし、1(1)オ及びカに掲げる危険物の取扱形態のみを有する場合にあっては、建築物の一般取扱所の用に供する部分のしきいを高くすることにより囲いに代えることができる。

 (7) 建築物の一般取扱所の用に供する部分には、1(1)ウに掲げる危険物の取扱形態により取り扱われる危険物が危険な温度に達するまでに警報することができる装置を設けること。

 (8) 危険物を加熱する設備(1(1)イ又はキの危険物の取扱形態を有する設備に係るものに限る。)には、危険物の過熱を防止することができる装置を設けること。

 (9) 1(1)キの危険物の取扱形態を有する設備は、危険物の体積膨張による危険物の漏えいを防止することができる構造のものとすること。

 (10) 可燃性の蒸気又は微粉(霧状の危険物を含む。以下同じ。)を放散するおそれのある設備と火花又は高熱等を生ずる設備を併設しないこと。ただし、放散された可燃性の蒸気又は微紛が滞留するおそれがない場所に火花又は高熱等を生ずる設備を設置する場合はこの限りでない。

 (11) 規則第33条第1項第1号に該当する一般取扱所以外の一般取扱所には、規則第34条第2項第1号の規定の例により消火設備を設けること。ただし、第一種、第二種及び第三種の消火設備を当該一般取扱所に設けるときは、当該設備の放射能力範囲内の部分について第四種の消火設備を設けないことができること。

 (12) 規則第28条の55第2項第3号から第8号まで及び規則第28条の57第2項第2号の基準に適合するものであること。