平成28年版 消防白書

第2節 危険物施設等における災害対策

[危険物施設等における災害の現況と最近の動向]

危険物施設(P. 80*2参照)における事故は、火災(爆発を含む。)と危険物(P. 80*1参照)の流出に大別される。危険物施設の火災及び流出事故件数は、平成6年(1994年)から増加傾向にある。平成27年中(平成27年1月1日~12月31日)は、火災が215件、流出が365件で合計580件で、前年より19件減少しているが、いまだ高い水準で推移している(第1-2-1図)。

1-2-1zu.gif

(1) 危険物施設における火災事故発生件数と被害

平成27年中の危険物施設における火災事故の発生件数は215件(対前年比12件増)、損害額は7,956百万円(同5,816百万円増)、死者は0人(同1人減)、負傷者は31人(同33人減)となっている(第1-2-2図)。

1-2-2zu.gif

また、危険物施設別の火災事故の発生件数をみると、一般取扱所が最も多く、次いで製造所、給油取扱所の順となっており、これらの3施設区分の合計で全体の94.4%を占めている(第1-2-3図)。

1-2-3zu.gif

一方、火災事故215件のうち103件(全体の47.9%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-2-4図)。


1-2-4zu.gif

(2) 危険物施設における火災事故の発生要因

平成27年中に発生した危険物施設における火災事故の発生要因をみると、人的要因が57.7%、物的要因が27.9%、その他の要因、不明及び調査中を合計したものが14.4%となっている(第1-2-5図)。

1-2-5zu.gif

また、着火原因別にみると、高温表面熱が40件(対前年比7件増)と最も多く、次いで静電気火花が23件(同19件減)、過熱着火が22件(前年同数)となっている(第1-2-6図)。

1-2-6zu.gif

(3) 無許可施設における火災事故

危険物施設として許可を受けるべき施設であるにもかかわらず、許可を受けていないもの(以下「無許可施設」という。)における平成27年中の火災事故の発生件数は9件(対前年比3件増)であり、死者は2人(同1人増)、負傷者は14人(同9人増)となっている。

(4) 危険物運搬中の火災事故

平成27年中の危険物運搬中の火災事故は2件(対前年比2件増)発生している。

(5) 仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故

平成27年中の仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故は、平成26年に引き続き発生していない。

関連リンク

平成28年版 消防白書(PDF)
平成28年版 消防白書(PDF) 平成28年版 消防白書(一式)  はじめに  特集1 熊本地震の被害と対応  特集2 平成28年8月の台風等の被害と対応  特集3 消防団を中核とした地域防災力の充実強化  特集4 消防における女性消防吏員の活躍推進...
はじめに
はじめに 昨年は、気象庁による震度観測開始以降、初めて震度7を観測した平成7年(1995年)の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)から20年に当たる節目の年でした。そして、本年4月14日には、平成16年の新潟県中越地震、平成23年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に続き、4例目の震度7の地震が熊本...
1.地震の概要
特集1 熊本地震の被害と対応 1.地震の概要 平成28年4月14日21時26分、熊本県熊本地方の深さ11kmを震源として、マグニチュード6.5の地震が発生し、益城町で震度7を観測した(特集1-1表)。 さらに、28時間後の4月16日1時25分、熊本県熊本地方の深さ12kmを震源として、マグニチュード...
2.災害の概要
2.災害の概要 一連の地震により、激しい揺れに見舞われた地域では、多くの建物が倒壊したほか、道路、電気、通信設備等のインフラ施設にも多大な被害が生じた。また、南阿蘇村では、地震の影響により発生した土砂災害によっても、人的被害、住家被害、道路損壊等の甚大な被害が発生した。 さらに、梅雨前線等の影響によ...