令和4年版 消防白書

1.火災事故

危険物施設における令和3年中の火災事故の発生件数は224件となっており、平成元年(1989年)以降火災事故が最も少なかった平成5年(1993年)の107件と比較すると、危険物施設が減少しているにもかかわらず、約2.1倍に増加している。主な発生要因については、維持管理不十分、操作確認不十分等の人的要因によるものが多くを占めている。

(1)危険物施設における火災事故発生件数と被害

令和3年中の危険物施設における火災事故の発生件数は224件(対前年比37件増)、損害額は70億4,692万円(同59億5,657万円増)、死者は0人(同2人減)、負傷者は36人(同3人増)となっている(第1-2-2図)。
また、危険物施設別の火災事故の発生件数をみると、一般取扱所が最も多く、次いで製造所、給油取扱所の順となっており、これらの3施設区分の合計で全体の95.1%を占めている(第1-2-3図)。
一方、火災事故224件のうち110件(全体の49.1%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-2-4図)。

第1-2-2図 危険物施設における火災事故発生件数と被害状況

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第1-2-2図 危険物施設における火災事故発生件数と被害状況

(備考)「危険物に係る事故の概要」により作成

第1-2-3図 危険物施設別火災事故発生件数

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第1-2-3図 危険物施設別火災事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故の概要」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

第1-2-4図 出火原因物質別火災事故発生件数

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第1-2-4図 出火原因物質別火災事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故の概要」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(2)危険物施設における火災事故の発生要因

令和3年中に発生した危険物施設における火災事故の発生要因をみると、人的要因が53.6%、物的要因が27.2%、その他の要因、不明及び調査中を合計したものが19.2%となっている(第1-2-5図)。
また、着火原因別にみると、静電気火花が50件(対前年比19件増)と最も多く、次いで過熱着火が26件(同3件減)、高温表面熱が23件(同4件減)、電気火花が23件(同14件増)となっている(第1-2-6図)。

第1-2-5図 発生要因別火災事故発生件数

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第1-2-5図 発生要因別火災事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故の概要」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

第1-2-6図 着火原因別火災事故発生件数

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第1-2-6図 着火原因別火災事故発生件数

(備考)
1 「危険物に係る事故の概要」により作成
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

(3)無許可施設における火災事故

危険物施設として許可を受けるべき施設であるにもかかわらず、許可を受けていないもの(以下「無許可施設」という。)における令和3年中の火災事故の発生件数は7件(対前年比4件増)であり、死者は0人(前年同数)、負傷者は3人(同1人増)となっている。

(4)危険物運搬中の火災事故

令和3年中の危険物運搬中の火災事故の発生件数は1件(対前年比1件増)となっている。

(5)仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故

令和3年中の仮貯蔵・仮取扱い*3中の火災事故の発生件数は0件(前年同数)となっている。

*3 仮貯蔵・仮取扱い:危険物施設として許可を受けていない場所において、所轄消防長又は消防署長の承認を受け、10日以内の期間に限り、消防法で指定された数量以上の危険物を仮に貯蔵し、又は取り扱うことをいう。