審議会

地域総合防災力の充実方策に関する小委員会

第1回 議事概要

● 実施概要

日時:
2007年9月28日(金) 15:00~17:00
会場:
法曹会館 3階 富士の間
委員:
秋本小委員長、上田委員、小川委員、小林委員、髙梨委員、青山専門委員、金井専門委員、斉藤(仁)専門委員、斉藤(博)専門委員、重川専門委員、坪田専門委員、山﨑専門委員
消防庁:
消防庁長官以下16名

● 次第

  • 開会
  • 消防庁長官挨拶
  • 秋本小委員長挨拶
  • 委員の紹介
  • 議事
    • ・本小委員会の進め方等について
    • ・消防防災行政の概要について
    • ・常備消防の現状と課題について
    • ・消防団の現状と課題について
  • その他
  • 閉会

● 会議経過

事務局から議事事項の報告後、質疑応答及び意見交換が行われた。主なものは次のとおり。

  • ○ 中越沖地震時の柏崎刈羽原発での火災をケーススタディーとして、企業の自主防災組織等が地域の災害対策に役立つような自主防災体制の構築というところまで消防庁は視野を広げることは出来ないか。
    → 中越沖地震では反省すべき点は多数あった。東京電力の自主防災組織が機能しなかったのは消防全体の問題である。経産省保安院と連携して原発における火災防止について研究会を設けている。また、東京電力の自主防災組織を機能別消防団になってもらうという提案も行っている。
  • ○ 全国の市町村の中で消防団を設置していないところはあるのか。また、その理由はなにか。
    → ある。現在、大阪市と愛知県の西尾市の2市。どちらも水防団はある。また、最近の災害の状況を考えれば消防団は必要であり、両市に対して消防団の設置について相談している。
  • ○常備消防が充実していけば消防団は必要ないという声を聞く。ただ、いつ何時どんな災害が起こるかは全く予測しかねることだから消防団は置かないといけない。消防団の必要性を市民の皆様に認識していただくよう努力しなければならない。
  • ○ 総合的な防災力の向上を検討するにおいて、1つは、災害発生直後において一定の役割を担い、その意識を持った方々の存在が極めて重要である。2つめは、地域の中でそういった役割認識を持った人を育てることが重要である。
  • ○ 近年、高層マンション等において防犯に関してはセキュリティーが充実しているが、コミュニティーについては全く機能していない。消防にとって福祉関連の分野も重要になっており、福祉部との連携をしっかりしていく必要がある。
  • ○ 幾つかのパターンに分類してケーススタディーしていくのは有用であると思われる。また、最近CSRという言葉をよく聞くが、地域の中に企業が生きているということを知った方が良いと思う。
     また、市長村消防であるということは、基本的に人々の安心・安全が基礎自治体の仕事だということ。介護や防犯等を1つのユニットで考えていく方が役に立つと思う。中学校区単位くらいが1つのコミュニティーの基本単位として適当ではないか。
    → 災害の教訓、特に地域の人々が助け合った、よい事例あると思われる。そういった具体の事例情報を収集するよう努めたい。
  • ○ 消防団は地方公務員法上、非常勤公務員であるが、これだけ国際化した現状を考えれば、外国籍の方々を消防団から排除してよいのか法律的な制度の整理もしていってよいのではないか。また、消防組織と警察組織を見直す時期に来ているのではないか。
  • ○ 災害時において地域の防災力が非常に重要である。それぞれの地域事情を踏まえ、防災関係者と福祉関係者が連携をとり、普段からの訓練が重要である。また、放火の少ない地域は犯罪も少ない。火事とか防犯とかを1つに考えて地域の力となり、その中核が消防団だと思う。
  • ○ 地域の防災力を高める源となるのは地域の住民の力を高めること。その1つの方法として防災教育がある。また、企業については災害発生時の対応を計画しておかなければいけないし、社員の安全も担保することが重要である。
     常備消防の持つ消防力を越える災害が発生したとき、助けを求める相手は消防団の方々である。消防団員と常備消防が常に連携しあい、また、消防団員が地域の方々と連携を取っていく。こういった絡み合いが複雑になればなるほど、地域防災力は高まっていくのではないか。
  • ○ 近年、マンションの増加に伴いコミュニティーが取りにくくなってきている。消防少年団では子供を通じて、父兄を通じて、救命講習等を行っているが、地域のコミュニティーが難しくなってきているのを実感する。
  • ○ 消防団の7割が会社員ということもあり、会員事業所には消防団のPRをしているが、減少傾向に対し、歯止めをかけなければいけない。
     今後、地方分権が進めば、消防行政については大規模災害への対応など、地方分権と中央の政策を明確にしておかないとバラバラになってしまう。
    → 消防は自治体消防が原則である。市町村が消防の責任を負っているが、制度の企画立案等については消防庁が所管している。しかし、1市町村では対応出来ない大規模地震等の事案に対しては応援の仕組みは用意している。また、国家責任についても果たしていかなければいけない。
     一方、消防は自治体消防であることから、消防団がまさに地域に根ざした組織である。消防団がしっかり機能していくことにより地域のコミュニティーや基盤の充実になり、それが単に消防だけではなく、防犯、介護等の面でも非常に重要になってくると考える。
  • ○ 地域総合防災力といった場合、消防力も重要ではあるが、電気、ガス、介護、備蓄等そういうものを含めた地域の力が大事ではないか。
     県境を越えた自治体間の協力、人同士の協力が重要である。また、NGO,NPO団体やボランティアの方々の受け入れ体制の問題も考えていく必要がある。
     企業としても、災害に強く、ネットワークが出来ていて地域とうまく協力できるところに進出してくことになる。
  • ○ 消防の広域化に伴い、装備の充実等の長所部分もあるが、実際に災害が起きたとき、情報の伝達や指揮命令がうまく機能するのか、ソフト面が心配である。
     また、今まで地震火災が同時に発生すれば、危険物施設と市街地では市街地を優先に対応することになっているが、それが出来なくなってくる。それぞれの自主防災組織が充実しなければ総合防災力が発揮できない。