平成28年版 消防白書

第2章 消防防災の組織と活動

第1節 消防体制

1.消防組織

(1) 常備消防機関

常備消防機関とは、市町村に設置された消防本部及び消防署のことであり、専任の職員が勤務している。平成28年4月1日現在では、全国に733消防本部、1,714消防署が設置されている(第2-1-1表)。

第2-1-1表 市町村の消防組織の現況

消防職員は16万3,043人であり、うち女性職員は4,597人である(第2-1-1表、第2-1-1図)。

第2-1-1図 消防職団員数の推移

市町村における現在の消防体制は、大別して、〔1〕消防本部及び消防署(いわゆる常備消防)と消防団(いわゆる非常備消防)とが併存している市町村と、〔2〕消防団のみが存する町村がある。
平成28年4月1日現在、常備化市町村は1,690市町村、常備化されていない町村は29町村で、常備化されている市町村の割合(常備化率)は98.3%(市は100%、町村は96.9%)である。山間地や離島にある町村の一部を除いては、ほぼ全国的に常備化されており、人口の99.9%が常備消防によってカバーされている。
このうち一部事務組合又は広域連合により設置している消防本部は291本部(うち広域連合は22本部)であり、その構成市町村数1,109市町村(367市、602町、140村)は常備化市町村全体の65.6%に相当する。また、事務委託をしている市町村数は139市町村(34市、85町、20村)であり、常備化市町村全体の8.2%に相当する(第2-1-2図)。

第2-1-2図 消防本部の設置方式の内訳
(2) 消防団

消防団は、市町村の非常備の消防機関であり、その構成員である消防団員は、他に本業を持ちながらも、権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員として、「自らの地域は自らで守る」という郷土愛護の精神に基づき、消防防災活動を行っている。
平成28年4月1日現在、全国の消防団数は2,211団、消防団員数は85万6,278人であり、消防団は全ての市町村に設置されている(第2-1-1表、第2-1-1図)。
消防団は、

  • 地域密着性(消防団員は管轄区域内に居住又は勤務)
  • 要員動員力(消防団員数は消防職員数の約5.3倍)
  • 即時対応力(日ごろからの教育訓練により災害対応の技術・知識を習得)

といった特性を活かしながら、火災時の初期消火や残火処理、風水害時の警戒や救助活動等を行っているほか、大規模災害時には住民の避難支援や災害防御等を、国民保護の場合には避難住民の誘導等を行うこととなっており、特に消防本部・消防署が設置されていない非常備町村にあっては、消防団が消防活動を全面的に担っているなど、地域の安全・安心確保のために果たす役割は大きい。
また、消防団は、平常時においても火災予防の啓発や応急手当の普及等地域に密着した活動を展開しており、地域防災力の向上、地域コミュニティの活性化にも大きな役割を果たしている。

平成26年8月豪雨による広島市土砂災害での広島市消防団の活動

関連リンク

平成28年版 消防白書(PDF)
平成28年版 消防白書(PDF) 平成28年版 消防白書(一式)  はじめに  特集1 熊本地震の被害と対応  特集2 平成28年8月の台風等の被害と対応  特集3 消防団を中核とした地域防災力の充実強化  特集4 消防における女性消防吏員の活躍推進...
はじめに
はじめに 昨年は、気象庁による震度観測開始以降、初めて震度7を観測した平成7年(1995年)の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)から20年に当たる節目の年でした。そして、本年4月14日には、平成16年の新潟県中越地震、平成23年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に続き、4例目の震度7の地震が熊本...
1.地震の概要
特集1 熊本地震の被害と対応 1.地震の概要 平成28年4月14日21時26分、熊本県熊本地方の深さ11kmを震源として、マグニチュード6.5の地震が発生し、益城町で震度7を観測した(特集1-1表)。 さらに、28時間後の4月16日1時25分、熊本県熊本地方の深さ12kmを震源として、マグニチュード...
2.災害の概要
2.災害の概要 一連の地震により、激しい揺れに見舞われた地域では、多くの建物が倒壊したほか、道路、電気、通信設備等のインフラ施設にも多大な被害が生じた。また、南阿蘇村では、地震の影響により発生した土砂災害によっても、人的被害、住家被害、道路損壊等の甚大な被害が発生した。 さらに、梅雨前線等の影響によ...