審議会

消防防災分野における現下の諸課題への対応方策に関する答申

平成15年12月24日
消防審議会


 平成15年10月22日付けで諮問のあった「消防防災分野における現下の諸課題への対応方策」について別紙のとおり答申する。

平成15年12月24日

消防審議会会長 菅原 進一

消防庁長官 石井 一殿


別紙

消防防災分野における現下の諸課題への対応方策について

Ⅰ.基本的な考え方
 我が国の消防は、昭和23年に地域に密着した自治体消防として発足して以来、本年で55年が経過し、この間、関係者の努力の積み重ねにより、制度、施策、施設等の充実強化が図られ、火災の予防・消火はもとより、救急・救助から地震、風水害等への対応など、国民の安全・安心の確保に大きな役割を果たしてきた。
 特に、昨年及び本年において、社会情勢の変化や災害の多様化等に応じ、多くの重要な意義を有する制度改正がなされた。
 平成14年には、平成13年9月1日に発生した新宿区歌舞伎町ビル火災を踏まえ、違反是正の徹底、防火管理の徹底、避難・安全基準の強化を柱とする消防法の改正が行われた。
 さらに、自治体消防55周年を迎えた本年は、本審議会の答申(平成14年12月24日)等を踏まえ、大規模・特殊災害時における消防庁長官の出動の指示及びこれに伴う国による財政措置など全国的観点からの緊急対応体制の充実・強化等のための消防組織法の改正、国による主体的な火災原因調査、消防用設備等に係る技術基準における性能規定の導入等のための消防法の改正、救急救命士の処置範囲の拡大等の制度改正も行われたところである。
 しかしながら、本年は、宮城県北部地震や九州地方を襲った集中豪雨、台風10号や北海道十勝沖地震等の自然災害とともに、さらには我が国を代表する企業等の産業施設における災害など、多種多様な災害が発生した。
 こうした災害等に対処するため、本審議会は、以下のような現下の諸課題につき、その対応方策について鋭意検討することとしたものである。
  •  平成15年に入り、企業の製造拠点、石油コンビナート等特別防災区域内の事業所、ごみ固形化燃料(RDF)発電所等関係施設等において大規模な事故災害が続発しており、各企業における安全管理体制の再構築、資機材等の整備等が求められている。
  •  住宅火災による死者数は、最近は急増傾向にあり、今後高齢化の進展とともにさらに増加することが予想され、住宅用火災警報器等の更なる普及促進を図る方策が必要とされている。
  •  国民保護法制については、平成15年6月の武力攻撃事態対処法の施行の日から1年以内を目標として整備することとされており、これに対応した国・地方を通じた体制整備等が求められている。
  •  救命率の更なる向上を目指すためには、救急救命士の処置範囲の拡大と救急救命士数の増加が必要であり、救急救命士の薬剤投与については、その早期実施について積極的に対応していくべきである。
  •  その他の消防防災分野の課題として、1)消防組織法により法定化された大規模・特殊災害に対処するために設けられた緊急消防援助隊について、その編成及び施設の整備等に係る基本的事項に関する計画の策定等、2)市町村が消防力の確保を図るための指針としての機能を果たしてきた「消防力の基準」の見直し、3)災害時に即時に対応でき、地域密着性等を備えた消防団の充実強化・活性化、を行う必要がある。
 以上のような喫緊の課題に対処するため、消防庁において、下記の対策について、関係法令の改正や予算措置・地方財政措置を含む所要の措置が講じられ、これらの施策の円滑・速やかな実施が図られることを求めるものである。
Ⅱ.産業施設の防災対策の推進
1.石油コンビナート等特別防災区域における防災対策の強化
【現状と課題】
 石油コンビナート等特別防災区域は、大量の危険物等が集積している区域で、ひとたび火災等が発生した場合には甚大な被害となることが懸念されることから、「消防法」や「高圧ガス保安法」等の規制に加えて「石油コンビナート等災害防止法」により、特定事業者に対して自衛防災組織の設置の義務付けや事業所内の施設配置を規制(レイアウト規制)することにより、災害の拡大防止を図ることとしている。
 また、同法により、道府県に「石油コンビナート等防災本部」が常設されており、消防機関をはじめとした防災関係機関、特定事業者が一体となって防災体制を確立する体制が整備されている。
 こうした中、平成15年9月26日に発生した十勝沖地震(以下「十勝沖地震」という。)では、苫小牧市内の石油精製事業所において、多数の屋外貯蔵タンクの損傷、油漏れ等の被害が発生し、さらに、地震発生から約54時間が経過した後に浮き屋根式タンクの全面火災が発生した。
 このたびの災害では、従来の想定とは異なる事象が散見され、以下のような5つの課題が顕在化したことから石油コンビナート等特別防災区域における防災対策について措置を講ずる必要がある。
  • 浮き屋根式タンクの地震に対する安全性等
     十勝沖地震に伴い、浮き屋根が損傷し、沈下した事例が発生した。
     また、我が国各地で大規模地震の発生が懸念されていることもあり、旧基準で設置されている屋外タンク貯蔵所の耐震改修の促進が重要となっている。
  • 新たな態様の火災想定(浮き屋根式タンクの全面火災)
     十勝沖地震では、多数の浮き屋根式タンクにおいて、浮き屋根が破損し、油中に沈んだことにより、浮き屋根式タンクの全面火災というこれまで我が国では発生事例のない態様の火災が発生した。
     全面火災の消火には、燃焼面積に応じた大量の泡消火剤を投入する必要があるが、必要な量の泡消火薬剤や大量な水利の確保など消火体制を準備するためには相当の時間を必要とする。一方、今回はナフサのタンク火災であったが、原油等のタンク火災にあっては、火災が長時間続くと、ボイルオーバー(注)の発生に伴いタンク外に大量の油が流出する可能性が生じ、その場合には消火が著しく困難となる。
    (注)原油等のタンク火災が長時間継続した場合に、火災の熱により、油に高温層が形成されてタンク底部の水に接触して、水が急激に沸騰し、内部の油が噴出し、周辺の消防隊員等に被害を及ぼすおそれのある爆発的な燃焼の拡大現象。
  • 浮き屋根式タンクの全面火災対応資機材の配備
     十勝沖地震における浮き屋根式タンクの全面火災では、燃焼面積が広く大量の泡消火剤を集中投入する必要があったことから、大量の泡消火薬剤の補充を要したこと、消火に十分な性能と数量の資機材が揃わなかったこと、また、タンクの高さが高く風の影響により効果的な泡投入が困難であったこと等様々な理由が考えられるものの、結果として、鎮火までに長時間を要する事態に至った。
  • 泡消火薬剤の備蓄増強
     十勝沖地震において発生した2基のタンク火災に対する消火活動や破損したタンクの2次災害の発生防止のために泡消火剤で油面を覆う作業を行ったため、大量の泡消火薬剤が必要となった。
  • 特定事業所における防災体制の充実、強化
     十勝沖地震による特定事業所の被害は、当該事業所の災害対応能力を超えるこれまでに例のないものであった。また、事業所内の多数の危険物施設に被害が生じたこともあり、結果として、個別のタンク毎の異常現象の発生について、必要な通報が行われなかったとされている。特定事業所の自衛防災組織は、消火活動のみならず、二次災害発生の予防措置等の災害応急措置を的確に遂行する義務を有することから防災管理者を中心とした防災体制の充実、強化の検討が必要である。
【対応の考え方】
  • 浮き屋根式タンクの地震に対する安全性等
     浮き屋根式タンクの屋根の損傷は、やや長周期(注)の地震動の影響によるものと考えられ、我が国の国土構造を考えると、コンビナートを抱える他の地域においても同様の被害が懸念されるものである。
     このため、やや長周期の地震動による液面揺動の高さに関し地域特性を考慮した見直しを行い、大きな液面揺動が予想されるタンクについては浮き性能確保の補強措置を講じる。
     また、旧基準で設置された大規模な屋外タンクの耐震改修については、1)1万キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所については、今後実施される1回目の開放時に改修を完了する、2)千キロリットル以上1万キロリットル未満の屋外タンク貯蔵所についても1万キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所と同程度の改修促進を図る、3)500キロリットル以上千キロリットル未満の屋外タンク貯蔵所については、少なくとも3年程度以上の改修期限の前倒しを図ることが必要である。
    (注)一般に短周期は数秒以下、長周期は10数秒以上の周期の地震動をいうが、大規模屋外タンクの固有周期である数秒から10数秒程度の地震動については「やや長周期」といわれている。
  • 浮き屋根式タンクの全面火災発生時の消防戦術
     十勝沖地震では、我が国では例のない態様の浮き屋根式タンクの全面火災が発生したことから、こうした全面火災を想定した消防戦術として、被災タンクの油種や規模に応じた大容量の泡放射砲、必要に応じ十分な水利確保のための遠距離送水システムの導入など、新たな火災に対応した消防戦術を確立する必要がある。また、こうした消火体制が整うまでの間の、消防車両等の防災資機材による火災タンクの冷却放水や危険物の抜き取り、周辺タンクへの延焼を防止するための消防活動を的確に行うための消防活動マニュアルを整備する必要がある。
  • 浮き屋根式タンクの全面火災対応力の増強
     全面火災は、燃焼面積が広く、火勢も強くなるため、その消火には、燃焼面積に応じた大量の泡消火剤を投入するとともに、油汚染により容易に消泡することのない泡消火剤を、燃焼面の全面を覆うように展開させる必要がある。
     欧米では、大型タンクの全面火災に対し、既に毎分1万リットルから3万リットル台規模の大量の泡消火剤を投入する大容量の泡放射砲が活用されており、直径約82m、高さ約10mのガソリンタンク火災の消火実績も報告されている。また、今後、我が国においても類似の資機材が開発されることも予想される。
     こうした資機材を導入、配備することは急務ではあるが、これらの資機材は、国内での活用実績がなく、個々の性能についても明らかになっていないことから、大規模なタンク火災を消火するために必要となる大容量泡放射システム(大容量泡放射砲、ポンプ混合装置、遠距離送水システム及び泡原液搬送車)の性能要件を早期に確定し、タンクの規模や内容物に応じた適切な資機材を配備する必要がある。
     こうした資機材については、特定事業者がその特定事業所における災害の発生及び拡大の防止に関し、第一次的責任を有していることから、基本的には、特定事業所単位で配備することが望ましい。しかしながら、これらの配備に要する事業者負担の規模や全面火災の発生危険確率を勘案すると、より広域的な配備を可能とすべきである。その際、石油コンビナート等特別防災区域の自衛防災組織や共同防災組織の範囲内に限定することなく、地形的要因、交通事情、災害発生の危険性等の諸事情や各地域の特別防災区域の集中度・危険物貯蔵量等の集積度などを勘案して、適正な配備方針(都道府県単位での配備や輸送システムを活用した拠点配備など)を検討すべきである。
  • 泡消火薬剤の備蓄増強
     浮き屋根式タンクの全面火災の消火には大容量泡放射砲を使うことによって大量の泡消火薬剤が必要となるほか、全面火災の強い火勢と油汚染により容易に消泡しない泡消火剤を選択する必要がある。その備蓄については、特定事業所や消防機関に分散して配備するとともに、緊急時には相互に融通するような運用を図るべきである。
     また、同時に多数のタンクが破損し、二次災害防止のための泡シール用として大量の泡消火薬剤が必要となったことを踏まえ、こうした予防措置に必要な泡消火薬剤の配備方策等についても検討し、十分な備蓄を推進する必要がある。
  • 特定事業所における防災体制の充実、強化
     自衛防災組織を統括する防災管理者や副防災管理者が十分にその責務を果たすことが担保されるよう、その資格要件、副防災管理者の配置の適正化や研修制度の導入などを検討する必要がある。
     また、自衛防災組織の災害対応をより確実に行うため、防災規程の規定内容の充実を図るとともに、国、地方公共団体の関与方策の強化(事前チェックの充実・事後の運用状況の確認)について検討を行うなど、特定事業所の防災体制の充実、強化策を推進する必要がある。
2.ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策の検討
【現状と課題】
 平成15年8月14日と19日に発生した三重ごみ固形燃料発電所の火災・爆発事故により、消防職員2名が殉職し、作業員5名が負傷するとともに、完全鎮火までに長時間を要した。
  • ○ 発酵や化学反応により発熱・発火する事例が多数発生している。
  • ○ 三重ごみ固形燃料発電所の火災・爆発事故でもみられたように大量に集積した場合、消火が非常に困難となる。
【対応の考え方】
  • 指定可燃物の指定と消防機関によるRDF貯蔵・取扱い情報の把握
     RDF(Refuse Derived Fuel)は、酸化反応や微生物発酵による発熱の危険性、燃焼時の消火困難性を考慮すると、指定可燃物と同等の危険性状を有していることから、指定可燃物として指定し、指定可燃物の届出によりその貯蔵・取扱いに係る情報を消防機関が把握する必要がある。
  • RDFに起因する火災防止対策
     RDFに起因する火災が多数発生していることから、次の火災防止対策を図る必要がある。
     RDF関係施設の火災対策のためには、貯蔵、取扱い面の安全対策だけでなく、保安設備の設置等のハード面の安全対策も重要であることが明らかになった。そのため消防法の改正を行い、市町村火災予防条例においてハード面の安全対策を定めることができることとする必要がある。
    • (1) 水分量管理により水分量を10%以下とする等の製造時の安全対策
    • (2) 大量集積の制限、通気・換気の確保等による保管時の安全対策
    • (3) 温度測定装置による温度の監視等の異常発生時の安全対策
    • (4) 初期消火のための消火設備または散水設備の設置、迅速な排出が可能な貯蔵方式とする等の事故発生時の安全対策
    • (5) 従事者の教育訓練、事業所関係者による施設形態、取扱形態等に応じた危険要因の把握と対策および消防機関等による確認等の安全管理対策
  • RDF類似物品に対する安全対策
     古紙・廃プラスチックを原料として固形燃料化するRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)等、RDFと同様廃棄物に破砕、選別、乾燥、固化等の物理的操作を加えることにより同様の危険性を有することとなるおそれのあるものに関しては、同様の安全対策を講ずる必要がある。
3.企業事故防止対策の推進
【現状と課題】
 出光興産株式会社北海道製油所タンク火災事故や三重ごみ固形燃料発電所火災・爆発事故を含め、最近我が国を代表する企業において災害が続発し、多大なる人的・物的被害が生じるという憂慮すべき事態となっている。
 背景要因として、厳しい経済状況下における人員や設備投資等の削減、雇用形態の変化や保守管理業務のアウトソーシング等の影響が指摘されている。
 また、事故が発生した企業や業界団体のヒアリング等から、下請け作業員を含めた教育・訓練や工事管理の不徹底、老朽化した設備・機器の維持管理の不徹底、危険物・指定可燃物等に関する基本的な安全管理の不徹底(潜在的危険性の認識不足、大量の可燃物の存置等)等が問題と考えられ、それぞれの事業所の実態に応じた対策の確立が重要であることが明らかとなってきた。
【対応の考え方】
  •  本年6月にとりまとめられた「危険物事故防止アクションプラン」に基づき、官民一体となって危険物事故防止を効果的に推進していくためには、地方における消防行政機関と産業界の連携を推進するとともに、国・地方で全体の取組みを継続的にフォローアップしていくことが必要である。
  •  企業防災の実効性を確保するため、各企業において経営者が自らの責任の下に社会情勢の変化に応じた安全管理体制を再構築するとともに、消防機関等による客観的なチェックの下、工事中、異常発生時等の非定常時や下請けを含めた保安管理体制の整備を徹底することが必要である。これに関連して、今後自主保安を高めていくためには、現在保存が義務づけられている危険物施設の定期点検報告結果を消防機関に届け出る制度について今後の検討課題とすべきであろう。
     また、各事業所の実態に応じた安全確保を図るためには、危険要因を把握して、これに応じた対策を講じることが必要であり、海外や他分野で導入されつつある各種リスク評価手法やリスクマネジメント手法、設備・機器の腐食・劣化評価手法等を技術的に確立するとともに、その活用を図っていくことが必要である。
  •  タイヤやRDF等に関し、消防法の改正を行い、貯蔵、取り扱い基準だけでなく、保安設備の設置等のハード面の基準についても市町村火災予防条例で定めることができることとすることが必要である。
     また、タイヤ等の指定可燃物に対し、より消火効果の高い消火方策を確立していくことが必要である。
Ⅲ.住宅防火対策の推進
【現状と課題】
(1).住宅火災の状況
 放火自殺者等を除く住宅火災による死者数は、近年、増加傾向で推移し、建物火災による死者数の8~9割程度を占めており、その死に至った理由の多くが避難の遅れ(約87%(不明・調査中を除いた場合))である。
 特に、平成14年中の同死者数は、992人(対前年比+69人、7.5%増、昭和61年(同死者数1,016人)以降としては最悪)、平成15年上半期(1月~6月)の同死者数は、概数で646人(前年同期比+57人、9.7%増)と急増している状況にあり、今後、高齢化の進展とともに、さらに同死者数が増加するおそれがある。
 また、近年の主な建物用途別にみた火災100件当たりの死者数は、住宅においては、多数の者が利用する物販店舗、旅館・ホテル、病院などと比べても5倍程度で最多となっている。
 住宅防火対策については、これまで広報・普及啓発活動等を中心に取り組んできたところであるが、住宅火災による死者発生の状況等を踏まえ、新たな方策が必要となっている。
(2).法制度化の現状と課題
 日本では、消防法で一定規模の共同住宅等について消防用設備等の設置の法制度化が図られている一方で、戸建住宅はその対象とされていないが、住宅については、消防法令の改正による規制強化が進められた特定用途の防火対象物と比べて出火件数当たりの死者数が著しく高いなど火災による死者の発生危険が他の用途に比べて高く、さらに隣家等への延焼危険性も大きいことから、住宅防火対策は単に個人の問題ではなく、市民社会における個人の責任を全うするためにも、居住者本人、家族、さらには地域社会への配慮を踏まえた対応が必要となっている。
 また、個人の命を守る観点から道路交通法においてシートベルト装着の義務付けが行われており、最近では、個人の健康を守る観点からシックハウス対策として建築基準法において個人住宅も含めた建築物の居室に換気設備の設置が義務付けられるなど、個人の自己責任と言われていた分野にも社会全体の安全確保の観点からの法制度化が図られている。
 さらに、戸建住宅への住宅用火災警報器等(住宅用火災警報器又は自動火災報知設備をいう。以下同じ。)の設置義務化については、「消防・救急に関する世論調査(平成15年内閣府)」によると、「賛成」「どちらかといえば賛成」を合わせて約67%となっており、国民意識の高さがうかがえる。
 一方、米国では大半の州の州法で、英国では建造物法に基づく建造物規則において、それぞれ住宅用火災警報器等の設置に係る法制度化が実施され、死者発生の大幅な減少が図られている。
(3).市場機能の状況
 住宅火災保険は、日本では、住宅用火災警報器等の設置による割引は一般的には行われていないが、米英では行われている。
 現状の主な住宅用防災機器等(住宅用火災警報器等、住宅用消火器、住宅用スプリンクラー等をいう。以下同じ。)の価格は機器の種類・性能によって異なるが、一般消費者にとって負担感もあり、米国及び英国と比べても割高と言われている。
 また、住民にとって住宅用防災機器等の存在、その効果等の周知が図られていないとともに、住宅用防災機器等の入手方法が分かりづらいという状況である。
【対応の考え方】
(1).法制度化のあり方
1)法制度化の必要性
 個人が私生活を営む場である住宅の防火責任は、当該個人が負うべきものではあるが、住宅防火に係る社会的な影響の大きさ、社会情勢の変化を踏まえ、従来個人の自助努力を中心に考えられてきた住宅防火対策について見直し、法制度化の導入を図ることが必要である。
2)対象とする住宅
  • (ア). 戸建住宅、共同住宅等の形態にかかわらず、住宅火災による死者発生のおそれは同様に存することから、消防法令により自動火災報知設備が義務付けられていない戸建住宅及び延べ面積が500m²未満の共同住宅等の住宅について、法制度化を図る必要がある。
  • (イ). 新築住宅については、新築の際に住宅用防災機器等の取付けを行うことができることから住民の負担感が比較的少ないと考えられ、かつ、消防同意等により設置の実効性を担保する方策も考えられることから、義務化を比較的円滑に図ることができると考えられる。
  • (ウ). 既存住宅については、新規に費用が発生すること、普及率が低いこと等の課題もあるが、高齢者の多くが地域の既存住宅に居住していること、死者低減の緊急性等を勘案すると、地域住民の理解を得ながら義務化を図ることが適当である。
3)対象とする機器
 当面、住宅火災による死者発生の抑制について効果が顕著であり、米英においても制度化されている住宅用火災警報器等とすることが適当である。
 なお、住宅用消火器、住宅用スプリンクラーその他の住宅用防災機器等についても、長期的には、引き続き検討を進める必要がある。
4)法制度化の手法
 法制度化の手法としては、消防法による対応と条例による対応が考えられる。消防法による対応は全国一律に制度化を図る方が適当な事項に用いられるものであり、条例による対応は住民の日常生活に関係の深い事項や地域によって異なる対応を図った方が有効な事項について用いられるものである。
 近年の住宅火災による死者発生の増加の状況、特に、最近急増している状況を踏まえると、住宅防火対策を推進することは全国的に緊急性の高い課題であるため、住民に十分な周知・徹底を図りつつ、住宅用火災警報器等の設置について、消防法に全国一律に制度化を図る根拠を設けるとともに、既存住宅への適用時期等について一定の経過期間を設けるなどの事項について条例に委ねることが必要である。
 消防法による制度化に際し、住宅用火災警報器等の設置及び維持の基準については、それぞれの地域の住宅火災による死者の発生状況、住宅用火災警報器等の普及率、住宅の構造、利用形態等の実情を勘案する必要性が高いため、全国的な標準を示すとともに、詳細については条例に委ねることが必要であるとともに、極力、住民のニーズに容易に対応できるようにするなどその普及促進に資するものとする必要がある。
 さらに、市場機能の活用等による機器等の普及率の向上を図るなどにより違反の状態が例外的なものになるよう努めることが必要である。
(2).市場機能の活用
1)保険制度
 住宅用火災警報器等をはじめとした住宅用防災機器等の設置が行われた場合、当該機器等の性能を適切に評価した保険料の割引制度について、損害保険業界に積極的に働きかけていくことが必要である。
2)その他の普及方策
 消費者の負担低減のための方策として、米英のように廉価なものを供給できるようにするほか、設置工事が不要なもの等の技術開発を促進するとともに、適正な維持管理のため、販売方法について、リース方式等の販売方法の導入等についても関係業界に働きかけることが必要である。
 また、消防団、婦人防火クラブ等と連携した住宅用火災警報器等の設置、維持管理等に係る啓発などの普及方策を積極的に推進するとともに、報道機関に対しても、住宅防火対策の重要性や住宅用防災機器等の普及の必要性に係る啓発等について、これまで以上に取り組んでいただくよう要請する等の働きかけを行うことが必要である。
Ⅳ.国民保護法制の制度化への対応
【現状と課題】
 国民保護法制において、地方公共団体が担うこととされる主な事務として、平成15年11月21日に国民保護法制整備本部において了承された「国民の保護のための法制『要旨』」には、国民保護計画の策定・警報の伝達・避難指示・避難誘導・救援・武力攻撃災害への対処等が挙げられ、国民保護の実施に当たって地方公共団体は、重要な役割を果たすこととされている。
 また、国民保護において消防機関は、国や都道府県の指示の下、市町村長の指揮により住民の避難誘導を行うほか、武力攻撃災害の防除及び被害の軽減のため、消火・救助活動、負傷者の搬送等を行うことが想定される。自主防災組織についても、行政機関のみでは対応しきれない、住民一人ひとりへのきめ細かな警報内容の伝達や避難誘導の実施、被災者の救出活動、負傷者の搬送等の役割を自発的に担っていくことが想定されている。
【対応の考え方】
 国民保護の業務を遂行するに当たっては、まず、国及び地方公共団体がそれぞれの役割、責任を十分に果たしうるように、消防庁としても、各方面の意見を踏まえながら地方公共団体の組織体制のあり方を検討し、武力攻撃事態において、複数の都道府県・市町村その他関係行政機関が円滑に連携するための組織・用語等の標準化、指揮命令系統の統一化を含めた万全の体制の整備を支援する必要がある。
 消防庁に平成16年度より、国民保護法制の運用・実務を行う担当組織が創設される予定であり、地方公共団体においても国民保護法制の動向を勘案しながら組織の充実を図るべきである。また警報の伝達のためのデジタル防災無線(補助率実質2分の1)や、住民の避難誘導に係る消防団・自主防災組織のための資機材の整備費への補助制度を活用するとともに、国と地方公共団体の連携を十分に行うことによって機動的かつ実効性の高い国民保護関係諸施策の実現を図るべきである。また、今後の国民保護体制をとりまく諸情勢等を踏まえ、国及び地方公共団体の組織充実についても更に検討すべきである。
 地方公共団体が策定する国民保護計画については、武力攻撃の態様や被害の想定、自衛隊の行動に関する情報等を専ら保有している国が、基本指針において明確な考え方を示すとともに、国と地方の対処が全体的に整合性のとれるものとなるようにするため、平成16年度消防庁予算案に盛られた国民保護計画や避難マニュアルのモデルを地方公共団体の意見を十分に踏まえながら作成し、適切なタイミングで地方公共団体に提示していくことが必要である。
 また、武力攻撃事態時において、警報の伝達、避難指示、避難誘導等が実際に迅速・的確に行われるためには、これらを確実に伝達できるハードの仕組みが不可欠であり、避難情報を提供するデジタル防災無線や消防団・自主防災組織が避難住民の誘導や救助活動を行う際に必要となる資機材の整備についても、国民保護において国が主要な役割を担うという観点から適切な財政負担を行う必要がある。
 さらに、国民保護の迅速・的確な実施に不可欠な情報共有システムについては、国民保護の実務を担う関係行政機関・地方公共団体等が避難等を円滑に行うための各種情報収集や情報共有のためのシステムの構築を早急に図るとともに、消防機関等や自主防災組織の教育・育成や訓練の実施及び国民保護の制度内容の普及啓発を図る必要がある。
Ⅴ.救急救命士の薬剤投与の方向性
【現状と課題】
 平成3年に救急救命士法が制定されて以来、救急救命士は同法に基づき、医師の具体的な指示のもとに、3つの特定行為(1)半自動式除細動器による除細動(電気ショック)、2)乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液、3)食道閉鎖式エアウェイ等を用いた気道確保)を行い、我が国の救急業務の高度化や救命率の向上に大きく寄与してきた。
 しかしながら、諸外国のパラメディック(救急隊)は、病院への傷病者搬送中、医師の包括的指示下(いわゆる「指示なし」)の除細動はもとより、気管挿管、薬剤投与等の救命処置を既に実施しており、日本においても、更なる救命率の向上を図るためには、救急救命士による薬剤投与をはじめとするこれらの救命処置が必要であるとの意見が消防機関を中心に強く出されていた。
 平成14年より消防庁・厚生労働省両省庁で設置した「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」を中心に救急救命士の処置範囲の拡大について本格的議論が行われてきた。この検討等に基づき、平成15年4月からの医師の包括的指示下での除細動が実施され、この結果、除細動実施率、心拍再開率、一ヶ月生存率のそれぞれの数値の上昇が確認されており、救急救命士の処置範囲の拡大が相当の成果につながっている。また、平成16年7月からは、気管挿管の実施が認められることになっている。薬剤投与についてはさらに、有効性、安全性等の研究・検証等を行い、その結果を踏まえて早期に結論を出すこととされたところである。
【対応の考え方】
 救命率の更なる向上を目指すためには、救急救命士の処置範囲の拡大と救急救命士数の増加が必要である。
 特に、救急救命士の薬剤投与に関しては、今後更に高齢化の進展等に伴い心筋梗塞等の心肺停止患者の増加が予想される中、心拍の回復に必要となるエピネフリン等の最小限のものについて、医療機関に搬送するまでの救急搬送時において、心拍の再開による救命率向上に一定の効果が期待されるところである。
 一方、薬剤投与は除細動、気管挿管に比較して高度な医学的判断を要する行為である。
 救急救命士による最小限の薬剤投与については、有効性、安全性等の研究、検証等の結果やこれらのことを踏まえ、早期に結論を得る必要があるが、心肺停止患者における救命の連鎖を更に強化していくという観点から、研修や実習の充実やメディカルコントロールの整備による医療機関との連携の強化等を行いながら、その早期実施について積極的に対応していくべきである。 また、引き続き救急救命士有資格者の養成も併せて行っていく必要がある。
Ⅵ.その他の諸課題

1.緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等に係る基本的事項に関する計画等

【現状と課題】
 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、大規模・特殊災害に対処するため、消防庁長官の求めにより自主的な応援出動を行う緊急消防援助隊が要綱により設置されており、平成15年5月現在、2,210隊が登録されている。
 平成15年6月、消防組織法の改正が行われ、緊急消防援助隊を法定化するとともに、東海地震等の大規模災害又は毒性物質の発散等の特殊災害に対処するために特別の必要があるときは、消防庁長官がその出動を指示できることとされ、長官の指示を受けた出動により増加し、又は新たに必要となる経費は国が負担することとされた。併せて、緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等についての基本計画を総務大臣が策定することとなり、これに基づき整備される施設設備については、義務的補助金として国が補助するものとされた。
 これらの法制度の整備を踏まえて、基本計画において、緊急消防援助隊の編成等について、その部隊規模に係る国としての目標、その装備、教育訓練等について盛り込む必要がある。
【対応の考え方】
 緊急消防援助隊の登録部隊の規模については、組織的消防活動や関係機関との調整能力を高める指揮支援機能及び自己完結による継続的活動を確保する後方支援機能等を充実させ、東海地震等の大規模災害対策及び毒性物質の発散等の特殊災害対策を強化するため、都道府県及び市町村の協力を得て、地域的バランスを考慮した消火部隊、救助部隊や航空部隊等の一層の充実を図るほか、指揮支援部隊・後方支援部隊・特殊災害部隊等を増強することにより、現行の2,210隊から平成20年度までに、おおむね3,000隊規模に拡充することが望まれる。
 また、そのために必要な部隊の登録、的確かつ迅速な出動及び活動を可能とするため、消防ポンプ自動車、救助工作車等の車両をはじめ、ヘリコプター、消防艇、救助・救急資機材及び情報通信設備等の施設設備の整備を進める必要がある。平成16年度消防庁予算案では、NBC対応車両や消防救急デジタル無線が新たに緊急消防援助隊の補助対象として認められるとともに、補助率も従来の3分の1であったものも含めて全て2分の1とされたところであり、今後とも、基本計画に基づいて必要な施設設備の計画的な整備が進められるよう、義務的補助金の充実確保を図る必要がある。さらに、消防庁長官による指示制度が創設されたことに伴い、消防庁に従来の企画立案機能に併せて、災害等の状況に応じた高度なオペレーション機能が求められることになることを踏まえ、消防庁の組織や機能の充実を積極的に推進する必要がある。
 加えて、緊急消防援助隊の技術の向上及び連携活動能力の向上等を図るため、全国規模の図上訓練・実働訓練、地域ブロックでの合同訓練、及び消防大学校における教育訓練など、教育訓練の充実を図る必要がある。

2.消防力の整備指針

【現状と課題】
 消防力の基準は、平成12年に、「最小限度」の基準から、「市町村が適正な規模の消防力を整備するに当たっての指針」に改められ、市町村の自主的な決定要素が相当程度拡充された。しかしながら、これに対する市町村の受け止め・対応は十分なものではなく、必ずしも改正の趣旨を踏まえた、市町村の創意工夫を発揮するような形での活用は浸透していない。
 また、救急需要の増大、高度化、予防業務の専門化などへの対応が必要であるにもかかわらず、現行の基準に対する消防職員数の充足率は高くなく、今後、地方行財政を取り巻く社会情勢にかんがみると、消防職員数の大幅な増を期待することは難しい状況にある。各市町村の消防機関は、こうした状況下で、消防需要の高度化・専門化に的確に対処していく必要に迫られている。
【対応の考え方】
 「市町村が適正な消防力を整備するに当たっての指針」としての位置付けを維持しつつ、消防サービスの水準確保を前提にして、消防力の整備に当たって市町村が様々な選択を行えるような内容・形態にしていく必要がある。このため、消防力整備に関して、市町村が考慮できる要素の実質的な拡充を図っていくべきである。できるだけ単一の基準とするのではなく、代替的手段を含め、選択肢を拡充するとともに、各市町村が地域の状況を踏まえ、その是非を判断できるよう、規定方法の態様について検討していく必要がある。現行の基準上明示されていない考慮要素についても、市町村において実際に講じられており、効果を挙げている内容に関して、積極的に取り込むことが求められる。地方公共団体の意向を踏まえ、新たに盛り込むべきものとしては、予防要員算定に係る防火対象物総数の考慮、警防活動に係る指揮隊の配置指標などが考えられる。
 また、指針としての趣旨・性格を明確にし、市町村の十分な活用を促すために、消防庁告示の名称を「消防力の整備指針」に改めることが適切である。
 市町村においては、この「消防力の整備指針」を踏まえ、地震や風水害等の発生状況などの地域の防災特性を考慮して、自らの地域における消防力の整備を進めることが必要である。
 消防職員の人員基準に関しては、分野別の標準的職務能力を明らかにすることにより必要な水準確保を図るとともに、業務ごとの専任要員に限ることなく、「兼務」概念を導入することについて検討する必要がある。
 これまでは、消防車両等の必要数を算定し、それに一定の乗り組み人員を乗ずることにより、所要の人員数を導出することとしており、画一的な装備技術・消防活動の形態を前提とした指針にとどまっていた。今後は、人員・施設(車両等)を個別にとらえるのではなく、人員・施設を合わせた性能・効果の充足により、指針への適合性を判断できるようにしていくべきである。
 これらの市町村の様々な選択を広く許容していく一環として、今後、一層、消防力の維持・確保を図っていくとともに、消防機関における現在の活動状況を踏まえた指針とすることが適当である。
 こうした対応に加えて、市町村の消防力全般にわたる包括的な指針であることを踏まえ、消防団員数について、地域特性に応じた消防団の役割を反映する算定指標を設定することが必要である。

3.消防団の充実強化・活性化

【現状と課題】
 消防団は、火災、風水害、震災等の災害対応はもとより、地域コミュニティの維持、振興にも大きな役割を果たしているが、消防の常備化の進展、社会環境の変化に伴い、団員数の減少やサラリーマン化等多くの課題に直面しており、消防団の充実強化・活性化が喫緊の課題である。
 消防庁では、これからの消防団のあり方を検討する目的で平成13年に「新時代に即した消防団のあり方に関する検討委員会」を開催し、平成15年3月に「消防団員数の確保」「地域の実情を踏まえた組織、運営の充実、多様化」等の提言がなされ、今後は提言の具現化を検討していく必要がある。
 また、市町村合併に伴う留意事項を通知し、地域防災力の向上を指導しているところである。
【対応の考え方】
 消防団については、要員動員力、即時対応力等の特性を発揮するために、消防団員数の目標数値を設定し、具体策を講じることが適当である。目標数値としては、市町村がそれぞれの地域で必要と判断し設定している条例定数の合計が約99万人であること、常備消防化が90%を越えた昭和60年の総団員数が約103万人であることを勘案して、全国レベルで当面、総団員約100万人以上を設定することが適当である。女性団員については、現在1万3千人弱であるが、女性の社会進出が推進されるとともに、火災予防の啓発活動、住宅防火対策の普及、応急手当の普及等の活動の必要性にかんがみ、総団員数の1割以上を目標とし、約10万人以上を設定することが適当である。
 各消防団が団員確保方策を進めるにあたっては、確保する団員数の指針となる、地域特性に応じた消防団の役割を反映する算定指標を設定することが必要である。また、団員を確保するため、各地域の消防団が置かれている状況を把握し、広報・啓発施策、団員雇用事業所対策、女性団員確保方策等、地域の実態に対応した具体的団員確保対策を検討することが必要である。
 一方、市町村合併に際し、消防団が地域の防災体制の要として重要な役割を担っていることを考慮し、団員数を減ずることなく、地域の消防・防災力を向上させるための団員数を確保することが必要である。

-資料編-
(PDF)
■資料1
石油コンビナート等特別防災区域における防災対策の強化
・・・・・・・・・・P20
■資料2
RDF等に係る安全対策に関する提言(要約)
・・・・・・・・・・P21
■資料3
危険物施設における火災・漏えい事故件数の推移
・・・・・・・・・・P22
■資料4
最近の主な産業施設の事故事例
・・・・・・・・・・P23
■資料5
住宅防火対策の推進
・・・・・・・・・・P25
■資料6
国民保護関係
・・・・・・・・・・P31
■資料7
救急救命士の処置範囲の拡大等について
・・・・・・・・・・P41
■資料8
緊急消防援助隊の現況について
・・・・・・・・・・P44
■資料9
「消防力の基準」の位置付け
・・・・・・・・・・P47
■資料10
消防団の現況と課題
・・・・・・・・・・P54