通知・通達

消防危第90号 危険物規制事務に関する執務資料の送付について(平成10年10月13日)

消防危第90号
平成10年10月13日


各都道府県消防主管部長
  殿



消防庁危険物規制課長     

危険物規制事務に関する執務資料の送付について
(通知)


 危険物規制事務に関する執務資料を別紙のとおり送付するので、執務上の参考にされたい。
 また、貴管内の市町村に対してもこの旨周知され、危険物行政の運用に遺漏のないよう御配慮願いたい。
 なお、本資料中においては、法令名について次のとおり略称を用いたので承知されたい
 消防法(昭和23年法律第186号)...法
 消防法施行令(昭和36年政令第37号)...施行令
 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)...令
 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)...則
 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)...告示

別紙

1 製造所関係
(令8条の2関係)
問1 製造所に設置されている20号タンク(完成検査前検査済)を別の製造所に直接移設する場合において、当該タンクが現在まで適正に維持管理されていることを定期点検の記録等により確認することができ、かつ、移設先の製造所においてタンク本体の変更工事を伴うことがない場合は、既設のタンク検査済証を有効なものとして扱い、改めて完成検査前検査を行わなくてもよいか。
答 差し支えない。

2 屋外タンク貯蔵所関係
問2 「防油堤の漏えい防止措置等について」(平成10年3月20日付け消防危第32号)により防油堤の漏えい防止措置として、既設の鉄筋コンクリート製防油堤のおおむね20m以内ごとに伸縮目地を設けることとされているが、長さが20m以内である辺の防油堤については、伸縮目地を設けなくてよいか。
答 お見込みのとおり。

3 移動タンク貯蔵所関係
問3 複数の危険物を貯蔵し、又は取り扱う移動タンク貯蔵所(積載式移動タンク貯蔵所を除く。)において、その危険物のうち最も比重の小さいものを最大量貯蔵できるように(空間容積が5%以上10%以下の範囲に入るよう確保する。)タンクを製作した場合の許可申請について

 (1) 当該危険物より比重の大きな危険物を貯蔵する場合には、道路運送車両法上の最大積載量の観点から空間容積が10%を超えるタンク室(空室となる場合も含む。)が生じる場合があるが差し支えないか。

 (2) この場合、許可に係る指定数量の倍数は、指定数量の倍数が最大となる危険物の貯蔵形態について算定して差し支えないか。

 (3) 移動貯蔵タンクの側面枠及び接地角度計算において用いる貯蔵物重量は道路運送車両法の最大積載量を用いて差し支えないか。
答 (1)、(2)及び(3) 差し支えない。

4 給油取扱所関係
(令第17条第1項第12号関係)
問4 平成9年3月25日付け消防危第27号通知「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」問1の図3において、給油取扱所が面する道路が一般の交通の用に供され、かつ、自動車等の通行が可能な場合には、当該道路が袋小路であっても、「自動車等の出入りする側」として防火塀を設けなくてもよいこととされているが、次図に示すbg部分については同様に防火塀を設けないことが可能か。



答 図のbcfgで囲まれる部分が、現に道路としての形態を有し、一般の交通の用に供されており、自動車等の通行が可能な場合は、差し支えない。
(令第17条第1項第16号関係)
問5 屋外給油取扱所内のコインランドリー及び事務所において使用する燃料を貯蔵するLPGバルク貯槽(1t未満)が、次に掲げる事項を満足する場合には、給油取扱所の敷地内に設置してよいか。
  なお、圧縮機及び充てん用ポンプは設置しない。

 (1) LPGバルク貯槽及び附属設備(以下「LPGバルク貯槽等」という。)は、給油空地以外に設置すること。v
 (2) LPGバルク貯槽は、地下設置とすること。
   ただし、地下タンクの注入口から8メートル以上の離隔距離を確保できる場合には、地上に設置することができる。

 (3) LPGバルク貯槽等へ自動車等の衝突防止措置を講じること。

 (4) LPGバルク貯槽等に係るガス配管は、(1)によるほか自動車等が衝突するおそれのない場所に設置すること。

 (5) LPGタンクローリーの停車位置は、上記(1)、(2)(ただし書き以降)によることとし、その場所を明示すること。

 (6) 予防規程の中にLPGタンクローリーからの受入中の安全対策について定めること。
答 差し支えない。
(令第17条第1項第16号関係)
問6 給油取扱所のキャノピー上に、給油取扱所の業務と直接関係のない家電製品等の広告を設けてよいか。
答 給油取扱所の業務に支障のない範囲であれば認めて差し支えない。
(令第27条第6項第1号ヲ及び則第40条の3の6第3項関係)
問7 給油取扱所内に販売目的のタイヤを展示するガレージ(鉄骨鉄板製で、前面開口部に火災時に随時容易に閉鎖できるシャッターを設けたもの)を設置し、開放して展示販売してよいか。
  なお、当該ガレージ内では火気は取り扱わないものであり、給油行為等に支障のない場所に設置するものとする。
答 差し支えない。

5 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所関係
(則第40条の3の10第3号関係)
問8 コンビニエンスストアが併設されている給油取扱所において、制御卓が設置されている場所にレジを設置し監視者がレジ業務を兼ねることは、顧客自らによる給油作業等の監視・制御及び顧客に対する必要な指示が行えることが確保されていれば認めていよいか。
答 差し支えない。
(則第28条の2の5第6号ホ関係)
問9 放送機器の機能を有する既設の有線放送設備を顧客の給油作業等について必要な指示を行う放送機器として用いてよいか。なお、当該機器は、有線放送よりも指示の放送が優先されるものである。
答 差し支えない。

6 一般取扱所関係
(令20条第1項第1号及び則第33条第1項第1号関係)
問10 一般取扱所の用に供する部分以外の部分(以下、「他用途部分」という。)を有する建築物に設ける一般取扱所(火災のとき煙が充満するおそれがある場所に設けられるものに限る。)については、他用途部分との隔壁等が耐火構造で造られ、かつ、当該隔壁等に開口部を有しないものである場合を除き、建築物その他の工作物及び危険物を包含するように第二種又は移動式以外の第三種の消火設備を設ける必要があるとされているが、下記の一般取扱所については、政令第23条を適用し、当該消火設備を設けないこととしてよいか。

 (1) 設置場所
   地上12階地下2階の耐火構造の建築物の地下2階部分の室内

 (2) 取扱いの形態
   自家用発電設備により危険物(軽油)を消費する一般取扱所(令第19条第2項適用)

 (3) 消火設備
   全域放出方式の二酸化炭素消火設備及び一般取扱所の各部分から歩行距離が20m以下となるように第五種の消火設備(粉末消火器)を設ける。

 (4) その他
   一般取扱所が設置される建築物の室内の内装は不燃材料で仕上げられるとともに、一般取扱所に設置される設備等は、電気配線の被覆材等必要最小限のものを除き、不燃材料で構成されている。また、当該一般取扱所には、必要最小限のものを除き、可燃物が存置等されないよう管理がなされる。
答 差し支えない。

7 運搬容器関係
(則第39条の3関係)
問11 次に掲げる動植物油を収納するための多層フィルムをパウチした容器(スタンディングパウチ)は、告示第68条の2の2第3号に規定する「耐油性の容器」に該当するか。

 (1) 各部の材質及び厚さ(図参照)
  ① 側面v    ・材質:ポリエステル/エバール/ナイロン/ポリエチレン(ポリエチレン側が内側)の順で積層された四層フィルム
  ② 底面材
   ・材質:ナイロン/エバール/ポリエチレン(ポリエチレン側が内側)の順で積層された三層フィルム

 (2) 強度
   最大容積の荷重状態において1.2mの高さからコンクリート床に落下させる試験において内容物が漏えいしないものである。
   なお、当該落下試験は、「危険物規制事務に関する執務資料の送付について」(平成2年10月31日付け消防危第105号)中、告示第68条の2の2関係において回答されている「耐油性の容器」のうち、「板紙箱(内側プラスチック袋付き)」、「板紙箱(プラスチック加工紙製)」に課せられているものと同一である。



答 差し支えない

8 その他
(法第11条第1項関係)
問12 地下タンク貯蔵所及び移動タンク貯蔵所の配管等は残し、タンクのみを取り替える場合は、変更許可として扱うべきか、それとも当該施設を廃止のうえ、新たに設置許可として扱うべきか。
答 変更許可とされたい。
(令第8条の2関係)
問13 設置予定の製造所等に埋設する地下貯蔵タンクの完成検査前検査(水圧検査)申請が、当該製造所等の所有者から当該製造所等の設置許可申請の前になされた場合、当該完成検査前検査申請を受付け、検査を実施してもよいか。
答 差し支えない。
(令第8条の2第3項関係)
問14 廃止された危険物施設に埋設されている鋼製強化プラスチック製二重殻タンクを他の場所の危険物施設に埋設し再利用する際の完成検査前検査の取扱いについて

 (1) 当該タンクは、内殻の鋼製タンクを強化プラスチック製の外殻が覆う構造となっているため、貯蔵タンク自体からの危険物の漏れの可能性は非常に少なく、また、水圧検査を行う際、外殻を取り外すことが困難であるため、次による検査を行うことで完成検査前検査としてよろしいか。
  ・検査方法
    「地下タンク及び地下埋設配管の定期点検の指導指針について」昭和62年3月31日付け消防危第23号(一部改正平成8年2月22日)に基づく定期点検実施方法のうち加圧試験(水加圧)を実施し、異常のないことを確認する。ただし、試験圧力は70kPaとする。

 (2) 上記(1)と同様な場合で、当該地下タンクを他の市町村へ移設する場合はどうか。
答 (1) 差し支えない。(タンク検査済証に検査方法を記載すること。)

  (2) 当該地下貯蔵タンクの移設先の市町村長等において判断すること。
    なお、当該地下タンクの移設先の市町村長等が他の市町村長等による(1)の検査の実施を認めた場合には、タンク検査済証に試験結果記録等を添付すること。また、当該タンクに係る事務処理が円滑に行えるよう双方の市町村長等において調整を図られたい。
(則第2条第2号関係)
問15 強化プラスチック製二重殻タンクの、鏡板が半球形である場合、鏡部分の容積算出にあたっては、則第2条第2号イの横置きの円筒型タンクに関する近似計算法を使用せず、以下の体積計算法を用いて計算して差し支えないか。
 半球状の鏡部分の容積Vの算出
   V=(3/4× πr3)× 1/2
   r:円筒の半径、鏡出


答 差し支えない。