通知・通達

消防危第36号 危険物をタンクコンテナに収納して屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所に貯蔵する場合の運用について(平成10年3月27日)

消防危第36号
平成10年3月27日


各都道府県消防主管部長
  殿



消防庁危険物規制課長     

危険物をタンクコンテナに収納して屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所に貯蔵する場合の運用について(通知


 荷積み待ち等により危険物を収納したタンクコンテナを一定の場所に相当期間とどめる場合については、「タンクコンテナによる危険物の仮貯蔵について」(平成4年6月18日付け消防危第52号消防庁危険物規制課長通知。以下「52号通知」という。)により運用願っているところである。
 近年、危険物のタンクコンテナによる輸送が増加する傾向にあるとともに、その輸送形態も多様化しているところであり、危険物をタンクコンテナに収納して貯蔵することについて、手続き等の簡素化及び合理化の観点から、仮貯蔵以外の方法によることが求められているところである。
 このことを踏まえ、今般、タンクコンテナの構造的安全性等に鑑み、一定の危険物をタンクコンテナに収納して屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所に貯蔵する場合の運用基準を下記のとおり定めたので通知する。
 なお、本運用基準と52号通知による基準のいずれを適用するかについては、貯蔵する危険物の種類、貯蔵期間等に応じ、申請者の選択によることができるものとする。
 また、貴管下市町村に対してもこの旨示達され、よろしく御指導願いたい。




第1 基本事項

 1 屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所において危険物を貯蔵する場合は、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号。以下「政令」という。)第26条第1項第2号又は第11号の規定により、危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号。以下「規則」という。)第39条の3に定めるところにより容器に収納して貯蔵することとされているところであるが、次の第2又は第3に示す方法により危険物をタンクコンテナに収納して屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所に貯蔵する場合は、タンクコンテナの構造的安全性等に鑑み火災の予防上安全であると認め、規則第39条の3第1項柱書き後段により当該貯蔵が認められるものであること。

 2 屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所において危険物を収納して貯蔵することができるタンクコンテナは、政令第15条第2項に規定する積載式移動タンク貯蔵所の基準のうち構造及び設備の技術上の基準に適合する移動貯蔵タンク及び「国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所の取扱いに関する運用基準について」(平成4年6月18日付け消防危第53号各都道府県消防主管部長あて消防庁危険物規制課長通知)に示す国際輸送用積載式移動タンク貯蔵所に積載するタンクコンテナとすること。

第2 危険物をタンクコンテナに収納して屋内貯蔵所に貯蔵する場合の基準

 1 位置、構造及び設備の基準

  (1) アルキルアルミニウム等以外の危険物の場合
    アルキルアルミニウム等(規則第6条の2の8に規定する「アルキルアルミニウム等」をいう。以下同じ。)以外の危険物(規則第16条の3に規定する「指定過酸化物」を除く。以下同じ。)をタンクコンテナに収納して貯蔵する場合の当該屋内貯蔵所の位置、構造及び設備の技術上の基準、消火設備の技術上の基準並びに警報設備の技術上の基準は、政令第10条(第6項を除く。)、第20条及び第21条の規定の例によること。

  (2) アルキルアルミニウム等の場合
   タンクコンテナに収納したアルキルアルミニウム等を貯蔵する屋内貯蔵所の位置、構造及び設備の技術上の基準、消火設備の技術上の基準並びに警報設備の技術上の基準は、政令第10条第1項(第8号及び第11号の2を除く。)、第6項、第20条(第1項第1号を除く。)及び第21条の規定の例によるほか、アルキルアルミニウム等の火災危険性及び適切な消火方法に鑑み、次によること(別図の[例示]参照)。
   ア 貯蔵倉庫の出入口には甲種防火戸を設け、外壁には窓を設けないこと。
     なお、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の甲種防火戸を設けること。
   イ アルキルアルミニウム等を収納したタンクコンテナは、架台を設けず直接床に置くこと。
   ウ 規則第16条の6第2項に定める漏えい範囲を局限化するための設備及び漏れたアルキルアルミニウム等を安全な場所に設けられた槽に導入することができる設備は、次によること。
    (ア) 槽は雨水等の浸入しない構造とし、貯蔵倉庫から槽までは暗きょで接続すること。
    (イ) 槽の容量は、容量が最大となるタンクコンテナの容量以上とすること。
    (ウ) 槽は出入口に面する場所以外の安全な場所に設けるとともに、槽の周囲には当該貯蔵倉庫が保有することとされる幅の空地を確保すること。
      ただし、槽と貯蔵倉庫を隣接して設置する場合の槽と貯蔵倉庫間の空地については、この限りでない。
    (エ) 貯蔵倉庫の床には傾斜をつけ、漏れたアルキルアルミニウム等を槽に導くための溝を設けること。
   エ タンクコンテナに収納したアルキルアルミニウム等を貯蔵する屋内貯蔵所で規則第33条第1項に該当するものにあっては、規則第33条第2項の規定にかかわらず、炭酸水素塩類等の消火粉末を放射する第四種の消火設備をその放射能力範囲が槽及び危険物を包含するように設けるとともに、以下の所要単位の数値に達する能力単位の数値の第五種の消火設備を設けること。
    (ア) 指定数量の倍数が最大となる1のタンクコンテナに収納した危険物の所要単位の数値
    (イ) 当該貯蔵所の建築物としての所要単位の数値

 2 貯蔵及び取扱いの基準
 危険物をタンクコンテナに収納して屋内貯蔵所に貯蔵する場合の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、政令第24条、第25条及び第26条(第1項第3号、第3号の2、第4号から第6号まで及び第7号から第12号までを除く。)の規定の例によるほか、次によること。
 この場合、「容器」を「タンクコンテナ」と読み替えるものとすること。

  (1) アルキルアルミニウム等以外の危険物の貯蔵及び取扱いの基準
    ア タンクコンテナに収納して屋内貯蔵所に貯蔵することができる危険物は、指定過酸化物以外の危険物とすること。
    イ 危険物をタンクコンテナに収納して貯蔵する場合は、貯蔵倉庫の1階部分で行うこと。
    ウ タンクコンテナと壁との間及びタンクコンテナ相互間には漏れ等の点検ができる間隔を保つこと。
    エ タンクコンテナの積み重ねは2段までとし、かつ、床面から上段のタンクコンテナ頂部までの高さは、6メートル未満とすること。
     なお、箱枠に収納されていないタンクコンテナは積み重ねないこと。
    オ タンクコンテナにあっては、危険物の払い出し及び受け入れは行わないこととし、マンホール、注入口、計量口、弁等は閉鎖しておくこと。
    カ タンクコンテナ及びその安全装置並びにその他の附属の配管は、さけめ、結合不良、極端な変形等による漏れが起こらないようにすること。
    キ タンクコンテナに収納した危険物と容器に収納した危険物を同一の貯蔵室において貯蔵する場合は、それぞれ取りまとめて貯蔵するとともに、相互に1メートル以上の間隔を保つこと。
     なお、当該タンクコンテナを積み重ねる場合は、当該タンクコンテナと容器との間に、床面から上段のタンクコンテナ頂部までの高さ以上の間隔を保つこと。

  (2) アルキルアルミニウム等の貯蔵及び取扱いの基準
    (1)のウ、オ及びカによるほか、次によること。
    ア アルキルアルミニウム等をタンクコンテナに収納して貯蔵する屋内貯蔵所においては、アルキルアルミニウム等以外の危険物を貯蔵し、又は取り扱わないこと。
     ただし、第四類の危険物のうちアルキルアルミニウム又はアルキルリチウムのいずれかを含有するものを貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。
    イ アルキルアルミニウム等を収納したタンクコンテナ(第四類の危険物のうちアルキルアルミニウム又はアルキルリチウムのいずれかを含有するものを同時に貯蔵する場合にあっては、当該タンクコンテナを含む。)の容量の総計は、指定数量の1,000倍以下とすること。v      ただし、開口部を有しない厚さ70ミリメートル以上の鉄筋コンクリート造又はこれと同等以上の強度を有する構造の壁で当該貯蔵所の他の部分と区画されたものにあっては、一区画ごとのタンクコンテナの容量の総計を指定数量の1,000倍以下とすること。
    ウ タンクコンテナは積み重ねないこと。
    エ タンクコンテナに収納したアルキルアルミニウム等と容器に収納したアルキルアルミニウム等は、同一の貯蔵所(イのただし書きの壁で完全に区画された室が2以上ある貯蔵所においては、同一の室)において貯蔵しないこと。
    オ 漏れたアルキルアルミニウム等を導入するための槽に滞水がないことを、1日1回以上確認すること。
      ただし、滞水を検知し警報することができる装置が設けられている場合はこの限りでない。
    カ アルキルアルミニウム等をタンクコンテナに収納して貯蔵する場合は、規則第40条の2の4第2項に規定する用具を備え付けておくこと。

第3 危険物をタンクコンテナに収納して屋外貯蔵所に貯蔵する場合の基準

 1 位置、構造及び設備に係る基準
  危険物(政令第2条第1項第7号に定める危険物に限る。以下同じ。)をタンクコンテナに収納して屋外貯蔵所に貯蔵する場合の当該屋外貯蔵所の位置、構造及び設備の技術上の基準、消火設備の技術上の基準並びに警報設備の技術上の基準は、政令第16条(第1項第4号及び第2項を除く。)、第20条及び第21条の規定の例によること。ただし、政令第16条第1項第3号のさく等の周囲に保有することとされる空地については、政令第23条を適用し、次に掲げる貯蔵形態に応じ各表に定める幅の空地とすることができること。

  (1) 高引火点危険物のみを貯蔵する場合
    次の表に掲げる区分に応じそれぞれ同表に定める幅の空地を保有すること。

区     分
空地の幅
指定数量の倍数が200以下の
屋外貯蔵所
3メートル
以上
指定数量の倍数が200を超える
屋外貯蔵所
5メートル
以上

  (2) (1)以外の場合
    次の表に掲げる区分に応じそれぞれ同表に定める幅の空地を保有すること。

区     分
空地の幅
指定数量の倍数が50以下の
屋外貯蔵所
3メートル
以上
指定数量の倍数が50を超え
200以下の屋外貯蔵所
6メートル
以上
指定数量の倍数が200を超える
屋外貯蔵所
10メートル
以上

  (3) タンクコンテナに収納した危険物と容器に収納した危険物を同一の貯蔵所において貯蔵する場合は、タンクコンテナに収納した危険物の倍数に応じ(1)若しくは(2)の規定により必要とされる幅の空地又は容器に収納した危険物の倍数に応じ政令第16条第1項第4号若しくは規則第24条の12第2項第2号の規定により必要とされる幅の空地のいずれか大なるものを保有すること。

 2 貯蔵及び取扱いの基準
   危険物をタンクコンテナに収納して屋外貯蔵所に貯蔵する場合の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、政令第24条、第25条及び第26条第1項(第1号、第1号の2、第6号の2、第11号及び第11号の3に限る。)の規定の例によるほか、次によること。
 この場合、「容器」を「タンクコンテナ」と読み替えるものとすること。

   (1) タンクコンテナ相互間には、漏れ等の点検ができる間隔を保つこと。

   (2) タンクコンテナの積み重ねは2段までとし、かつ、地盤面から上段のタンクコンテナ頂部までの高さは、6メートル未満とすること。
   なお、箱枠に収納されていないタンクコンテナは積み重ねないこと。

   (3) タンクコンテナにあっては、危険物の払い出し及び受け入れは行わないこととし、マンホール、注入口、計量口、弁等は閉鎖しておくこと。

   (4) タンクコンテナ及びその安全装置並びにその他の附属の配管は、さけめ、結合不良、極端な変形等による漏れが起こらないようにすること。

   (5) タンクコンテナに収納した危険物と容器に収納した危険物を同一の貯蔵所において貯蔵する場合は、それぞれ取りまとめて貯蔵するとともに、相互に1メートル以上の間隔を保つこと。
   なお、当該タンクコンテナを積み重ねる場合は、当該タンクコンテナと容器との間に、地盤面から上段のタンクコンテナ頂部までの高さ以上の間隔を保つこと。