令和7年版 消防白書

4.消防大学校における教育訓練及び技術的援助

消防大学校は、消防職団員等に幹部として必要な高度な教育訓練を行うとともに、全国の消防学校の教育訓練に必要な技術的援助を行っている。

(1)教育訓練の実施状況

令和6年度は、年間に12学科20回と9実務講習12回、計32回を実施し、1,427人が卒業した。
卒業生数は、創設以来、令和6年度までで延べ7万842人となった。
また、令和7年度の定員は、令和6年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症等の感染対策として施設のゾーニング(下記イで後述)等を行うため、コロナ禍以前に比べ約16.7%減の1,596人とした(資料2-4-1)。

ア 社会情勢の変化に伴う教育訓練内容の充実

各課程の教育訓練内容(授業科目)については、社会情勢の変化に伴う新しい課題に対応するため、各学科等の目的に応じて、ハラスメント対策、メンタルヘルス、惨事ストレス対策、CRM(CrewResourceManagement)、危機管理、広報、訴訟対応、LGBTQ及び定年引上げといった消防本部が直面する課題に関する講義を取り入れている。
また、情報システムを活用した火災時指揮シミュレーションや、大規模地震の際の受援シミュレーションなどの訓練、実火災体験型訓練施設を活用した実火災に近い環境下での消防活動訓練(ホットトレーニング)や土砂に埋もれた模擬家屋を活用した土砂災害対応訓練を実施するとともに、消防用ドローンに関する講義や安全管理等に関する講義を設けるなど、カリキュラムの充実を図っている。
上記のカリキュラムの中で、問題認識、論理的思考及び表現力等、指導者として必要なプレゼンテーション能力の向上を図るための課題研究発表や、訓練企画力、安全管理能力、検証力及び指導能力の向上を図るために学生が主体となって企画した訓練を実施する機会を設けるなどしている。
そのほか、女性消防吏員の研修機会拡大のため、各学科の定員の5%を女性の優先枠としているほか、キャリア形成の支援等を目的とした実務講習である女性活躍推進コースを実施している。
教育手段としては、一部の課程において、オンデマンド式のeラーニングによる事前学習、ライブ形式によるリモート授業を取り入れ、現場の活動への影響等を考慮し入寮期間を短縮するなど効率性を考慮している。

イ 消防大学校における新型コロナウイルス感染症等の感染対策

入寮期間中は、感染状況に応じ教職員及び学生の検温・体調確認、マスク着用、消毒、換気等を行うほか、座学講義では講師と学生の距離の確保、衝立の活用、寮生活における学科ごとのゾーニング(学科を越えた感染の抑制)等により接触を減らす等の感染防止対策を講じている。
令和7年度は、食堂の座席や入浴時間の制限等を緩和しつつ、引き続き前述の感染防止対策を行っている。

(2)施設・設備

高度な教育訓練を行う施設として、様々な災害現場を模擬体験して指揮能力を向上させる災害対応訓練室、火災現場同様の環境変化を体験する実火災体験型訓練施設、木造密集地域など活動困難地域等を想定した街区形成集合住宅型ユニット等を設けている。
また、実践的な訓練を行うため、指揮隊車、消防ポンプ自動車、救助工作車、特殊災害車、高規格救急自動車等の訓練用車両も保有している。
女性受講者のため、人数に応じて寄宿舎において女性専用エリア(居室、浴室、トイレ、更衣室、談話室)を定めることにしている。

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実火災体験型訓練(ホットトレーニング)

実火災体験型訓練(ホットトレーニング)

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実火災体験型訓練(危険物火災)

実火災体験型訓練(危険物火災)

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多数傷病者対応訓練

多数傷病者対応訓練

(3)消防学校に対する技術的援助

消防学校に対しては、新任消防長・学校長科、新任教官科及び現任教官科において、教育技法の修得をはじめとした教育指導者養成を行っているほか、消防学校の教育内容の充実のため、要請により消防大学校から講師の派遣を行い、令和6年度は、42の消防学校に延べ126回の講師派遣を実施した。
また、消防学校において初任者用に使用する教科書を編集するとともに、専門分野の知識・技術が担保された講師等の確保に資するよう、消防大学校卒業生名簿及び講師情報等を提供している。