平成29年版 消防白書

[ガス災害対策]

1.ガス災害の現況と最近の動向

(1)事故の発生件数

平成28年中に発生した都市ガス及び液化石油ガス(LPG)の漏えい事故又は爆発・火災事故のうち消防機関が出動したもの(以下「ガス事故」という。)の総件数は873件である。このうち、平成28年熊本地震によるガス事故は59件である。
以降、事故件数については、平成28年熊本地震によるものを除いた件数を用いる。
平成28年熊本地震によるものを除いた件数は814件と前年に比べ122件の増加となっている。
これをガスの種類別にみると、都市ガスによるものが442件、液化石油ガスによるものが372件となっている。(第1-8-2図)

第1-8-2図 ガス事故の態様別発生件数

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第1-8-2図 ガス事故の態様別発生件数

(備考)
1 「都市ガス、液化石油ガス及び毒劇物等による事故状況」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

ア ガス事故の態様別発生件数
ガス事故の発生件数を態様別にみると、漏えい事故が74.0%、爆発・火災事故が26.0%である。これをガスの種類別にみると、都市ガスでは88.2%が漏えい事故、11.8%が爆発・火災事故であるのに対し、液化石油ガスでは57.0%が漏えい事故、43.0%が爆発・火災事故となっている(第1-8-2図)。

イ ガス事故の発生場所別件数
ガス事故の発生件数を発生場所別にみると、消費先におけるものが71.4%、ガス導管におけるものが25.4%となっている(第1-8-3図)。

第1-8-3図 ガス事故の発生場所別件数

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第1-8-3図 ガス事故の発生場所別件数

(備考)
1 「都市ガス、液化石油ガス及び毒劇物等による事故状況」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

また、当該消費先におけるガス事故の発生件数を発生原因別にみると、元栓(コック)の誤操作・火の立ち消え等、消費者に係るものが53.9%、ガス事業者等に係るものが13.3%となっている。

(2)ガス事故による死傷者数

平成28年中に発生したガス事故(自損行為によるものを含む。)による死者数は6人、負傷者数は165人である。死者数は、都市ガスによるものが0人、液化石油ガスによるものが6人となっており、負傷者数は、都市ガスによるものが32人、液化石油ガスによるものが133人となっている。
死傷者を事故の態様別にみると、死者数は爆発・火災事故によるものが66.7%となっており、負傷者数は爆発・火災事故によるものが85.5%となっている(第1-8-4図)。

第1-8-4図 ガス事故による態様別死傷者数

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第1-8-4図 ガス事故による態様別死傷者数

(備考)
1 「都市ガス、液化石油ガス及び毒劇物等による事故状況」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(3)自損行為によるガス事故

平成28年中に発生したガス事故のうち、自損行為に起因する事故は、ガス事故全体の3.7%に当たる30件で、これらの事故による死者数は3人(死者全体の50.0%)、負傷者数は16人(負傷者全体の9.7%)となっている。

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