審議会

消防審議会議事要旨

  1. 日時
    平成16年12月21日(火)15時30分~17時00分
  2. 場所
    都市センターホテル 5階「スバル」
  3. 出席者
    委員
    菅原会長、浅野委員、井上委員、大河内委員、小川委員、重川委員、島崎委員、徳田委員、白谷委員、桝本委員、山脇委員
    消防庁
    消防庁長官以下17名
    関係省庁等
    独立行政法人消防研究所事務局長、京都市消防局長、新潟市消防局長
  4. 次第
    • (1) 開会
    • (2) 議事
      • 「消防力の整備指針に関する答申(案)」について
    • (3) その他
    • (4)  閉会
  5. 会議経過
    事務局による答申(案)の説明の後、質疑応答及び意見交換が行われた。主なものについては、次のとおり
    • ○改正の趣旨には大いに賛同する。大規模災害への対応については、通常の備えの充実とともに、大規模な自然災害に対応するために消防力の強化を図ることが、住民の安心、安全を確保する上でますます重要になってきていると考える。消防団については、平常時から地域における防火・防災のリーダーとなって大いに活躍されており、大規模災害時においても重要な役割を担っている。今回の指針で、必要な消防団員の基準が明示され、消防団が果たすべき役割の重要性が、より一層明確にされたことは大変意義深い。
      今後は、今回の改正趣旨である地域の自主性の強化、特殊災害や大規模災害への的確な対応が確実に図られるよう具体的な細部の規定について十分な検討を進めていただきたい。
    • ○病院間の転搬送で、医師あるいは看護師が同乗している場合に救急隊員を現行の3人から2人にするということによる救急需要対策は、それなりに成果は上がると考えているが、医療機関への負担だけではなく、消防機関での勤務体制やトリアージ体制等、消防の方での企業努力もお願いしたい。
      災害時の指揮体制だが、災害時はいろいろな業種間、全体での連携というものが非常に重要だと思う。厚生労働省や防衛庁等の省庁との連携や話し合いを持っていただき、全体的な災害への取り組みの中での消防という位置づけをきっちりしてもらった方がいいのではないかと思っている。
      →災害時は、消防だけではなく、他の機関との連携や全体の中での消防の位置づけというのは大変重要だと考えている。そうした観点を具体的な指標として消防力の基準に入れるのは難しいところがあるが、考え方として盛り込めないか、検討したいと思う。
    • ○兼務に関して、活動不能に陥る損耗率は明確になっているのか。例えば不幸にして現場で消防隊員が負傷する、活動不能に陥った場合、どのぐらいでその組織は活動不能に陥ったと認定をし、応急の増援部隊がそれにかわるのかということです。その辺が明確になっているかどうか。
      指揮業務ついて、例えば米軍や自衛隊の場合は、部隊の規模によってそれが組織として定められ、人員が配置され、役割分担が行われている。そういった知識や発想があるのかどうかをお伺いしたい。例えば歩兵連隊、自衛隊で言うと普通科連隊では、S1、S2、S3、S4と、四つに指揮機能が分かれており、これが連隊長のもとにある。S1は人事、総務、その他すべて、S2は情報、調査研究、S3が作戦、オペレーションの担当、S4がロジステックス、補給、兵站、支援である。これがもっと大きな単位になると、今の1、2、3、4が全部G1からG4という呼び方になり、もっと人員も増える。さらに大きくなるとG5が加わる。5番目は教育訓練を受け持つ。こうして組織としての役割分担を行っている。第一線の部隊では、一定の割合ごとに指揮を行う部隊が存在する。そういった基準を設けながら指揮業務というものについての編成が進められていく必要があるのかないのか。
      →兼務に関して、活動不能に陥る損耗率は明確になっているのか。例えば不幸にして現場で消防隊員が負傷する、活動不能に陥った場合、どのぐらいでその組織は活動不能に陥ったと認定をし、応急の増援部隊がそれにかわるのかということです。その辺が明確になっているかどうか。
      指揮業務ついて、例えば米軍や自衛隊の場合は、部隊の規模によってそれが組織として定められ、人員が配置され、役割分担が行われている。そういった知識や発想があるのかどうかをお伺いしたい。例えば歩兵連隊、自衛隊で言うと普通科連隊では、S1、S2、S3、S4と、四つに指揮機能が分かれており、これが連隊長のもとにある。S1は人事、総務、その他すべて、S2は情報、調査研究、S3が作戦、オペレーションの担当、S4がロジステックス、補給、兵站、支援である。これがもっと大きな単位になると、今の1、2、3、4が全部G1からG4という呼び方になり、もっと人員も増える。さらに大きくなるとG5が加わる。5番目は教育訓練を受け持つ。こうして組織としての役割分担を行っている。第一線の部隊では、一定の割合ごとに指揮を行う部隊が存在する。そういった基準を設けながら指揮業務というものについての編成が進められていく必要があるのかないのか。
      →先ほど委員からご意見のあった救急の搭乗人員の関係だが、救急搬送については、全国で、平成15年中、483万件あり、うち転搬送が44万件、全体の約10%弱ある。今回の制度改正で一定の効果は大都市部を中心にあろうかと思う。しかし、委員御指摘のように、これのみでは当然効果も限られるため、救急需要全般に対する対応も考えてまいる。
      救急需要に対する分析と、場合によっては適正利用を呼びかけることも必要ではないかと考えている。また、救急事案の中で発生予防をできる事案があるのではないかということで、事故が起こりやすい、あるいは熱中症等、気候によって発生しやすい事態に対して住民に呼びかけたり、起こりやすい場所については、施設管理者等々と情報を共有化する中で、事故が起こらないような環境をつくっていくということも関係省庁と連携して現在進めつつある。そのほか、民間の患者等搬送事業者の一層の活用、消防機関内での兼務体制の充実等、総合的な救急需要の対策というものをこれからも心がけていきたい。
    • ○予防救急は、これから非常に重要。安上がりで、効果がある。そういう意味で、教育、特に一般の方々への教育というものをぜひともこれから積極的に考えていただきたい。
    • ○消防団の基準の見直しや消防団の活性化を考えたときに、装備をもっと近代的すべきだと思う。消防本部との通信の確保もあるが、NBCに備えた資機材など、真っ先に現場に飛び込む人であるということを考えれば、そういう側面からの提案も必要ではないか。
      予防行政に関わることだが、指針での予防要員の基準あるいは予防業務の内容は、立入検査、消防同意、設備の設置検査や原因調査等々である。今から先のことを考えると、こういったことのほかに、予防業務の重要な柱の一つとして一般市民の防災教育や自主防災組織の育成など、市民や社会の防災力を上げるというところに、こういった方たちの力が求められているのではないか。防災教育や防災コミュニティー育成も考えたとき、予防要員数を少し増員するような形で考えられないか。
      それぞれの職務内容で兼務の概念を導入すべきという方向性は大賛成である。兼務の概念を導入したときに、実際に現場ですんなり受け入れられるような状況にあるのか、その辺の努力が要るという気がする。
      →現場で職務間の軋轢が出ているのではないかということは、御指摘のとおりだと思う。そういった中で、兼務を推進していく必要性があり、消防本部へのアンケートやご意見を何回もお聞きして、兼務について消防力の整備指針の中に盛り込むことによって推進していこう、専門的な知識を持っている業務以外の業務についての知識を持つことで、全体の消防力を上げることができる、などの意見をいただいた。
      予防の関係では、防火指導あるいは住宅防火などを含んだ業務が必要ということで、今回の兼務の部分は、そうした業務を主業務としてやっていだたく兼務と考えている。この答申の中に、今回の予防業務の兼務要員の業務内容は、防火指導あるいは住宅防火等であるということを盛り込む方向で検討したいと思う。
      消防団の装備については、大変重要だと考えており、消防本部と消防団の通信も大変重要だということで今回の指針に入れた。そのほかの装備についても、消防力の基準の中に資機材の関係を細かく入れるというのはなかなか難しいが、全体として消防団の装備を充実させていくという方向で検討したい。
    • ○「NBC災害対応資機材の基準」という言葉が使われているが、これを充実していくということは、消防隊員の生命にかかわる問題として極めて重要なことだと思う。ただ同時に、消防隊員の生命にかかわる問題について、政府全体としての取り組みを求めるということは、この審議会の仕事なのかという点はちょっと伺っておきたい。
      Nに当たる部分、特に放射性廃棄物の輸送の問題は消防庁だけではなくて政府全体で取り組んでいかなければいけない問題ですが、これについてどのように我々は考えたらいいのか。同じように、緊急サービスとしての消防の様々な機能について、重要インフラの保護というものが政府を挙げて明確になっていない限り、電気がとまっただけで、あるいは電話が使えなくなっただけで全部機能しなくなる。その点について政府全体にどのように問題提起をしていくのかということである。
      アメリカの場合、17の分野を重要インフラとして定義し、14の分野についてはそれぞれが情報を共有し分析するためのアイザックというセンターを持ち、その14のアイザックが集まって、民間側の窓口であるアイザック評議会というものがあり、それに対して政府の側では、国土安全保障省の中にNITC(国家インフラ保護センター)というものがあって、政府側の窓口になり、官と民で重要インフラを守ろうとする動きがある。
      先ほど軍隊とは違うというお話もあったが、軍事組織の機能というのは、究極の危機においてどう能力発揮するかということで考えられてきた機能であり、参考にすべき点は参考にしようというのが私の立場である。軍隊と消防は全く違うということは明らかであり、関係ない部分は捨てていけばいい。ただ、武力攻撃事態や大規模テロというものが目の前にある中では、参考にしなければいけない部分もあるのではということで申し上げた。
      →消防審議会の使命は、消防の基本問題について建議していただく、あるいはこちらから報告するということである。消防はもとより国民の安全のための機関である。非常に多岐にわたる話は、各省庁にまたがることは事実だが、すべてに消防分野というものが絡むと思う。消防審議会において各種議論、御建議いただくことで、その結果を各省庁に、問題意識をもってぶつけていくというふうな方向で取り組みたいと思う。
    • ○兼務については、全体的に無理なやりくりをしているような感じがする。現場の方は大変なのではないかと心配である。
      予防の資格制度は、消防署の職員向けで、消防団とは関係がないわけですね。消防団を充実していくことが大変必要であると思うが、指針によって市町村が何らかの努力をして、きちんと充実するものなのだろうかというのがちょっと疑問である。指針よりもうちょっと進んだアイデアのようなもので後押しをすることが必要ではないかと思う。
      →管轄人口が4万人未満の消防本部では、既に過半数が消防ポンプ自動車と救急自動車と兼務している。兼務がどんどん進んでいくと、住民の安全を守る観点から、いろいろ支障が出て消防力の低下を招いていく。今回、兼務について一定の基準を示すというのは、むしろ低下を招かないようにするという意味である。それぞれの地域で、過去3年間の救急事案の数、火災の発生件数を計算に入れ、これを検証していただいて、市町村自ら、判断していただければという考え方であり、余り無理なやりくりをしないようにという方向で考えていることを御理解いただきたい。
      消防団員の入団促進については、条例定数と消防団員の差があるところや合併に伴って消防団員が減るおそれのある地域について、直接市町村長あるいは都道府県の消防防災課長に働きかけ、理解をいただくということをやっている。そういった中で、実際に指標がないと増やすと言っても、どこまで増やしたらいいかわからない。必要だということは認識いただいているが、消防団の必要性を関係者に説明するときに、一定の指標が必要だという声が圧倒的に多かった。そういう意味で、この指標を活用することにより、市町村自ら消防団員を確保するのに役に立つのではないかというふうに考えている。
    • ○話を聞いていると、15万ほどしかいない消防吏員さんに負担がかかり過ぎているわけですね。消防団の指導者となる吏員さんが少ないわけです。
      予防についても、消防団には資格は関係ない、吏員さんさえ取ればよいという観念が間違っていると思う。田舎の方に行くと、一番必要なのは消防団の資格者ですよ。吏員と同じレベルの資格は必要ない。補佐の資格をやるとか、そういうものを与えて協力していただく。それによって、消防団員を減らさない一つの大きな力にする。そうしないと、どんどんどんどん減っていく。消防団の方は、少しでも役に立とうということでやっている。
      消防団員の資格について、検討を掘り下げるところは下げていただきたいと思う。
      →予防の資格者の問題ですが、消防吏員だけを対象にした試験とするのか、それとも一般の人も含めた、もっと幅広い方々も対象とするのかなど様々な意見がある。これについては、予防課の方でどのような設定が一番受け入れられるのか、また、予防に興味のある方をどのように引きつけるのかということを検討している。
    • ○大規模災害のときに自衛隊のヘリを使って搬送する場合、救急隊員が自衛隊のヘリに乗るということがあるのか。
      →大規模災害時は、関係機関が連携するシステムになっている。通常の場合は、それぞれの役割が明確になっているので、一緒にやる場合もそれぞれで業務分担するというケースが多い。しかし、災害の対応によっては、医療機関の医師等が乗り込む、あるいは、看護師等が足りない場合には救命士等がついていかなくてはけないというケースも当然ある。災害現場に応じて、お互いに協力しながらやるという体制になっている。自衛隊の場合は特に搬送の場合には、陸上で一たん集結場所まで救急車等で運び、それから自衛隊機で県外の大きな病院に搬送する等々の連携をとりながらやっている。
      →補足をさせていただく。自衛隊のヘリコプターを使って救急搬送する場合というのは、大規模災害のとき以外にも多々ある。救急隊は、専ら地上の救急搬送を行うというのが基本的な消防の役割で自衛隊ヘリによる搬送と連携をとっているというのが一般的なパターンである。
    • ○関東周辺で起きるであろう大規模災害のことを念頭に置いたのだが、ヘリポートまで運ぶものが救急車でなければいけないのかということはどうなんでしょうか。
      →大規模災害で搬送が大量に必要になる場合は、マイクロバス等を使うケースもある。この前提となるのは、災害時のトリアージで、災害現場において、重症か、中等症か、軽症か、傷病者の程度をお医者さん等により判断し、すぐに高次医療機関に運ばなくてはいけない傷病者はヘリで運び、軽症の場合は、テント等で第1次の手当てをした後、マイクロバス等救急車等でない搬送手段も活用して運ぶという形で任務を分け、それぞれが協力しながらやっていくということになる。
    • ○今の件だが、タクシーも介護用の車を持っているが利用されていない。緊急時の搬送用に使えるものは全国的にある。そういうものを使って、事なきを得るようにする方法もあるので、よく国土交通省とも話し合っていただきたいと思う。
    • ○指針の中身については基本的には結構だと思っている。いろいろな方が答申をお読みになると思うので、できるだけわかりやすく、理解が得られるようにしていただきたい。
      消防団員の基準についてお聞きしたい、消防団員の方も実際は火災予防などいろいろな面で活動しておられる。そういう要素についてはどう考えているのか。
      →火災予防の観点からの人員というものは、別途算定をしていないが、大規模災害のときには、消防団員の方の数が重要だという観点から、算定上はこの形にしている。消防団の方々が果たしていただいている任務、役割というものは消防力の基準の中に明記をしたいと考えている。
    • ○何か起こったときの動きは、システムとして、組織として、消防が恐らく一番いいと思う。大規模災害時、まず問題になるのは、医師、看護師、医療機関そのものがどういう形で、例えば東京都でその患者を全て処理し切れるのかというような問題もある。医師そのもの、あるいは医療機関そのものがだめになったときにどうするのというような問題もある。これに関しては、DMAT(ディーマット)(Disaster Medical Assistance Team)とJVMAT(Japan Voluntary Medical Assistance Team)、どちらも医師、看護師のある種ボランティアだが、これがチームを組んで、東京で起こったときは東京に応援に駆け、東京の医師も、例えば静岡県で何か起こったときには静岡県にチームとして行く。
      最重症の患者を受け入れて治療できる病院というのは、その県内あるいは県内周辺だけではなしに、全国的に患者をエバキュエーションというのですか、運ぼうというような形になる。それは病院がそれぞれ、うちは全国の救命センターで、重症は、やけどであれば何名受け入れられます、外傷であれば何名受け入れられます、神戸で問題になったクラッシュ症候群のようなものは何名受け入れられますというようなことは、一応全国的に決めている。ただ、全国的なシミュレーションは実はやっておりません、そういう形でやりますというのが厚生労働省の方のDMAT(ディーマット)の形で上がっているという段階である。起こったときにはそれなりに、こうした形で動ける体制にはなっているということである。
      東京に関しては、東京消防庁と、先ほど言いました東京のDMAT(ディーマット)が、合同訓練を行ったりはしている。ただ、それも県外に運んで、県外とコネクションをとりながらやるかとか、そういうところまではまだいっていない。自己完結型というのか、東京都で何かあったときに、東京都の中で処理するにはどういう形でやろうというような格好である。