令和4年版 消防白書

3.研究成果をより広く役立てるために

消防研究センターでは、研究開発によって得られた成果がより広く利活用されるように次の活動を行っている。

(1)一般公開

毎年4月の「科学技術週間」にあわせて、消防研究センターを一般公開し、実験施設等の公開、展示や実演を通じ研究開発等の紹介を行っている。令和4年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、令和3年度に引き続きホームページ上で動画を用いて研究内容を分かりやすく紹介するオンライン開催とした。令和3年度よりも期間を4日間延ばして11日間にするとともに項目数も10増やして33としたところ、一般公開ページへのアクセス数は令和3年度の約2,000件を上回り約3,800件となった。

(2)全国消防技術者会議

全国の消防の技術者が消防防災の科学技術に関する調査研究、技術開発等の成果を発表するとともに、他の発表者や聴講者と討論を行う場として、昭和28年(1953年)から「全国消防技術者会議」を毎年度開催している。69回目となる令和3年度の会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、令和2年度に引き続きオンライン開催とした。令和2年度は1日のみの開催であったが、令和3年度は2日間(11月25日及び26日)での開催とし、発表数を11件から32件に増やしたところ、参加申込者数は令和2年度の約1,000人を大きく上回り約3,300人となった。
会議では、特別講演、「令和3年度消防防災科学技術賞」の受賞作品の発表及び一般発表を行った。

(3)消防防災研究講演会

消防研究センターの研究成果の発表及び消防関係者、消防防災分野の技術者・研究者等との意見交換のため、平成9年度(1997年度)から「消防防災研究講演会」を毎年度開催している。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ中止したが、令和3年度は全国消防技術者会議にあわせてオンラインにより11月26日に第24回消防防災研究講演会「土砂災害における救助活動」を開催し、これまでの研究成果、得られた知見及び課題について議論した。

(4)調査技術会議

消防研究センターでは、消防本部が行った火災及び危険物流出等事故に関する調査事例や、最新の調査技術を互いに発表する「調査技術会議」を開催している。この会議は、調査技術や調査結果の行政反映方策に関する情報を共有して、消防本部の火災調査及び危険物流出等事故調査に関する実務能力を全国的に向上させることを目的としており、会議で発表された調査事例は、年度末に取りまとめて消防本部に配布し、情報共有を図っている。令和3年度は、東京、名古屋、仙台、札幌、神戸、熊本の6都市で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、札幌以外の会場での開催を中止した。実施会場では、火災事例発表が6件、危険物流出等事故事例発表が1件行われた。中止となった5会場の発表要旨は、参加予定であった消防本部に配布した。

(5)消防防災科学技術賞

消防防災科学技術の高度化と消防防災活動の活性化に資することを目的として、消防職団員や一般の方による消防防災機器等の開発・改良及び消防防災科学に関する論文並びに消防職員による原因調査事例報告のうち、特に優れたものを消防庁長官が表彰する制度を平成9年度(1997年度)から実施している。
令和3年度は87編の応募があり、選考委員会による選考の結果、26編の受賞作品(優秀賞23編、奨励賞3編)が決定され、11月25日に表彰式を実施するとともに、同日の全国消防技術者会議の中で受賞作品の発表が行われた。

(6)施設見学

消防研究センターの実験施設や研究成果等の見学は、令和3年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、主に消防大学校入校者に限定して実施し、計460人を受け入れた。

(7)消防防災等に関する研究開発等動画の配信

令和3年度から、一般公開及び全国消防技術者会議において配信した動画の多くについてイベント終了後に、消防研究センターホームページにおける配信を開始した。