令和4年版 消防白書

6.最近の石油コンビナート等における災害対策

(1)石油コンビナート等における災害防止対策検討関係省庁連絡会議

石油コンビナート保安の所管省庁である消防庁、厚生労働省、経済産業省で定期的に連絡会議を開催している。
当該会議は、事故に関する情報交換、政策動向の共有、事業者の災害防止に向けた取組の推進、災害発生時の連携した対応などを目的としており、石油コンビナートにおける災害防止に向けて省庁の垣根を越えて連携し、事故防止への取組を進めるとともに、インターネット上で事故情報等を発信している。
令和3年度は、「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン」を改訂し、都道府県、消防本部、事業所に周知した。このガイドラインは、平成31年3月に公表されたもので、コンビナート等の石油精製、化学工業等のプラントにおいてドローンを活用し、プラントの保安力向上や労働災害撲滅を目的にしたものである。2度目となる今回の改訂は、ドローン活用の安全性向上、航空法改正への対応を目的としている。
今回の改訂により、プラント保安分野におけるドローン活用の更なる促進が期待されている。
(石油コンビナート等災害防止3省連絡会議3省共同運営サイト:
https://www.fdma.go.jp/relocation/neuter/topics/fieldList4_16.html

(2)石油コンビナート等の地震・津波対策

南海トラフ地震や首都直下地震による被害の発生が懸念されることから、東日本大震災の被害の状況を踏まえ、防災アセスメント指針、自衛防災組織等の防災活動の手引きの改訂を行うなど、石油コンビナート等における防災体制の充実強化を図っている。

(3)石油コンビナート等における自衛防災組織の技能コンテスト

消防庁では、特定事業所における自衛防災組織等の防災要員の技能及び士気の向上を図ることを目的とした「石油コンビナート等における自衛防災組織の技能コンテスト」を開催している。
当該コンテストは、11月5日の「津波防災の日」の前後に、大規模タンク火災への泡放射を想定した訓練をいかに安全・確実・迅速に行うかを競うもので、優秀な成績を収めた自衛防災組織等に総務大臣表彰及び消防庁長官表彰を授与している。

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石油コンビナート等における自衛防災組織の技能コンテストポスター
石油コンビナート等における自衛防災組織の
技能コンテストポスター

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石油コンビナート等における自衛防災組織の技能コンテスト表彰式
石油コンビナート等における自衛防災組織の
技能コンテスト表彰式

(4)石油コンビナート災害対応への先進技術活用検討会の開催

消防庁では、近年向上しているAI・IoT等の技術(以下「先進技術」という。)を石油コンビナート災害対応へ活用するため、令和元年度から「石油コンビナート災害対応への先進技術活用検討会」を開催し、調査・検討を進めてきた。行政機関、事業所における課題、ニーズ、先進技術の導入・活用状況、検討会における委員の意見を踏まえ、令和3年度には先進技術を11項目に集約し、具体的に検証を行ってきた。
令和4年度は、これらの検討結果を報告書としてとりまとめた。