第7節 航空消防防災体制
1.航空消防防災体制の現況
消防機関及び都道府県が保有する消防防災ヘリコプターは、救急搬送や救助、林野火災における空中消火等の活動で大きな成果を上げている。特に、地震等大規模な災害が発生し、ビルの倒壊や道路の陥没等により陸上交通路が途絶したり、津波や港湾施設の損壊等により海上交通路も途絶するような事態では、ヘリコプターの高速性・機動性を活用した消防防災活動は、重要な役割を果たしている。
東日本大震災では、全国各地の消防防災ヘリコプターが地震発生直後から出動し、早期に情報収集活動を実施したほか、津波により孤立した被災者の救出や人員・物資の輸送等で活躍し、消防防災ヘリコプターの特性が大いに発揮された。
また、消防庁は、消防防災ヘリコプターの円滑な運航・整備を推進するため、国庫補助金の活用による資機材の充実等の支援を行っている。
平成28年11月1日現在の消防防災ヘリコプターの保有状況は、消防庁保有が5機、消防機関保有が31機、道県保有が40機の計76機となっており、県内にヘリコプターの配備がない未配備県域は、佐賀県及び沖縄県の2県域である(第2-7-1図)。

消防防災ヘリコプターは、多様な消防活動でその能力を発揮しており、平成27年中の全国の出動実績は6,842件で、その内訳は、救急出動3,308件、救助出動2,218件、火災出動906件、情報収集・輸送等出動257件、緊急消防援助隊出動153件となっている(第2-7-2図、第2-7-3図、第2-7-1表)。



また、消防防災ヘリコプターの総運航時間は1万8,430時間で、その内訳は、災害出動が5,571時間(30.2%)、訓練出動が1万581時間(57.4%)、その他の業務が2,278時間(12.4%)となっている(第2-7-4図)。

なお、大規模災害時には、昭和61年(1986年)5月に定められた「大規模特殊災害時における広域航空消防応援実施要綱」に基づき、都道府県域を越えた応援活動が展開されており、平成27年中は、10件の広域航空消防応援が実施された(第2-8-1表)。
