令和7年版 消防白書

2.愛媛県今治市における林野火災への対応

(1)災害の概要

令和7年3月23日15時53分(覚知)に愛媛県今治市長沢で発生した林野火災は、今治市消防本部が消火活動等を実施したが、出火当時は乾燥注意報が発表されていたこともあり、急激に延焼し、その後も火炎が強風にあおられるなどにより延焼が拡大したため、同日に相互応援協定に基づく航空部隊の応援要請及び自衛隊に対する災害派遣要請、翌24日には愛媛県内消防応援部隊の応援要請、25日には緊急消防援助隊の応援要請が実施された。
この結果、ヘリコプターによる空中消火や地上からの消火活動等が、地元消防本部を含めた1日当たり最大で1,000人規模で昼夜を通じて実施され、3月31日11時00分に鎮圧、4月14日15時00分に鎮火した(特集1-2図)。

特集1-2図 愛媛県今治市における林野火災による延焼範囲(地理院タイル(標準地図)を加工して作成)

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特集1-2図 愛媛県今治市における林野火災による延焼範囲

 

(2)火災による被害状況

この火災は今治市から隣接の西条市にも延焼し、両市合わせて負傷者4人、住家5棟、非住家22棟の建物被害、481.6haを焼損するなどの被害が発生した(令和7年11月20日現在)。また、避難指示は、最大時には今治市3,056世帯5,988人、西条市792世帯1,506人の計3,848世帯7,494人に対して発令された。

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今治市火災現場周辺の様子

今治市火災現場周辺の様子

(3)政府の主な動き、消防庁の対応及び消防機関等の活動

ア 政府の主な動き

政府においては、3月24日9時00分に情報連絡室を設置し、3月26日9時00分に官邸対策室に改組した。

イ 消防庁の対応

消防庁では、当初から情報収集を開始するとともに、3月23日20時40分に国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部(第2次応急体制)を設置し、愛媛県知事から消防庁長官に対する緊急消防援助隊の応援要請を受け、3月25日17時10分に消防庁長官から出動の求めを行い、同時刻に消防庁長官を長とする消防庁災害対策本部(第3次応急体制)に改組した。
また、被災地との情報連絡体制をより強固なものとするため、3月25日に愛媛県庁、今治市役所及び今治市消防本部へ消防庁職員7人を派遣した。その後3月31日に撤収するまで現地に派遣された消防庁職員は、延べ9人となった。

ウ 消防機関等の活動

(ア)地元消防本部等の活動
3月23日、本火災を覚知した今治市消防本部は、山麓部にある消火栓から水利を確保し、消火活動を行った。その後、東側に延焼拡大したため、消防隊を増隊して火元を東西で挟み込む態勢をとって活動を行った。
24日には、火元から南側に位置する世田山及び笠松山方向へ延焼拡大し、さらに、北側に飛び火を確認したため、部隊を増隊して、広範な林野内にある複数の火点に対して消火活動等を行った。
25日からは強風により更に延焼拡大したが、愛媛県消防広域相互応援協定に基づく県内からの消防隊の応援を得て、さらに、緊急消防援助隊を要請し、特に住宅地への延焼阻止を重点的に行った。
3月24日には隣接の西条市にも一部が延焼し、西条市消防本部が消火活動等に当たった。
今治市消防本部は延べ564人、西条市消防本部は延べ448人、県内消防応援部隊は延べ964人が消火活動等に当たった。

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今治市における林野火災の様子

今治市における林野火災の様子

(イ)緊急消防援助隊の活動
消防庁災害対策本部では、3月25日17時10分に愛媛県知事から緊急消防援助隊の応援要請を受け、同時刻、消防庁長官から広島県、香川県及び徳島県に、緊急消防援助隊の出動の求めを行った。同日20時13分には、広島市消防局の統括指揮支援隊が今治市消防本部に到着し、活動を開始した。その後も消防活動の状況に応じて順次出動の求めを行い、8府県から緊急消防援助隊が出動、地元消防本部、消防団等も含め、1日当たり最大1,000人規模で陸上及び空中の両方から消火活動等に従事した。
陸上部隊は3月31日まで、航空部隊は4月10日まで活動を継続した。緊急消防援助隊としては、3月25日から4月10日までの17日間にわたって延べ636隊、2,301人及び消防防災ヘリコプター6機が消火活動等に従事した。

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緊急消防援助隊による活動の様子①

緊急消防援助隊による活動の様子①

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緊急消防援助隊による活動の様子②

緊急消防援助隊による活動の様子②

(ウ)消防団の活動
今治市消防団及び西条市消防団は、被災した消防団員もいる中、松山市消防団の応援を受けながら、被害状況の情報収集、避難の呼び掛け、消防隊と連携した消火、残火の処理、夜間の見回り、入山規制など、懸命な活動を展開した(3月23日から4月5日までの間に延べ2,808人の消防団員が活動。)。

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今治市消防団による消火活動の様子

今治市消防団による消火活動の様子

(エ)自衛隊の対応
3月23日に愛媛県は自衛隊に消火活動に係る災害派遣要請を行い、3月24日から3月31日までの間、ヘリコプター部隊(最大時7機体制)が168万リットル(336回)の散水を行った。