令和4年版 消防白書

【コラム】国民保護に係る避難施設の指定促進

国民保護における避難施設について

国民保護法において、都道府県知事や指定都市の長は、住民を避難させ、又は避難住民等の救援を行うため、公園、広場その他の公共施設や、学校、公民館、駐車場、地下街その他の公益的施設を、あらかじめ避難施設として指定しなければならないこととされている。
また、国民の保護に関する基本指針(平成17年3月25日閣議決定)においても、区域の人口、都市化の状況、防災のための避難場所の指定状況等地域の実情を踏まえ、発生の可能性のある事態を念頭に置き、市町村と連携しつつ、避難施設を指定するものとされている。
併せて、爆風等からの直接の被害を軽減するための一時的な避難に活用する観点から、コンクリート造り等の堅ろうな建築物や地下街、地下駅舎等の地下施設(緊急一時避難施設)を指定するよう配慮することとされている。
政府としては、令和3年度からの5年間を集中取組期間として指定に向けた働きかけを行っており、消防庁としても、関係省庁と連携してこれら緊急一時避難施設等の指定の促進を進めているところである。最近では我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを踏まえ、都道府県及び指定都市に対し、公共施設のみならず民間企業が管理主体である施設についても、更なる避難施設への指定に取り組むことや、災害対策基本法上の指定緊急避難場所及び指定避難所のうち、国民保護法上の避難施設として活用できる施設については、市町村と連携し、避難施設に指定できるよう、一層の取組を進めていただきたいことなどを通知(令和4年3月31日付け消防国第71号)により依頼している。
令和3年4月1日現在、全国で9万4,125か所の避難施設が指定されている(うち緊急一時避難施設5万1,994か所(うち地下施設1,278か所))。

近年の避難施設の指定促進に係る取組について

緊急一時避難施設のうち、特に爆風等からの被害の軽減効果が高いと考えられる地下施設について、令和元年度から内閣官房や国土交通省と連携して、指定権者と地下街や地下駅舎等の管理者の両者に対して、指定に向けた取組を行うよう働きかけを行っている。このうち、地下駅舎については、令和4年に東京都内において129か所が、大阪府内において108か所が指定されるなど進捗がみられ、全国では令和2年4月では0か所であったが、令和4年10月現在では516か所が指定されている。
また、国民保護法において、避難施設としての指定に当たっては、当該施設の管理者の同意を得なければならないことから、消防庁は、避難施設の指定権者である都道府県知事及び指定都市の長に対し、指定を行う上で施設管理者との調整において参考となる各種留意事項等について連絡し、また、指定に際して困難に直面するこれらの指定権者へ聞き取りを行い、必要に応じて関係省庁への働きかけを行うなどにより、指定の促進を図っている。
令和4年度にあっても、先行事例の収集や、指定に際して困難に直面している個別の自治体のフォローによる好事例の作成等を通じて、取組の横展開を進めている。
また、今後は、地下街、地下駅舎、地下道等のこれまで指定の進捗のあった施設類型のみならず、地下駐車場などの施設類型についても同様の取組により指定の促進を進めていく。
これら避難施設については、国民保護に係る情報をわかりやすく説明することを目的として、国民保護に関する概要や弾道ミサイル落下時の行動等について掲載している内閣官房国民保護ポータルサイトにおいて、地図や自治体ごとの一覧表により、緊急一時避難施設の場所、その施設類型(堅ろうな施設、地下施設)などを参照することが可能である。

<国民保護ポータルサイト>
https://www.kokuminhogo.go.jp/

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地下街(福岡市・天神地下街)
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地下駅舎(東京都・東京メトロ桜田門駅)
地下駅舎(東京都・東京メトロ桜田門駅)