令和2年版 消防白書

2.流出事故

危険物施設における令和元年中の危険物の流出事故の発生件数は380件となっており、平成元年以降流出事故が最も少なかった平成6年(1994年)の174件と比較すると、危険物施設数が減少しているにもかかわらず、約2.2倍に増加している。主な発生要因については、人的要因によるもの、物的要因によるものいずれも多数発生しているが、物的要因によるもののうち、特に腐食疲労等劣化等の経年劣化によるものが増加している。

(1)危険物施設における流出事故発生件数と被害

令和元年中の危険物施設における危険物の流出事故の発生件数(火災に至らなかったもの)は、380件(対前年比23件減)、損害額は9億6,000万円(同4億6,600万円増)、死者は0人(前年同数)、負傷者は27人(前年同数)となっている(第1-2-7図)。
また、危険物施設別の流出事故の発生件数をみると、一般取扱所が最も多く、次いで給油取扱所、屋外タンク貯蔵所の順となっている(第1-2-8図)。
一方、危険物施設における流出事故発生件数のうち、98.2%が石油製品を中心とする第4類の危険物の流出となっている。これを品名別にみると、第2石油類(軽油等)が最も多く、次いで第3石油類(重油等)、第1石油類(ガソリン等)の順となっている(第1-2-9図)。

第1-2-7図 危険物施設における流出事故発生件数と被害状況

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(各年中)

第1-2-7図 危険物施設における流出事故発生件数と被害状況

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 単位未満を四捨五入しているため、合計等が一致しない場合がある。

第1-2-8図 危険物施設別流出事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(令和元年中)

第1-2-8図 危険物施設別流出事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

第1-2-9図 流出物質別流出事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(令和元年中)

第1-2-9図 流出物質別流出事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(2)危険物施設における流出事故の発生要因

令和元年中に発生した危険物施設における流出事故の発生要因をみると、人的要因が40.0%、物的要因が52.4%、その他の要因、不明及び調査中を合計したものが7.7%となっている。
また、発生要因別にみると、腐食疲労等劣化によるものが128件(対前年比2件減)と最も多く、次いで操作確認不十分によるものが51件(同7件減)、誤操作によるものが34件(同8件増)となっている(第1-2-10図)。

第1-2-10図 発生原因別流出事故発生件数

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

(令和元年中)

第1-2-10図 発生原因別流出事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故報告」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(3)無許可施設における流出事故

令和元年中の無許可施設における流出事故の発生件数は5件(対前年比2件減)であり、平成30年に引き続き死傷者は発生していない。

(4)危険物運搬中の流出事故

令和元年中の危険物運搬中の流出事故の発生件数は11件(対前年比1件減)であり、死者は0人(前年同数)、負傷者は0人(対前年比1人減)となっている。

(5)仮貯蔵・仮取扱い中の流出事故

令和元年中の仮貯蔵・仮取扱い中の流出事故の発生件数は1件(対前年比1件増)であり、平成30年に引き続き死傷者は発生していない。

関連リンク

令和2年版 消防白書(PDF版)
令和2年版 消防白書(PDF版) 令和2年版 消防白書 (一式)  令和2年版 消防白書 (概要版)  はじめに  特集1 最近の大規模自然災害への対応及び消防防災体制の整備  特集2 新型コロナウイルス感染症対策  特集3 消防団を中核とした地域防...
はじめに
はじめに 昨年は、令和2年7月豪雨や台風による自然災害に見舞われ、多くの人的・物的被害が生じました。 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、消防活動においても救急隊をはじめとして感染防止の徹底など様々な対応が求められました。 ...
1.令和2年7月豪雨による被害及び消防機関等の対応状況
特集1 最近の大規模自然災害への対応及び消防防災体制の整備 1.令和2年7月豪雨による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和2年7月3日から31日にかけて、日本付近に停滞した前線の影響で、暖...
2.令和2年台風第10号による被害及び消防機関等の対応状況
2.令和2年台風第10号による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和2年9月1日21時に小笠原近海で発生した台風第10号は、発達しながら日本の南を西北西に進み、5日から6日にかけて大型で非常に強い勢力で沖縄地方...