令和7年版 消防白書

2.環境規制を踏まえた泡消火薬剤の排出抑制について

泡消火設備は、駐車場や危険物施設等において用いられている消火設備である。しかしながら、一部の泡消火薬剤に用いられている有機フッ素化合物の一種であるPFOS、PFOA等が、難分解性、生物蓄積性、毒性及び長距離移動性を有する残留性有機汚染物質から人の健康及び環境を保護することを目的とした「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs*7条約)において、製造及び使用の廃絶・制限等の対象となっている。
これを受け、我が国においても、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)等により、その製造、輸入等が原則として禁止されるとともに、業として泡消火薬剤等を取り扱う際には、厳格な管理や保管容器への表示等の義務が課されている。なお、現在、我が国において、一部の泡消火薬剤に用いられている有機フッ素化合物のうち、規制の対象となっているのはPFOS等*8、PFOA等*9、PFOA関連物質*10、PFHxS等*11であり、規制対象物質は順次拡大されてきた。
消防庁としては、PFOS等含有泡消火薬剤を保有する消防機関に対して、令和4年度末までに全て廃棄する更新計画の策定を依頼し、その更新に要する経費については令和2年度から令和4年度まで特別交付税措置を講じてきた。また、関係省庁やメーカー団体等と連携し、上記法令の周知徹底を図るとともに、令和3年5月に泡消火設備の点検基準を改正し、泡放射によらない方法により点検を実施することを認める等の排出抑制を推進するための対策を講じた。さらに、このような状況を踏まえ、駐車場等において設置を義務付けている泡消火設備の技術基準について検討を進めてきたところであり、令和6年度の「消防用設備等の設置・維持のあり方に関する検討部会」において、PFOS等を含有しない泡消火薬剤の普及に向け、駐車場の泡消火設備として必要な性能を確保しつつ、PFOS等を含有しない泡消火薬剤への切替えに当たって、配管、ポンプ等の泡消火設備全体の大規模な改修を不要とするなど、設置者の負担をなるべく小さくできるよう、技術的な要件を整理したところである。

*7 POPs:Persistent OrganicPollutants(残留性有機汚染物質)の略称である。
*8 PFOS等:ペルフルオロオクタンスルホン酸又はその塩
*9 PFOA等:ペルフルオロオクタン酸若しくはその異性体又はこれらの塩
*10 PFOA関連物質:ペルフルオロオクタン酸関連物質
*11 PFHxS等:ペルフルオロヘキサンスルホン酸若しくはその異性体又はこれらの塩