令和4年版 消防白書

5.火災種別ごとの状況

(1)建物火災

令和3年中の建物火災の出火件数は1万9,549件(対前年比184件増)となっている(資料1-1-9)。

ア 建物火災の55.9%が住宅火災で最多

建物火災の出火件数を火元建物の用途別にみると、住宅での火災が1万936件と最も多く、全体の55.9%を占めている(第1-1-17図、資料1-1-40)。
建物火災の要因としては、こんろ、たばこ、電気機器によるものが多くなっている(資料1-1-41)。
また、月別の出火件数をみると、1月が最も多くなっており、冬季から春季にかけて多く発生している(資料1-1-42)。

第1-1-17図 建物火災の火元建物用途別の状況

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第1-1-17図 建物火災の火元建物用途別の状況

(備考)
1 「火災報告」により作成
2 共同住宅、工場・作業場、事務所等、倉庫、飲食店及び物品販売店舗の区分は、消防法施行令別表第一による区分。
なお、複合用途については、消防法施行令別表第一により区分される特定複合用途及び非特定複合用途の出火件数の合計数。

イ 建物火災の38.6%が木造建物で最多

建物火災の出火件数を火元建物の構造別にみると、木造建物が最も多く、7,543件となっている。火元建物以外の棟に延焼した火災件数の割合(延焼率)を火元建物の構造別にみると、木造が最も高くなっている。火元建物の構造別に火災1件当たりの焼損床面積をみると、木造は全建物火災の平均の1.5倍となっている(資料1-1-43)。
また、出火件数を損害額及び焼損床面積の段階別にみると、1件につき損害額が10万円未満の火災の出火件数が建物火災全体の55.3%を占めている。また、焼損床面積50㎡未満の火災の出火件数が、建物火災全体の79.0%を占めている(資料1-1-44)。

ウ 建物火災の48.9%で放水を実施

消防機関が火災を覚知し、消防隊が出動して放水を行った建物火災の件数は、1万9,549件中、9,569件(48.9%)となっている(資料1-1-45)。

エ 30分以内に鎮火した建物火災件数2,279件

消防隊が放水した建物火災のうち、放水開始後30分以内に鎮火に至った件数は2,279件となっており、このうち放水開始後11分から20分までに鎮火に至ったものが786件と最も多くなっている(資料1-1-46)。

(2)林野火災

令和3年中の林野火災の出火件数は1,227件(対前年比12件減)、焼損面積は789ha(同341ha増)、死者数は11人(同6人増)、損害額は1億7,642万円(同2,505万円減)となっている(資料1-1-47)。
林野火災は、空気が乾燥し強風が吹く2月から4月に多く発生している(第1-1-18図)。
林野火災の出火件数を焼損面積別にみると、焼損面積10ha未満は1,214件で、全体の98.9%を占めている(資料1-1-48)。
林野火災の出火件数を原因別にみると、たき火によるものが375件(全体の30.6%)と最も多く、次いで火入れ*2が247件(同20.1%)、放火(放火の疑いを含む。)が104件(同8.5%)の順となっている(資料1-1-49)。

第1-1-18図 林野火災の月別出火件数

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第1-1-18図 林野火災の月別出火件数

(3)車両火災

令和3年中の車両火災の出火件数は3,512件(対前年比46件増)、死者数は71人(放火自殺者等39人を含む。同19人減)、損害額(車両火災以外の火災種別に分類している車両被害は除く。)は21億5,290万円(同4億90万円増)となっている(資料1-1-50)。
車両火災の出火件数を原因別にみると、排気管によるものが531件(全体の15.1%)と最も多く、次いで交通機関内配線が316件(同9.0%)、電気機器が254件(同7.3%)の順となっている(資料1-1-51)。

(4)船舶火災

令和3年中の船舶火災の出火件数は63件(対前年比15件減)、死者数は2人(同1人減)、損害額(船舶火災以外の火災種別に分類している船舶被害は除く。)は6億8,414万円(同2億7,359万円増)となっている(資料1-1-52)。
船舶火災の出火件数を原因別にみると、交通機関内配線によるものと排気管によるものがともに5件(全体の7.9%)と多くなっている。

(5)航空機火災

令和3年中の航空機火災の出火件数は0件(前年同数)、死者数は0人(前年同数)、損害額(航空機火災以外の火災種別に分類している航空機被害は除く。)は0円(前年同額)となっている(資料1-1-53)。

*2 火入れ:土地の利用上の目的をもって、その土地の上にある立木竹、雑草、堆積物等を面的に焼却する行為