令和2年版 消防白書

2.消防団の充実強化施策

平成25年12月に成立した消防団等充実強化法(特集3-6図)等を踏まえ、消防庁では、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に向け取り組んでいる。

特集3-6図 消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律概要

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特集3-6図 消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律概要

(1)市町村における議論の創出等

地域防災力の一層の充実強化のため、平成31年4月26日には、総務大臣から都道府県知事及び市区町村長に対し書簡を発出し、地域防災力の充実強化をどのように図っていくのかを、住民、事業者をはじめ、消防団、自主防災組織など防災活動に携わる地域の多様な方々とともにしっかりと議論を行うことを依頼するとともに、地域防災力の中核的な役割を担う消防団について、将来の地域において消防団の果たす役割、機能に関する検討を行い、消防団の体制についての定量的な目標を設定した上で、その充実強化を図ることを依頼した。
さらに、令和元年12月13日には、消防庁長官から都道府県知事等に対し通知(以下「令和元年消防庁長官通知」という。)を発出し、上記のことを再度依頼するとともに、効果的に議論を進め、その成果を取りまとめるための「地域防災力自己診断カルテ」の活用を依頼した。

(2)消防団への加入促進

ア 事業者の協力

被雇用者である消防団員の割合の増加に伴い、消防団員を雇用する事業所の消防団活動への理解と協力を得ることが不可欠となっている。そのため、平成18年度から、「消防団協力事業所表示制度」の普及及び地方公共団体による事業所への支援策の導入促進を図っており、令和2年4月1日現在、当該制度を導入している市町村の数は1,329となっている(特集3-7図)。令和元年消防庁長官通知では、制度を導入していない市町村に対し、令和4年3月末日までに制度が導入されるよう早急に取り組むことを要請した。なお、消防団協力事業所の消防庁認定に当たっては、複数の事業所を持つ企業等は複数の事業所単位での認定も可能である。
また、事業所が、特別の休暇制度を設けて勤務時間中の消防団活動を可能としたり、従業員の入団を積極的に推進したりすることなどは、地域防災力の充実強化に資すると同時に、地域社会に貢献し、ひいては事業所の信頼性の向上にもつながるものである。そこで、平成27年、30年に加え、令和元年においても、一般社団法人日本経済団体連合会等の経済団体に対し、総務大臣から書簡を送付し、消防団活動に対する事業者の理解と協力を呼び掛けるとともに、当該団体の会員企業の従業員に対する消防団への加入促進及び勤務の免除やボランティア休暇の取得等、消防団活動に対する配慮を行うよう依頼した。総務大臣名での書簡を送付した後も、機会を捉えて、様々な経済団体や企業に対し消防団への協力を依頼している。
日本郵便株式会社に対しては、平成25年及び29年に、消防団活動への参加促進を依頼するとともに、令和元年消防庁長官通知において、各地方公共団体に対しても、郵便局への働き掛けを要請した。
令和2年には、郵便認証司が郵便法に基づく総務大臣の承認を得ずに消防団等との兼業を行っていた問題を踏まえ、郵便認証司と消防団の兼業手続を簡素化する郵便法施行規則の改正が行われるとともに、消防庁長官が日本郵便株式会社社長に対し、二度にわたり、社員の消防団への参加に対する協力と、入団する際の手続の周知について依頼した。
また、消防団活動への特に深い理解や協力を示すことにより、地域防災力の向上に寄与している事業所等及び消防団員確保に貢献している事業所等に対し、令和元年12月20日、消防庁長官が表彰を行った。

特集3-7図 消防団協力事業所表示制度

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特集3-7図 消防団協力事業所表示制度

イ 女性消防団員の活躍推進に向けた取組

(ア)消防団への加入促進
平成25年以降5度にわたり、総務大臣から全ての都道府県知事及び市区町村長に対して書簡を送付し、女性の消防団への加入促進に向けた積極的な取組について依頼した。令和元年消防庁長官通知では、女性の消防団への参加を促すとともに、女性消防団員が所属していない消防団について、令和4年3月末日までに女性消防団員が所属するよう早急に取り組むこと等を要請した。
また、令和2年3月9日、前年度と比較して女性消防団員数が相当数増加した11の消防団に対して、総務大臣から感謝状を授与した。
さらに、女性消防団員を増加させるため、消防庁では、平成27年度から、子育て期の女性消防団員等をサポートする取組など、地方公共団体が企業や大学等と連携して実施する事業への支援を行っている。加えて、平成30年3月、これらの取組をまとめた事例集を作成し、全ての都道府県及び市町村等に配布した。
あわせて、消防庁ホームページ内に女性の消防団への加入促進を図るためのポータルサイト(特集3-8図)を開設し、女性消防団員の活躍の様子や活動事例等を掲載している。また、毎年1~3月に実施している「消防団員入団促進キャンペーン」に併せて、女性向けの消防団員募集リーフレットを全国の市町村、消防本部等に配布し、女性に対する周知を図っている。

特集3-8図 消防団オフィシャルウェブサイト内「女性消防団員コーナー」

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特集3-8図 消防団オフィシャルウェブサイト内「女性消防団員コーナー」

(イ)全国女性消防操法大会の開催
女性消防団員等の消防技術の向上と士気の高揚を図るため、「全国女性消防操法大会」を開催しており、令和元年度は、11月13日、神奈川県横浜市において第24回大会を開催した。

全国女性消防操法大会
全国女性消防操法大会

(ウ)全国女性消防団員活性化大会の開催
女性消防団員の活動をより一層、活性化させることを目的として、「全国女性消防団員活性化大会」を毎年度開催している。全国の女性消防団員が一堂に会し、日頃の活動成果を紹介するとともに、意見交換を通じて連携を深めている。
令和2年度は、11月19日、徳島県徳島市において第26回大会を開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、令和3年度に延期することとした。

全国女性消防団員活性化大会(第25回青森大会)
全国女性消防団員活性化大会(第25回青森大会)

ウ 大学等の協力

平成25年12月、消防団等充実強化法の成立と併せて、文部科学省と連携し、大学等に対して消防団活動のための適切な修学上の配慮等を依頼した。また、文部科学省と協力し、全国国立大学学生指導担当副学長協議会に消防庁職員を派遣するなど、機会を捉えて積極的な働き掛けを行ってきた。
あわせて、平成28年には、文部科学省及び各国公私立大学長に対し、大学生の消防団への加入促進等について通知を発出した。その通知において、課外活動等の一つとして消防団活動を推奨するなど、学生の消防団活動への一層の理解促進や、学生が消防団活動に参加しやすい環境づくりに配慮するよう依頼した。
加えて、「消防団員入団促進キャンペーン」の実施に併せて、大学構内向け消防団員募集広告の掲示やポスターの配布等により、学生への理解促進を図っている。

エ 学生消防団活動認証制度

消防団に所属する大学生、大学院生、専門学校生等に対する就職活動支援の一環として、平成26年11月から「学生消防団活動認証制度」の普及を図っている。この制度は、真摯かつ継続的に消防団活動に取り組み、顕著な実績を収め、地域社会に多大な貢献をした学生消防団員に対し、市町村がその実績を認証するものである。
令和2年4月1日現在、当該制度を導入している市町村の数は323となっており、4年前である平成28年4月1日現在の数(69)と比べ、約4.7倍となっている(特集3-9図)。消防庁では、特に大学等が管内に所在する市町村において令和4年3月末日までに制度が導入されるよう早急に取り組むことなどを令和元年消防庁長官通知で要請しており、今後も引き続き導入に向けた働き掛けを行っていく。

特集3-9図 学生消防団活動認証制度

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特集3-9図 学生消防団活動認証制度

オ 社会環境の変化等に対応した制度等の導入

市町村が、全ての災害・訓練に出動する消防団員を基本としつつ、地域の実情に応じて消防団の組織・体制を整備することができるよう、市町村において以下に記載する制度の選択を可能とする方策を講じている。また、定年制度など、消防団員の条例上の採用要件として年齢・居住地等を制限している場合は、当該条例を見直すことにより、幅広い層の人材が入団できる環境の整備を図ることが必要である。

(ア)機能別団員制度
入団時に決めた特定の活動・役割に参加する制度である。

(イ)機能別分団制度
特定の活動・役割を実施する分団・部を設置し、所属する消防団員が当該活動を実施する制度である。

(ウ)休団制度
消防団員が出張、育児等で長期間にわたり活動することができない場合、消防団員の身分を保持したまま、一定の期間、消防団員としての活動の休止を消防団長が承認する制度である。
消防庁において平成29年10月から平成30年1月にかけて開催した「消防団員の確保方策等に関する検討会」の報告書の内容等を踏まえ、消防団員の確保・充実に向け、機能別団員制度の一つである「大規模災害団員」制度の浸透等に取り組んでいる。平成30年1月19日には、総務大臣から全ての都道府県知事及び市区町村長に対して書簡を送付するとともに、各地方公共団体に対し、「大規模災害団員」制度の積極的な導入など、消防団員の確保等に向けた重点取組事項について通知を発出した。当該通知において、「大規模災害団員」の活動の具体例として、大規模災害時に新たに発生する避難誘導・安否確認や避難所運営支援等の活動、事業所等で所有する重機やドローン等の資機材を当該事業所等の従業員等が活用して行う啓開や情報収集活動などを示している。また、令和元年消防庁長官通知では、「大規模災害団員」等の機能別団員・機能別分団制度を導入していない市町村に対し、制度の導入を早急に検討するよう要請したほか、消防団員の退団対策として、休団制度の活用の検討や定年年齢の60歳以上への引上げを令和4年3月末日までに行うこと等を要請した。

カ 国家公務員の加入促進

消防団等充実強化法第10条において、公務員の消防団員との兼職に関する特例規定が設けられた。この規定により、国家公務員の消防団への加入を容易にする環境整備がなされたことを踏まえ、平成26年6月、職員の消防団への加入を促進するよう、各府省に対し働き掛けを行った。また、令和元年5月7日、各府省に対し、通知を発出し、改めて周知を行った。

キ 地方公共団体に対する働き掛け

平成25年以降、総務大臣から全ての都道府県知事及び市区町村長に対して送付した書簡において、地方公務員をはじめとした消防団員確保に向けた一層の取組のほか、消防団員の処遇改善等を依頼している。
また、令和元年消防庁長官通知では、これまで述べてきたことに加え、市町村職員等の消防団への加入促進を図ることや、消防職団員OBを「大規模災害団員」等の消防団員として位置付けることなどを要請した。さらに、首長が参加する会議に消防庁職員を派遣するなど、機会を捉えて積極的な働き掛けを行った。

ク 先進事例の紹介

消防団への加入促進に係る地方公共団体や消防団の取組について情報収集を行い、消防庁ホームページ等を通じて紹介を行っている。

ケ 総務大臣による感謝状の授与

令和2年3月9日、前年度に比べて全ての消防団員や女性・学生消防団員が相当数増加した43の消防団に対し、総務大臣から感謝状を授与した。

コ 加入促進のための先進的な取組の支援

女性や若者をはじめとした消防団員を更に増加させるため、消防庁として、平成27年度から、地方公共団体が企業や大学等との連携により、女性や大学生等の消防団への加入促進を図る取組を支援しており、令和元年度までに173件の事業を実施している。

(3)消防団員の処遇の改善

消防団員に支給される退職報償金について、平成26年に全階級で一律5万円(最低支給額20万円)の引上げを行った。
また、消防団員の年額報酬及び出動手当について、平成26年、30年及び31年に総務大臣から都道府県知事及び市区町村長に対して書簡を送付し、改善を依頼したほか、令和元年消防庁長官通知では、特に年額報酬が1万円未満の市町村に対し、原則として令和4年3月末日までに引上げること等を要請した。
こうした要請の結果、年額報酬の平均額は29,707円(平成26年4月1日現在)から30,925円(令和2年4月1日現在)まで増額された。また、報酬を支給しない「無報酬団体」は平成27年度に解消したほか、報酬が1万円未満の市町村も、令和2年4月1日現在で6団体まで減少した。
一方で、2年連続で消防団員が1万人以上減少するなど、団員確保策が課題となっていることや、近年相次ぐ風水害等で消防団員が大きな役割を果たしていることを踏まえ、災害に係る出動手当の引上げなど消防団員の処遇の改善を求める総務大臣の書簡を送付した。あわせて、消防団員の処遇の改善等に係る検討会を開催し、消防団員の確保対策を検討していくこととした。

(4)装備等の充実強化

消防団等充実強化法の成立を契機として、消防庁では、消防団の装備等の充実強化に向け、平成26年の「消防団の装備の基準」の改正のほか、以下の取組を行っている。

ア 消防団の救助活動用資機材等の整備に対する国庫補助

平成30年12月14日に閣議決定された3か年緊急対策として、消防団の災害対応能力の向上を図るため、国庫補助金(消防団設備整備費補助金(消防団救助能力向上資機材緊急整備事業))を新設した(詳細は特集1を参照)。
本補助金の積極的な活用を通じ、消防団の装備の充実及び災害対応能力の向上を進めている。

イ 救助用資機材等搭載型消防ポンプ自動車等の無償貸付

同じく3か年緊急対策として、市町村に対し、救助用資機材等を搭載した消防ポンプ自動車等を無償で貸し付け、訓練等を支援している(詳細は特集1を参照)。

ウ 情報収集活動用資機材及び小型動力ポンプの無償貸付

平成29年度当初予算、平成30年度当初予算及び令和元年度当初予算により、全都道府県の消防学校に対し、災害現場の状況を速やかに把握するための情報収集活動用資機材(オフロードバイク、ドローン)や、女性・若者が扱いやすい小型動力ポンプを無償で貸し付け、消防学校での消防団員に対する訓練を支援している。

エ 救助用資機材等の無償貸付

令和2年度当初予算により、消防団に対し、災害対応能力の向上のための救助用資機材等(発電機や投光器、ボート等)を無償で貸し付け、消防団員に対する訓練を支援している。

オ 消防団拠点施設及び地域防災拠点施設の整備

各市町村が消防団拠点施設や地域防災拠点施設において標準的に備えることを要する施設・機能(研修室、資機材の収納スペース、男女別の更衣室・トイレ等)について、地方財政措置等の活用により整備することを促進している。

(5)教育・訓練の充実

消防団の現場のリーダーの教育訓練の充実を図るため、平成26年3月に「消防学校の教育訓練の基準」を改正したほか、火災防御、救助救命、避難誘導等における的確な現場指揮、安全管理の知識及び技術の向上や、自主防災組織等への指導・育成を消防団員が行う上で必要となる教育用教材を作成し、平成26年度から消防学校に配布している。
また、平成30年度には、平成28年の新潟県糸魚川市大規模火災の教訓を踏まえ、「消防団員のための強風下における消防活動要領」を作成し、消防庁ホームページに掲載している。
さらに、令和2年度には、消防団員が救助用資機材等を安全で円滑に利用できるようにするため、都道府県の消防学校に講師を派遣し、救助用資機材等の技術講習を実施している。

(6)消防団活動の活性化等

ア 全国消防団員意見発表会の実施等

地域における活動を推進するとともに、消防団員の士気の高揚を図るため、全国各地で活躍する消防団員による意見発表会を毎年度開催しており、令和元年度は、12月20日に開催した。
また、地域に密着した模範となる活動を行っている消防団や、消防団員の確保に特に力を入れている消防団、大規模災害等において顕著な活動を行った消防団に対する表彰を行い、その取組内容を取りまとめ、全国に発信している。

イ 消防団員入団促進キャンペーンの全国展開

消防団員の退団が毎年3月末から4月にかけて多く、退団に伴う消防団員の確保の必要性があることを踏まえ、毎年1月から3月までを「消防団員入団促進キャンペーン」期間として、入団促進に向け、消防団員募集ポスター(特集3-10図)やリーフレット(特集3-11図)を作成して全国の市町村・消防本部等に配布するなどにより、広報の全国的な展開を重点的に行っている。令和元年度は、前年度に引き続き、リーフレットをファミリーレストランに設置するなどの取組を行った。

特集3-10図 消防団員募集ポスター

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特集3-10図 消防団員募集ポスター

特集3-11図 消防団員募集リーフレット

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特集3-11図 消防団員募集リーフレット

ウ 消防団活動のPR

消防庁ホームページにおいて、消防庁における最新施策や最新情報のほか、各消防団における取組事例等を掲載し(特集3-12図)、消防団活動や加入促進のPRに努めている。
(参照URL:https://www.fdma.go.jp/syobodan/
また、地域住民に消防団をより身近なものとして知ってもらうため、令和2年2月に各都道府県及び市町村から消防団に関する動画作品を募集し、優秀な作品を表彰する「消防団PRムービーコンテスト」を実施した。

特集3-12図 消防団のオフィシャルウェブサイト

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特集3-12図 消防団のオフィシャルウェブサイト

エ 消防団等充実強化アドバイザーの派遣

平成19年4月から、消防団の充実強化等に関する豊富な知識や経験を有する消防職団員等を、「消防団等充実強化アドバイザー」として地方公共団体等に派遣し、消防団への加入促進、消防団の充実強化等を図るための具体的な助言や情報提供を行っている。
令和2年4月1日現在、26人のアドバイザー(うち女性8人)が全国で活躍している。

オ 全国消防操法大会の開催

消防団員の消防技術の向上と士気の高揚を図るため、「全国消防操法大会」を開催している。令和2年度は、10月16日、千葉県市原市において第27回大会を開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、中止することとした。

カ 地域防災力充実強化大会の開催

消防団等充実強化法の成立等を踏まえ、地域防災力の充実強化を図るため、「地域防災力充実強化大会」を平成27年度以降開催しており、令和元年度は、10月25日、福岡県北九州市において開催した。
今後とも、地域防災力の充実強化に向けた地域での気運の醸成を図っていく。

キ 準中型自動車免許の新設に伴う対応

道路交通法の改正により、平成29年3月12日から、準中型自動車免許が新設されるとともに、同日以後に取得した普通自動車免許で運転できる普通自動車の範囲は車両総重量3.5トン未満等とされた。これに伴い、車両総重量3.5トン以上の消防自動車を所有している消防団において、将来的に当該自動車を運転する消防団員の確保が課題となる。
そこで、消防庁では、平成30年1月25日、各地方公共団体に対し、消防団員の準中型自動車免許の取得に係る公費助成制度の新設及び改正道路交通法施行後の普通自動車免許で運転できる消防自動車の活用を依頼した。当該公費助成制度を設けた地方公共団体に対しては、平成30年度から特別交付税による地方財政措置を講じている(特集3-13図)。
さらに、令和元年度には、消防庁と警察庁が連携し、普通免許を有していなくても準中型自動車免許を取得することが可能であること及び準中型自動車免許取得において地方公共団体により創設される公費助成制度の活用が可能であることを、地方公共団体や自動車教習所等を通じ、周知した。
今後とも、消防団の実情を注視し、消防団車両の運行に支障が生じないよう努める。

特集3-13図 消防団員の準中型自動車免許取得に係る公費助成制度を設けている市町村数の推移

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(各年4月1日現在)

特集3-13図 消防団員の準中型自動車免許取得に係る公費助成制度を設けている市町村数の推移

(備考)「消防団の組織概要等に関する調査」により作成

ク 消防団員のマイカー共済

消防団の活動に際しては、自家用自動車を使用する消防団員が多い中、令和元年東日本台風(台風第19号)による災害出動などに伴い、消防団員が使用した自家用自動車が水没する被害が生じた。
このような急を要する活動のために、消防団員がやむを得ず、自家用自動車を使用した場合において、原則、消防団員に個人的負担を生じさせることなく、安心して活動に従事してもらうことが必要であることから、消防団活動を下支えする取組として、令和2年4月1日より、公益社団法人全国市有物件災害共済会(以下「共済会」という。)及び一般財団法人全国自治協会(以下「自治協会」という。)が、消防団員が災害活動等で使用した自家用自動車等に生じた損害を補償する共済を開始した。あわせて、市町村が共済会又は自治協会に支払う分担金に対しては、令和2年度は特別交付税による地方財政措置を講じることとしている。

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