3．10月4日と11月3日の事案の情報伝達における課題と対応

（1）情報伝達における課題について

10月4日のミサイル発射事案については、内閣官房のシステム上の不具合により、東京都島しょ部に誤って送信されたことが判明し、直ちに内閣官房においてシステム改修が行われた。
また、Jアラートの送信時間を一層早めることなどについて、様々な意見があることを踏まえ、内閣官房と関係省庁が連携して改善策を検討することとしている。
さらに、このミサイル発射事案については、配信されたミサイル発射情報及び通過情報は、対象地域の各市町村の市町村防災行政無線等で情報伝達が行われたが、消防庁で伝達状況の確認を行った結果、6市町で情報伝達に支障があった。
情報伝達に支障のあった6市町について、消防庁が確認を行ったところ、Jアラート受信機や防災行政無線操作機器の故障、受信機の動作設定ミス等が支障の原因と判明した。
また、携帯電話事業者を介して利用者に送信される緊急速報メールについては、大半の利用者には送信されたが、Jアラートの配信設定誤りにより一部の携帯電話事業者の利用者には緊急速報メールが送信されていないことが判明し、直ちに配信設定を修正した。
11月3日のミサイル発射事案については、配信されたミサイル発射情報及び通過情報は、対象地域全ての市町村で緊急速報メール及び防災行政無線等、いずれかの手段により住民への情報伝達がなされたことを確認したが、消防庁で伝達状況の確認を行った結果、1村で情報伝達に支障があった。
当該情報伝達に支障のあった団体について、消防庁が確認を行ったところ、防災行政無線を自動的に起動させる機器に支障があったと判明した。

（2）情報伝達における課題に対する消防庁の対応

消防庁では、10月4日のミサイル発射事案においては支障のあった6市町に、11月3日のミサイル発射事案においては同じく支障のあった1村に対し、直ちに機器の故障や設定の誤りについて早急な復旧を行うよう働きかけ、併せて早急に復旧できない状況であった市町については、その他の伝達手段の活用等による体制の確保を求めるなど、住民への情報伝達に支障がないように努めた。
10月4日のミサイル発射事案が発生した翌日の10月5日には、全都道府県を通じて市町村に対し、Jアラートによる情報伝達に支障が生じた地方公共団体があった旨を周知し、Jアラート機器の点検・正常な動作確認を要請する旨の通知を行った。10月6日には全都道府県に対し、この度の事案において生じた支障事例とともに、その原因（受信機の故障、受信機の動作ルールの設定ミス、防災行政無線の故障、登録制メールの配信不良など）及び対策（早期の代替機の手配、動作ルールの確認、機器の早急な修理など）について周知を行った（特集5-4図）。
また、11月3日のミサイル発射事案においても、直ちに全都道府県を通じて市町村に対し、Jアラートによる情報伝達に支障が生じた地方公共団体があった旨を周知し、Jアラート機器の点検・正常な動作確認を要請する旨の通知を行った。翌日の11月4日には、全市町村に対してJアラートシステムの関連機器を緊急点検し、支障があった場合の速やかな復旧のための措置を講じること及び支障の状況について消防庁への報告を求めた。
こうしたJアラートによる情報伝達の支障事案には、受信機の動作ルールの設定等のミスや防災行政無線の故障など、人為的要因と機械的要因によるものが主となっており、全国的な共通性や類似性が見受けられる（特集5-5図）。また、その背景や対応についても共通性がみられ、他部門との連携強化、委託先事業者への機器点検や設定確認の要請、機器の基本的な操作方法の習熟が求められる（特集5-6図）。
これらのことから、Jアラートを運用する全ての地方公共団体を対象とした全国一斉情報伝達試験（特集5-7図）を四半期ごとに実施するとともに、全てのJアラート受信機関を対象とした導通試験を毎月実施している。
併せて、地方公共団体のJアラート担当職員を対象とした国民保護・Jアラート研修会の開催により、Jアラートの運用に支障がないように努めている。
今後は、引き続き点検やテストを切れ目無く行い、支障のあった団体に対し、その都度その原因を調査し早急に改善を図るための支援体制を強化するなど、関係省庁と連携して、これらの試験のあり方について一層の検討を行い、国民に対する速やかな情報伝達を図っていく。
さらに、市町村防災行政無線のほか、音声告知端末等その他の情報伝達手段とJアラートとの連携を進めることにより、Jアラートによる自動起動が可能な情報伝達手段の多重化を進めることとする（詳細は第3章第1節参照）。

特集5-4図　10月4日のミサイル発射事案に係るJアラートの情報伝達における主な支障事例と対策

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