消防審議会議事要旨
-
- 日時
- 平成20年2月15日(金)14:00~16:00
-
- 場所
- 全国都市会館 2階「Aホール」
-
- 出席者
-
- 委員
- 秋本委員、上田委員、大河内委員、小川委員、小林委員、善養寺委員、髙梨委員、吉井委員
- 消防庁
- 消防庁長官以下19名
- 幹事
- 長野市消防局長、名古屋市消防局長、関係省庁
-
- 次第
- (1) 開会
- (2) 議事
- 審議事項
「大規模地震に備えた当面の消防防災対策のあり方に関する答申について」
- 報告事項
- ・「今後の救急業務のあり方について」
- ・「カラオケボックス及び温泉汲み上げ施設における安全対策について」
- 審議事項
- (3) 閉会
-
- 会議経過
-
消防庁による諮問事項の説明の後、質疑応答及び意見交換が行われた。主なものについては次のとおり。
- ○危険物施設での流出等の事故に関しての報告は義務化されているが、調査権がないということか。
→事故概要という形で報告はされているが、事故調査についての十分な権限が付与されていない。 - ○救急医療や医療過疎等の対策としてブロックごとに病院の診療科目、医師、受け入れ可能数等をIT化により自動表示してはどうか。
- ○救急の問題は、救急搬送というより救急医療機関側の問題だとみんな思っている。最近の医療機関側との連携についてどうなっているのか。
→救急医療体制については、メディカルコントロール(MC)協議会において消防機関と医療機関が話し合い、連携の強化に努めている。今後も医療体制を所管している厚生労働省に対し問題解決に向け、強く働きかけていきたい。 - ○かつて、救急救命士の資格を持っている者が、医療機関との連携の仕組みが確立していないために活動できないということがあったが、現在はどうなっているのか。
→幾つかの消防本部の指令センターにおいて医師が常駐して、指示を行っている。それ以外の地域においても、医師と携帯電話等で連絡を取れる体制を築いている。
しかし、地域により活動の濃淡がある。今後はMC協議会において、全体の底上げを図る必要がある。 - ○病院の空きベッド数等の状況を自動的にIT表示することは可能でないか。また、情報が表示されるだけでなく、一定のエリア内で各救急車の現在の状況や病院の状況に対し、人為的に判断でき、交渉できるような仕組みも必要ではないか。
→現行の救急医療システムでは、県単位で医療機関の情報を集めて、診療科目や空きベッド数を表示はできる。また、大都市の司令センターでは救急車両の動向をGPSで把握している。直近の医療機関で対応できればいいが、実際は救急隊と医師との間で傷病者に関する受け入れのための情報の連絡が必要である。
医療機関の選定が困難になれば、司令センターに委ねることになり、さらに広域で探すことになる。 - ○重症、中等症、軽症という区分けはどのような基準か。例えば、喘息の傷病者にあっては、放置すれば重傷となるが、医療機関で処置を行えば、入院する必要はない。このような場合は軽症となるのか。
→入院後に病状が変更することもあるが、病院到着後の医師の判断となる。
→軽症と判断されても搬送の必要がないということではない。そのままの状態が継続すれば生命の危険が有る場合は、当然搬送する。 - ○病院の受け入れ状況を表示する救急医療システムについてだが、空きベッド数や診療可能科目等を病院サイドで入力するようになっている。消防機関も積極的に医療サイドの方へ入力率を高めるように働きかけを行うことも必要。
- ○搬送しなくてもいいケース、トリアージで最大限需要を減らせる事案はどのくらいあるのか。トリアージをきちんと行えばもっと減らせる事案があるのか、それとも減らすのはもともと難しいのか。その判断が分からない。
→救急車の適正利用の基準について、東京消防庁ではMC協議会で議論し、「だれが見ても、これは救急車で搬送する必要がない」というレベルの基準を設けた。 - ○救急医療ではなく、ごく普通の医療機関が身近にあれば救急を取り巻く状況が変わってくるのではないか。また、医療制度のあり方を議論するときに、消防側の意見をよく聞いてもらいたい。
→昨年の奈良の事案をきっかけとして、昨年12月に消防機関と救急機関で連携する作業部会を設置した。厚生労働省からも参加いただき、情報交換も密になってきている。 - ○ヘリ搬送については普段から取り組んでいなければ、うまくいかない。普段からある程度、ヘリ搬送を行う必要がある。
また、救急医療システムについては表示される情報はリアルタイムではない。普段から広域システムを作り上げる必要がある。
救急搬送のトリアージについては現場で安定化処置を行えば病院搬送する必要はなく、さらに減少するのでは。また、病院の搬送車や福祉関係の搬送車を利用することにより、救急車の需要が減少するのではないか。
→普段から救急医療システムを活用出来るよう取り組んで行く。また、福祉施設や病院間の搬送というは救急車を使わずに工夫していく必要がある。 - ○温泉汲み上げ施設について、事故が起こるまで可燃性ガスの危険性に気づかなかったのか。
→水溶性天然ガスについては南関東エリアに広域に存在している。しかし、一般の事業者にはそうした情報が伝わっていなかったと考えられる。 - ○カラオケボックスへの自動火災報知設備の義務付けについて、複合カフェとは記載されているが、風俗営業店は既に義務付けされているのか。
→新宿歌舞伎町の火災事故以来、自動火災報知設備の設置については、強化を行ってきた。
カラオケボックスの火災原因の約半数はコンロからの出火であり、こうした火気設備における安全対策が重要となってくる。また、防火管理面での対応についても強化を行っていく。 - ○実際の査察時には、指導はされているのか。
→今回のカラオケボックスは届け出がなかった施設であり、消防用設備や防火管理が全くなされていなかった。こうした消防が未把握の対象物を、限られた担当職員でどのように把握していくかは、関係部局との連携や情報共有を行い、合理化に努めていきたい。
- ○危険物施設での流出等の事故に関しての報告は義務化されているが、調査権がないということか。