令和4年版 消防白書

2.10月4日と11月3日のミサイル発射事案の概要

(1)令和4年10月4日のミサイル発射事案の概要

ア ミサイル発射事案概要

北朝鮮は、令和4年10月4日7時22分頃、北朝鮮内陸部から1発の弾道ミサイルを東方向に発射した。当該弾道ミサイルは、最高高度約1,000km程度で、約4,600km程度飛翔し、同日7時28分頃から7時29分頃にかけて青森県上空を通過した後、7時44分頃、日本の東約3,200kmの我が国の排他的経済水域(EEZ)外に落下したものと推定される。北朝鮮のミサイル発射による、我が国の領土・領海の上空通過は平成29年以来5年ぶりとなる。

イ Jアラートによる情報伝達

同日7時27分、ミサイル発射情報を対象地域の北海道、東京都島しょ部、7時29分、青森県、東京都島しょ部に対してJアラートで伝達した。
7時42分、ミサイル通過情報を対象地域の北海道及び青森県に対してJアラートで伝達した(ミサイル発射情報及び通過情報の発信は、携帯電話事業者ルートと地方公共団体ルートの両ルートで行われた。)。

(2)令和4年11月3日のミサイル発射事案の概要

ア ミサイル発射事案概要

北朝鮮は、令和4年11月3日7時台から8時台にかけてICBM級の可能性のあるものを含む少なくとも3発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射した。うち同日7時39分頃に北朝鮮西岸付近から発射されたICBM級の可能性のある弾道ミサイルは、最高高度約2,000km程度で、約750km程度飛翔し、朝鮮半島東側の日本海に落下した。なお、日本列島を越えて飛翔する可能性があると探知したものについては、その後、当該情報を確認したところ、探知したものは日本列島を越えず、日本海上空にてレーダーから消失したことが確認されたことを政府から発表している。

イ Jアラート等による情報伝達

同日7時50分、ミサイル発射情報を対象地域の宮城県、山形県、新潟県に対してJアラートで伝達した。
8時00分、ミサイル通過情報を対象地域に対してJアラートで伝達した(ミサイル発射情報及び通過情報の発信は、携帯電話事業者ルートと地方公共団体ルートの両ルートで行われた。)。
9時24分、内閣官房から地方公共団体等に対して、Em-Net(エムネット)により訂正情報(ミサイルが日本列島を超えず、日本海上空にて消失したことを確認)の配信(特集5-3図)が行われた。

特集5-3図 11月3日9時24分のEm-Net(エムネット)提供情報

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特集5-3図 11月3日9時24分のEm-Net(エムネット)提供情報

(3)10月4日と11月3日の事案を受けての消防庁の対応

消防庁は、10月4日の事案ではJアラートによる情報伝達と併せて、7時27分に消防庁長官を長とする消防庁緊急事態調整本部を設置し、全国の地方公共団体に対して情報提供を行うとともに、7時30分、ミサイル発射情報の対象地域に対して適切な対応及び被害報告について要請を行った。
11月3日の事案では、Jアラートによる情報伝達と併せて、全国の地方公共団体に対して情報提供を行うとともに、7時55分、ミサイル発射情報の対象地域に対して適切な対応及び被害報告について要請を行った。
なお、両日とも、落下物情報及び被害状況等を確認した結果、Jアラート対象地域の全ての地方公共団体から、被害なしとの報告を受けている。