令和7年版 消防白書

3.令和7年8月6日からの大雨等による被害及び消防機関等の対応状況

(1)災害の概要

ア 気象の状況

(ア)令和7年8月6日からの気象の状況
8月6日から12日にかけて、日本付近に停滞した前線や前線上の低気圧に向かって日本の南や東シナ海から暖かく湿った空気が流れ込んだため、北日本から西日本の広い範囲で大気の状態が非常に不安定となり、各地で24時間降水量が観測史上1位を更新するなど記録的な大雨となった。
6日から7日は低気圧や前線の影響により石川県で線状降水帯が発生するなど、北陸地方で大雨となった。8日は前線が九州付近に南下して鹿児島県で線状降水帯が発生し、大雨特別警報が発表されるなど、九州南部で大雨となった。9日から11日までは前線が九州付近に停滞して、福岡県、山口県、大分県、熊本県、長崎県で線状降水帯が繰り返し発生し、熊本県に大雨特別警報が発表されるなど、九州北部地方を中心に大雨となった。
6日から12日にかけての雨量は、熊本県や福岡県では600ミリを超えたほか、その他の九州北部地方、九州南部、北陸地方、及び甲信地方でも500ミリを超え、平年の8月の月降水量の3倍以上となった地点があった。

(イ)令和7年9月3日からの気象の状況
9月3日は、北日本に停滞した前線の影響で、東北地方や北陸地方を中心に大雨となった所があった。4日には日本の南で台風第15号が発生し、西日本から東日本に接近・上陸した影響で、4日は九州南部を中心に、5日は西日本から北日本の太平洋側で大雨となった。特に4日には宮崎県で、5日には静岡県と神奈川県で線状降水帯が発生し、静岡県では350ミリを超える大雨となったほか、牧之原市から吉田町にかけて風速約75m/sと推定される国内最大級の強さの竜巻が発生した。

イ 被害の状況

(ア)令和7年8月6日からの大雨による被害の状況
8月6日からの大雨により、熊本県上益城郡甲佐町で土砂災害が発生するなど、死者・行方不明者9人、負傷者40人の人的被害が発生した。
また、住家被害は、熊本県8,393棟、鹿児島県1,847棟など、計1万1,373棟となっている(令和7年11月14日現在)。なお、各地の被害状況は、特集2-2表のとおりである。

特集2-2表 令和7年8月6日からの大雨による被害状況(人的・住家被害)(令和7年11月14日現在)

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

特集2-2表 令和7年8月6日からの大雨による被害状況(人的・住家被害)(令和7年11月14日現在)

 

(イ)令和7年9月3日からの大雨による被害の状況
9月3日からの大雨により、関東地方や東海地方、九州地方において広範囲に降雨による浸水等が発生したほか、静岡県等では突風による被害が発生した。なお、各地の被害状況は、特集2-3表のとおりである。

特集2-3表 令和7年9月3日からの大雨による被害状況(人的・住家被害)(令和7年11月14日現在)

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

特集2-3表 令和7年9月3日からの大雨による被害状況(人的・住家被害)(令和7年11月14日現在)


 

(2)政府の主な動き、消防庁の対応及び消防機関等の活動

ア 政府の主な動き

(ア)令和7年8月6日からの大雨に対する対応
政府においては、8月6日17時30分に情報連絡室を設置するとともに、関係省庁災害警戒会議を開催し、地方公共団体や国民に対し大雨への警戒を呼び掛けた。8月8日5時00分に鹿児島県霧島市に大雨特別警報が発表されたことを踏まえ、同時刻に官邸連絡室に改組した。その後、8月11日には関係省庁災害対策会議を開催し、既に判明した被害及び対応状況について関係省庁間の情報共有と今後の対応の確認を行った。

(イ)令和7年9月3日からの大雨に対する対応
政府においては、9月3日16時00分に情報連絡室を設置するとともに、関係省庁災害警戒会議を開催し、地方公共団体や国民に対し大雨への警戒を呼び掛けた。

イ 消防庁の対応

(ア)令和7年8月6日からの大雨に対する対応
消防庁においては、8月6日17時30分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室(第1次応急体制)を設置し、情報収集の強化を図るとともに、同日17時55分に都道府県及び市区町村に対し「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨についての警戒情報」を発出し、災害対応に万全を期すよう呼び掛けた。その後、8月8日5時00分に鹿児島県霧島市に対して大雨特別警報が発表されたことを受け、同時刻に国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部(第2次応急体制)に改組し、応急体制の強化を行うとともに、鹿児島県に対し適切な対応及び被害報告を要請した。さらに8月11日0時20分に熊本県玉名市、長洲町に対して大雨特別警報が発表されたことを受け、熊本県に対し適切な対応及び被害報告を要請した。被害の大きかった鹿児島県、熊本県の周辺5県のヘリコプターの応援可否の確認を行い、熊本県に対しては、必要に応じ緊急消防援助隊等を要請するよう助言した。

(イ)令和7年9月3日からの大雨に対する対応
消防庁においては、9月3日16時00分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室(第1次応急体制)を設置し、情報収集の強化を図るとともに、同日16時25分に都道府県及び市区町村に対し「令和7年9月3日からの前線と熱帯低気圧による大雨についての警戒情報」を発出し、災害対応に万全を期すよう呼び掛けた。

ウ 被災自治体等の対応

(ア)令和7年8月6日からの大雨に対する対応
8月6日からの大雨を受け、秋田県や石川県、九州各県等の8県において災害対策本部が設置され、16道県の被災市町村においては、緊急安全確保や避難指示を発令し、早期の避難を呼び掛けた。大雨特別警報が発表され、多数の土砂災害等が発生していた熊本県及び鹿児島県においては、防災ヘリコプターによる救助活動等を実施した。
特に、熊本県においては、県内応援隊3消防本部7隊が八代広域行政事務組合消防本部に向け出動し、活動を実施した。相互応援協定によるヘリコプターの応援を要請、長崎県、佐賀県及び鹿児島県の防災ヘリコプターが情報収集活動、孤立住民等計29人の搬送や物資支援等の救助活動を行った。

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

救助活動の様子

救助活動の様子(八代広域行政事務組合消防本部提供)

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

被害の状況

被害の状況(上益城消防組合消防本部提供)

(イ)令和7年9月3日からの大雨に対する対応
9月3日からの大雨を受け、静岡県、三重県、広島県等の7県において災害対策本部が設置され、13都県の被災市町村においては、避難指示を発令し、早期の避難を呼び掛けた。
特に、竜巻により多数の住家被害が発生した静岡県牧之原市においては、同市を管轄する静岡市消防局が、牧之原市からの要請に基づき、家屋等の応急対策として、緊急性や危険度を踏まえて、市民に直接被害が及ぶ可能性のある事案への対応を行った。消防隊、特別救助隊等は、瓦の除去等の高所作業を中心に技術系ボランティア団体と連携して、9月18日から9月30日までの間で、6日間、11隊、隊員延べ39人、4棟の被害家屋で活動した。

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

消防機関による高所作業の様子

消防機関による高所作業の様子(静岡市消防局提供)