令和7年版 消防白書

2.林野火災発生時の対応

林野火災は、ひとたび発生すると、貴重な森林資源を大量に焼失するばかりでなく、家屋等に被害が及び、市町村境、都府県境を越えて拡大することもあるため、覚知後速やかな消火対応が重要となっている。

(1)林野火災の消火活動のあり方

消防庁では、検討会報告書の内容を踏まえて、林野火災の予防及び消火活動に関する通知について、消火活動に関しては主に以下の事項を新たに盛り込む改正を行った(「林野火災の予防及び消火活動について(通知)」の改正について(令和7年8月29日消防災第130号、消防広第299号、消防予第376号、消防特第157号))。
・長期ローテーションでの消火活動のための交代要員を考慮した速やかな消防力の判断
・都道府県内応援部隊の調整を行う消防本部を有する市町村長による火災状況の把握、消防の応援に関する助言・調整を行うなどの積極的な支援
・林野火災に係る応援要請基準の各消防本部の受援計画での明確化
・平時からの消防機関、都道府県及び自衛隊による災害時の円滑な要請と活動のための関係強化
・具体的な災害現場に即した隊員の安全管理の徹底及び早期の長期ローテーションの確立による隊員の活動時間の組織的管理
・消防防災ヘリコプターと自衛隊ヘリコプターの間での活動区域と役割分担の適切な実施
・地元を熟知した地元消防本部及び消防団と都道府県内応援部隊や緊急消防援助隊との密な情報共有、連携強化
・残火処理などの散水場所が限定された場面における消火薬剤の活用
市町村では、これらの内容も踏まえ、林野火災の消火活動において早期消火・延焼拡大防止の観点から、迅速な応急対応や資源の集中的投入等が求められる。

(2)空中消火の実施状況

林野火災発生時におけるヘリコプターによる情報収集と空中消火は、広域応援や地上の消火活動との連携による迅速かつ効果的な消火活動を実施するために欠かせない消防戦術であり、道県や消防機関が保有する消防防災ヘリコプターや都道府県知事からの要請を受けて派遣される自衛隊ヘリコプターにより実施されている。過去10年間の空中消火の実施状況は、第1-4-1図のとおりである。

第1-4-1図 空中消火の実施状況

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

第1-4-1図 空中消火の実施状況

 (備考)「特殊災害対策の現況」により作成


(3)空中消火に係る広域応援・体制の整備

消防庁では、都道府県及び消防機関に対し、以下のとおり空中消火を積極的に活用するよう要請している。
〔1〕市町村長は、林野火災を覚知した場合、当該都道府県内の消防防災航空隊へ速やかに第一報を入れ、当該航空隊が出動に備えた消火資機材の装着や準備を早期に行えるようにすること。
〔2〕市町村長は、延焼拡大の危険性、陸上消防部隊の燃焼地点への接近の困難性、人命や家屋への被害拡大の危険性等から、ヘリコプターによる空中消火活動が必要と判断した場合は、当該都道府県内の消防防災ヘリコプターの出動要請を速やかに行うとともに、火災規模等に応じて、消防組織法(昭和22年法律第226号)第39条に基づく消防相互応援協定による出動要請、さらに、同法第44条に基づく大規模特殊災害時における広域航空消防応援によるヘリコプターの出動要請を都道府県知事に求めること。
〔3〕都道府県知事は、消防防災ヘリコプターだけでは消火が困難と判断し、又は困難と見込まれる場合には、時機を逸することなく、自衛隊ヘリコプターの派遣要請を行う等、速やかに災害拡大防止策を講ずること。市町村長は、都道府県知事による当該要請が行えるよう、災害の状況を踏まえ、都道府県知事に対して、迅速的確に要請の求めを行うこと。また、自衛隊が正式な派遣要請を受理した後、速やかに消火活動を実施できるよう、林野火災を覚知した時点から適宜情報提供を行う等、自衛隊と緊密な連携を図ること。

(4)林野火災用消防施設等の整備

消防庁では、林野火災による被害を軽減するため、林野火災用消防施設等(防火水槽(林野分)及び救助活動等拠点施設等(林野火災用活動拠点広場))の整備を促進し、消防防災施設整備費補助金交付要綱の定めるところにより、経費の一部について助成を行っている。