通知・通達

消防危第81号 共同住宅等の燃料供給施設に関する運用上の指針について

消防危第81号
平成15年8月6日


各都道府県消防主管部長 殿


消防庁危険物保安室長
               



共同住宅等の燃料供給施設に関する運用上の指針について



 共同住宅等における燃料供給施設については、従前より「配管による灯油の供給施設に関する運用基準について」(昭和44年11月26日付け消防予第269号)により運用をお願いしているところですが、今般、新たな供給方式の開発・普及が見込まれること等を踏まえ、下記のとおり運用上の指針を定めました。
 つきましては、本通知による運用にご配慮いただくとともに、貴都道府県内の市町村に対してもこの旨周知されるようお願いします。
 なお、本通知中においては、法令名等について次のとおり略称を用いましたのでご承知願います。

消防法(昭和23年法律第186号) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号) ・・・・・・・・・・・
危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号) ・・・・・・・・・












第1  共同住宅等における燃料供給施設に関する消防法令の適用等
 共同住宅(一部に貸事務所・店舗を有するものも含む。)、学校、ホテル等(以下「共同住宅等」という。)に灯油又は重油(以下「灯油等」という。)を供給する燃料タンクを設け、これから各戸又は各教室に設けられている燃焼機器に配管によって灯油等を供給する施設(以下「共同住宅等の燃料供給施設」という。)については、下表に掲げる区分に応じ、それぞれ同表に掲げる法令が適用されること。

区分 消防法令の適用
専用タンク、中継タンク、戸別タンク及び配管その他の設備 専用タンクの容量が指定数量以上である場合は燃料供給施設として一の一般取扱所として法第3章が適用
燃焼機器等 法第9条に基づき市町村の火災予防条例が適用
冷暖房用等のボイラー 危険物の取扱最大数量が指定数量以上である場合は、燃料供給施設とは別の一般取扱所として法第3章が適用。指定数量未満である場合は燃料供給施設の一般取扱所に含めて一の一般取扱所として法第3章が適用
*表中の用語の定義については、次のとおり。
「専用タンク」 灯油等の燃料を貯蔵する主たる燃料タンクであって、当該一般取扱所専用に使用するタンク。ただし、表中の冷暖房用等のボイラーに限り別の配管により専用タンクに接続することができること。
「中継タンク」 専用タンクと戸別タンクとの間に中継のために設けられるタンク
「戸別タンク」 専用タンクから各戸の燃焼機器までの間に設けられるタンクのうち最も燃焼機器に近いタンク。
「供給配管等」 専用タンク、中継タンク、戸別タンクの間を接続する配管、専用タンクに設けられるポンプ設備等
「燃焼機器等」 戸別タンクの払出配管から燃焼機器(室内の冷暖房、温湯の供給等をする機器をいう。)までの部分

第2  一般取扱所となる共同住宅等の燃料供給施設に関する運用
 1  燃料供給施設の位置、構造及び設備に関する事項
 燃料供給施設のうち、別紙1に掲げる要件に適合するものにあっては、一般取扱所として次により運用して差し支えないこと。
(1)  令第19条第1項において準用される令第9条の規定のうち、同条第1項第1号、第2号、第4号から第16号まで及び第18号から第20号までについては、令第23条を適用し、当該規定を適用しないこととして差し支えないこと。
(2)  一般取扱所としての許可に係る部分は、建築物全体ではなく、危険物の取扱いに係る専用タンク、中継タンク、戸別タンク及び供給配管等の部分に限ることができること。なお、専用タンクに別の配管を接続して冷暖房用等のボイラーを設ける場合にあっては、第1の表中の取扱いによること。
 危険物取扱者に関する事項
 危険物施設となる共同住宅等の燃料供給施設においては、法第13条第3項の規定に従って危険物の取扱いを行う必要があること。
(1)  専用タンクに危険物を荷卸しする場合は、荷卸しする移動タンク貯蔵所の危険物取扱者と一般取扱所の危険物取扱者の双方が立ち会う必要があること。
(2)  通常の燃料消費に伴う危険物の取扱いについても、危険物取扱者による取扱い等が必要であるが、次のいずれかにより運用することとして差し支えないこと。この場合において、当該施設における監視・制御等の方法、これに係る人員・組織等について、あらかじめ明確化されていること(別紙1)。
   危険物取扱者の資格を有する共同住宅等の管理人等が監視・制御等を行う方式(数棟を一括管理している場合を含む。)
   共同住宅等が管理会社、燃料の販売店等に業務を外部委託し、当該管理会社、販売店等の危険物取扱者が監視・制御等を行う方式(ウに掲げる場合を除く。)。この場合において、当該危険物取扱者は、監視・制御等を行う共同住宅等において、異常がないことを1日1回以上確認すること。
   電話回線等を活用して、戸別タンクへの灯油等の供給に関する監視・制御等を当該施設の所在する場所と異なる場所において行う方式
 なお、危険物の取扱い状況を監視することはできるが、遠隔制御することができない方式にあっては、漏えい等の異常を検知した場合に即応できる体制を構築する必要があること。
 また監視・制御等が当該施設の所在する市町村の区域外において行われるときには、当該施設が設置される区域を管轄する市町村長等は、当該施設の監視・制御等をする施設の設置される区域を管轄する市町村長(消防本部及び消防署を置く市町村以外の区域に設置される場合には、当該区域を管轄する都道府県知事)と必要に応じ情報交換等を行う必要があること。
第3  運用上の留意事項
 本通知の発出に伴い、別紙2に掲げる従前の通知等を廃止する。ただし、現に存する共同住宅等の燃料供給施設については、なお従前の例によることとして差し支えないこと。