令和2年版 消防白書

10.製品火災対策の推進

近年、火災の出火原因が極めて多様化する中、自動車等、電気用品及び燃焼機器など、国民の日常生活において身近な製品からも火災が発生しており、消費者の安心・安全の確保が強く求められていることから、消防庁では製品火災対策の取組を強化している。
これらの火災について、消防庁では、各消防機関から火災情報を網羅的に収集する体制を確立し、発火源となった製品の種類ごとに火災件数を集計して、製造事業者名や製品名などを四半期ごとに公表することにより、国民への注意喚起を迅速かつ効率的に行っている。
令和元年中に自動車等、電気用品及び燃焼機器の不具合により発生したと消防機関により判断された火災について集計したところ、製品火災全体では797件、うち「製品の不具合により発生したと判断された火災」が221件、「原因は特定されたものの製品の不具合が直接的な要因となって発生したか判断できなかった火災及び原因の特定に至らなかった火災」が512件、「現在調査中の火災」が64件であった(第1-1-19図)。
なお、近年、電気用品に係る製品火災においては、バッテリーに起因するものが多く発生している傾向がある。平成30年2月1日からモバイルバッテリーについては、電気用品安全法に基づくPSEマークの表示が義務付けられており、当該表示がないものについて販売が制限されるなど、危険防止が図られている。

第1-1-19図 最近5年間の製品火災の調査結果の推移

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(令和2年5月31日現在)

第1-1-19図 最近5年間の製品火災の調査結果の推移

(備考)詳細については、消防庁ホームページ参照(URL:https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/cause/34530.html

この調査結果については、全国の消防機関に通知するとともに、収集した火災情報を消費者庁、経済産業省、国土交通省、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)と共有し、連携して製品火災対策を推進することとしている。
また、全国の消防機関が行う火災原因調査に対し、消防研究センターにおける専門的な知見や資機材による鑑識等の技術的支援を行うなど、消防機関の調査技術の向上を図り、火災原因調査・原因究明体制の充実に努めていくほか、製品火災に係る積極的な情報収集や、関係機関との連携強化を図ることにより、消費者の安心・安全を確保し、製品に起因する火災事故の防止を促進することとしている。

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