審議会

地域総合防災力の充実方策に関する小委員会

第2回 議事概要

● 実施概要

日時:
2007年12月26日(水) 10:00~12:00
会場:
法曹会館 2階 高砂の間
委員:
秋本小委員長、上田委員、小川委員、小林委員、髙梨委員、青山専門委員、金井専門委員、斉藤専門委員、石垣専門委員、坪田専門委員、吉田専門委員
オブザーバー:
消防審議会会長 吉井博明氏
(財)日本消防協会 国際部長 松元照仁氏
新潟県柏崎市松美町内会長 関矢 登氏
山形県鶴岡市田川地区自治振興会長 佐藤知也氏
消防庁:
消防庁長官以下13名

● 次第

  • 開会
  • 委員の紹介
  • 議事
    • ・自主防災組織について
    • ・青少年消防組織について
  • その他
  • 閉会

● 会議経過

事務局から議事事項の報告後、質疑応答及び意見交換が行われた。主なものは次のとおり。

  • ○ 自主防災組織をつくれば防火クラブが必要でないという声もある。自主防災組織をつくるときには、防火クラブをその中に入れてほしいとお願いしている。
  • ○ 消防団は、火災があれば消火活動にとりかからなければならない。災害時に消防団員がいなくて、組織が機能するかという問題がある。消防団のOBや消防職員の退職者に自主防災組織のリーダーとなって頂きたい。
  • ○ 現在、都会の住人同士の繋がりは希薄なものになっている。そういった地域の実態調査をする必要があるのではないか。また、集合住宅に入居の際に自治会や町内会への加入、防災活動への参加といったことを条件とするような法律の整備ができないのか。
    → 全国的に自主防災組織の訓練状況をまとめたデータはある。しかし、個々の地域での状況を把握したものはない。今後、個々の地域・団地・集合住宅での訓練状況をいくつか調査し、報告したい。
     自主防災組織にあっては住民の自主的な参加が前提となっており、集合住宅への入居を条件に自主防災組織へ参加してもらうといったことは、難しいと思われる。しかし、各自主防災組織で様々な取り組みがなされ、その事例について良いものを確認していきたい。
  • ○ 少年消防クラブについては消防職員の指導のもと活動しているが、消防団とのかかわりはあまりない。
     少年消防クラブ員にあっては制服を支給してはどうか。子供達の意識が高まるのではないか。東京では少年消防クラブ員はみんな同じ制服を着て活動を行い、避難訓練等のときは他の生徒の手本になっている。
     子供は小学校高学年になると退団していくが、中学生、高校生と続けて、消防団に入ってもらうことが私たちの希望。少年消防クラブに入っていればボランティア活動として認定するといったメリットが必要である。
  • ○ 少年消防クラブの登録人数が地域によって大きな差があるがこれはどうしてか。小学校、中学校の授業の中で消防、防災のことはどのようにとりあげられているのか。また、大都市における自主防災組織の対応について何か対策をとって頂きたい。
    → 愛知県と岐阜県が多い。愛知県についてはほとんど学校単位で組織され、小学校4年生になればほとんどの子供達が少年消防クラブに入る。また、年に一回は県の消防学校にて一日体験入隊のような取り組みを行っている。やはり県や市町村の姿勢が影響している。
     消防・防災の教育について国が携わったものは現在ない。しかし、住民の自主参加の場において防災教育がなされている例が見られる。地方公共団体からの要望で、文科省に対し防災教育をカリキュラムに入れてほしいという声もある。
     大規模災害時の対応について、法律では定まってはいないが、アクションプランを打ち出している。今後それが実際に機能するよう取り組んでいく必要がある。
  • ○ 地域ということを考えるとボーイスカウト等の組織と消防を結びつけることも重要ではないか。また地域の日頃の付き合い、コミュニティーの絆を強めるためにどのような取り組みを行っているのか。
    → 火災や水害を含めた災害に対応するよう町づくりを地域の役員総動員でやっている。また、学校教育の中において防災訓練に取り組んでいくことが重要である。
    → 地域を挙げて祭りや文化祭のようなものを学校、地域一体となって行っている。この良さをどう壊さず持ち続けるかが課題。
  • ○ ドイツとの決定的な違いはボランティアに対する意識が歴史的に違っている。さらにボランティアの育成に行政もかかわっているところが特徴的である。日本では、専門の消防に任せれば大丈夫という意識となっている。どうやって住民参加意識を持ってもらうのかが課題。
     また、防災活動に熱心だが、自主防災組織に組み込まれていない団体もある。こうした組織も含め、全体で評価することが地域総合防災力という観点ではないか。
  • ○ 自主防災組織の結成率を高めることだけにとらわれるのではなく、原点となる防災組織とはどういうものか、見つめ直す必要がある。
     幼年消防クラブと少年消防クラブをどうして区別するのか。東京では幼年期から社会人までトータルで防災教育を考えている。
  • ○ 教育と防災と福祉というのは1つのものである。小学校区単位でコミュニティーをつくり、それぞれの自治基本条例をつくり、「自分たちの町は自分たちで守る」ということつくりあげなければいけない。
  • ○ 地震を通じての経験であるが、防災組織でなくとも地域で何らかの組織やコミュニティーをつくっておけば、いろいろなことに対応できる。
     消防団が不足している状況であるが、企業等に勤めている団員の方々から、活動時に会社を抜け出すのはやりにくいとの声がある。それがネックになって、なかなか団員になれないということもある。
  • ○ 普段からコミュニティーを作り上げておくことは重要であるが、大都市にあってはなかなか難しい。しかし、福祉や環境の問題を通しての団体、また、スポーツ等を通しての団体が機能集団として連携を深め、それぞれの組織の力を防災という観点でうまく引き出す仕組みが必要になってくる。
     防災に関する研修会はやっているが、地域の防災リーダーに育て上げる仕組みが今は十分ではない。こうしたリーダーが、様々な団体を連携する核となってくれることを期待する。