林野火災への備え
林野火災とは
「森林、原野又は牧野が焼損した火災」のことを林野火災と呼びます。
「山火事」や「山林火災」、「森林火災」と言われるものも、林野火災に含まれます。
林野火災の状況
林野火災の年間発生件数は、昭和49年の8,351件をピークに、以後減少傾向となり、例年1,300件前後を推移する状況となっています。令和6年には出火件数が初めて1,000件を下回りましたが、令和7年には、2月には岩手県大船渡市、3月には岡山県岡山市や愛媛県今治市などで大規模な林野火災が相次いで発生しました。
また、年間を通じて発生していますが、年明けから大きく増え始め、特に2月から5月にかけての時期に多く発生する傾向があります。
出火原因は、たき火、火入れ、放火(疑いを含む)等の人的要因によるものが多くなっています。
(たき火の例)
※画像の例は廃棄物の焼却で、原則禁止されているものです。
(火入れの例)
林野火災の特徴
林野火災は、ひとたび発生すると早期に延焼拡大することがあります。また、消火のための消防隊の立入りが困難であることや消火用水の確保が難しいこと、広範囲の消火が必要なこともあり、他の火災に比べて鎮火までに時間がかかり、多くの人員を消火活動に必要とする場合があります。
このほか、人命・家屋等への危険が生じることや、貴重な森林資源の焼失とそれによる土砂流出等の二次災害の危険性が高まること、自然の回復には長い年月と多くの労力を要することがあります。
林野火災の予防
林野火災の出火原因の多くは人的要因であることから、大部分は皆さん一人ひとりの注意で防ぐことができます。
降水量が少なく、空気が乾燥し、強風が吹く例年、特に2月から5月頃に多くなる林野火災は、この時期に火入れが行われることや、山菜採りやハイキング等で入山者が増加することによる火の不始末等も一因として考えられます。また、草や枝などの焼却が火災の原因となることもあります。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」では廃棄物の焼却は原則禁止されており、「森林法」では森林又は森林の周囲1kmでの火入れには市町村長の許可が必要とされています。また、市町村の火災予防条例では、たき火など屋外での火の取扱いには消防機関への届出が必要となる場合があります。
これらの法令・条例を守ることはもちろん、屋外で火を取扱う際には、各自が年間を通じて次のような点に注意することが重要です。
【林野火災防止のための注意点】
- ① 乾燥・強風の日は火を使わない
- ② たき火や火入れは複数人で行う
- ③ 火から目を離さない
- ④ 消火用の水を準備する
- ⑤ 使用後は完全に消火する
- ⑥ たばこの投げ捨て、火遊びは絶対にしない
林野火災注意報・林野火災警報
消防庁では令和7年の大船渡市などでの大規模林野火災を踏まえて、林野火災注意報や林野火災警報を創設し、全国の市町村に的確な発令などの運用を呼び掛けています。
林野火災注意報や林野火災警報は、市町村の火災予防条例で規定され、市町村長が林野火災の危険性に応じて発令するもので、令和8年1月から全国の市町村で順次施行が始まります。
〇林野火災注意報:降水量や乾燥といった条件により林野火災が発生・延焼しやすい危険な状況です。発令時には、その地域では屋外での火の使用をひかえるよう努める必要があります。
〇林野火災警報:林野火災注意報の条件に加えて、強風注意報が発表され、発生した林野火災が大規模化しやすい危険な状況です。発令時には、その地域では屋外での火の使用が禁止されます。火の使用の制限に違反した場合は、消防法違反として30万円以下の罰金又は拘留に科される場合があります。
<林野火災注意報・林野火災警報の発令指標の例>
| 林野火災注意報 | 林野火災警報 | |
|---|---|---|
| 発令指標 (例) |
前3日間の合計降水量が1mm以下 ※ 当日に降水が見込まれる場合や積雪がある場合には、この限りでない。 |
林野火災注意報の発令指標 + 強風注意報の発表 |
| 内容 | 発令地域での屋外の火の使用中止の努力義務 (罰則なし) |
発令地域での屋外の火の使用の制限 (罰則あり) |
※市町村により条例の制定状況、発令指標の内容などは異なります。詳しくは管轄の消防本部等にお問い合わせください。
