平成28年版 消防白書

[消防防災科学技術の研究の課題]

消防庁における当面の重点研究開発目標を踏まえ、消防防災科学技術の研究開発について、着実に成果を達成するとともに、研究開発の成果について、技術基準等の整備や消防車両・資機材の改良等、消防防災の現場へ適時的確に反映していくことが、これまで以上に求められる。
消防防災科学技術の研究開発の推進に当たっては、消防防災科学技術の必要性の増大、対象とする災害範囲の拡大を踏まえ、消防研究センターは言うまでもなく、消防機関の研究部門の充実強化が必要である。また、関係者の連携については、関係府省、消防機関等行政間の緊密な連携はもとより、大学、研究機関、企業等との連携も更に推進していくことが必要であり、そうした連携の推進を図るためにも、消防防災科学技術研究推進制度の、より一層の充実が必要である。
研究成果を地震・津波、火災等の災害現場における消防防災活動や防火安全対策等に利活用するためには、研究成果の公表、具体的な活用事例等に関する情報共有化のより一層の推進が必要であり、特に消防研究センターの情報発信機能を、より強化することが重要である。
火災の原因調査や危険物流出等の事故原因調査も、火災や流出事故の予防にとって重要な消防の業務である。近年、製品に関連する火災をはじめ、原因調査に高度な専門知識が必要とされる事例が増加しており、製品の火災原因調査については、平成24年6月に消防機関の調査権限の強化を図る消防法が改正されたことを踏まえ、科学技術を活用した原因調査技術の高度化を更に図っていくことが必要である。

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