通知・通達

消防職員の惨事ストレス対策に係る緊急時メンタルサポートチームの創設等について

平成15年5月27日
消防消第104号

各都道府県消防防災主管部長 殿

消防庁消防課長

消防職員の惨事ストレス対策に係る緊急時メンタルサポートチームの創設等について(通知)

消防職員は、惨事ストレス(凄惨な災害現場等で受ける強い精神的ショックのこと)を受けることにより、職務遂行に影響を及ぼすおそれがあることが、近年、指摘されています。
そこで、消防庁では、精神科医や心理学の専門家等から構成される「消防職員の現場活動に係るストレス対策研究会(座長:丸山晋淑徳大学社会学部教授)」において惨事ストレスの実態と対策の在り方を研究し、先般、その結果を報告書として取りまとめ、都道府県をはじめ、各消防関係機関に送付したところです。
今般、消防庁としては、報告書の提言を踏まえ、惨事ストレスが危惧される大規模災害や特殊災害等の発生に際し、現地の消防本部へ精神科医や臨床心理士等を派遣する「緊急時メンタルサポートチーム」を創設し、別紙の要綱を定め、本年4月1日より施行していますので御了知されるとともに、都道府県をはじめ、各消防関係機関におきましても、報告書を参考に的確な惨事ストレス対策に取り組まれるようお願いいたします。
この旨、貴都道府県内の市町村及び消防本部に対し周知されるようお願いいたします。


緊急時メンタルサポートチーム派遣要綱

(目的)

第1条 この要綱は、大規模災害、特殊災害等が発生した場合において、現地の消防本部の惨事ストレス対策を支援するため、消防庁が行う緊急時メンタルサポートチームの派遣に関して、必要な事項を定めることを目的とする。

(緊急時メンタルサポートチーム)

第2条 緊急時メンタルサポートチームは、派遣対象とする災害等の事案の性格、規模等に応じて、消防庁があらかじめ登録した精神科医、臨床心理士等に要請して、編成するものとする。
2 前項の登録は、消防職員の惨事ストレス対策に協力の意思を有する精神科医、臨床心理士等の任意の申し出に基づき、消防庁消防課長(以下「消防課長」という。)が行うものとする。

(登録簿の管理及び写しの送付)

第3条 消防課長は、前条の規定により登録した者を記載した登録簿を作成し、これを適正に管理するものとする。
2 消防課長は、全国の消防本部に対して、必要に応じ、前項の登録簿の写しを送付することができる。

(派遣の決定)

第4条 消防課長は、消防職員への強い心理的影響が危惧される大規模災害、特殊災害又は多数の死傷者を生じた災害等の発生を覚知した場合は、発災地の消防本部に対して、緊急時メンタルサポートチームの派遣希望の要否を打診するものとする。
2 前項の打診を受けた消防本部が、緊急時メンタルサポートチームの派遣を希望する場合においては、消防課長は、緊急時メンタルサポートチームの派遣を決定するものとする。
3 前2項の規定にかかわらず、発災地の消防本部から派遣の要請があり、かつ、消防課長が必要があると認めるときは、消防課長は、緊急時メンタルサポートチームの派遣を決定することができる。

(協力要請)

第5条 消防課長は、前条により緊急時メンタルサポートチームの派遣を決定した場合は、必要となる派遣人数や消防本部の所在地等を勘案し、第2条により登録された者に対して、発災地における対応について協力を要請するものとする。

(派遣先における活動)

第6条 前条の規定に基づく消防課長の協力の要請を承諾した者は、派遣先として指定された消防本部に赴き、当該消防本部と密接な連携を図りつつ、次に掲げる活動を行うものとする。

(1) 任意に参加を希望する消防職員を対象とした惨事ストレスの緩和並びに急性ストレス障害及び外傷後ストレス障害の発生予防、軽減等を目的とするグループミーティングの進行
(2) 前号のグループミーティングの結果等に基づき、消防本部を対象として行う配意すべき事項の助言及び情報の提供
(3) 前2号に掲げるもののほか、消防課長が必要と認める活動

2 緊急時メンタルサポートチームの活動は、消防職員個人に対する診療に及ばないものとする。
3 緊急時メンタルサポートチームとして派遣された者は、第1項の活動により知り得た秘密を漏らしてはならない。

(経費)

第7条 緊急時メンタルサポートチームの派遣に要する経費は、消防庁が負担するものとする。ただし、派遣を受けた消防本部との協議により、別異の取扱いをすることを妨げない。

(庶務)

第8条 緊急時メンタルサポートチームの派遣に関する庶務は、消防庁消防課において処理する。

(雑則)

第9条 この要綱に定めるもののほか、緊急時メンタルサポートチームの派遣に関し必要な事項は、消防課長が定めるものとする。

附則

(施行期日)
1 この要綱は、平成15年4月1日から施行する。