令和7年版 消防白書

Topics 1 林野火災注意報・林野火災警報の創設・的確な発令等

トピックス1-1図 検討会の様子

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トピックス1-1図 検討会の様子

 

消防庁では、令和7年2月26日に発生した大船渡市林野火災を受けて、林野庁と共同で「大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会」を開催し、同年8月26日に報告書をとりまとめた。
同報告書において、林野火災注意報や林野火災警報の創設・的確な発令等によって林野火災予防の実効性を高めることが必要であるとされたことを踏まえ、消防庁では、火災予防条例(例)(昭和36年11月22日付け自消甲予発第73号)を改正し、以下に示すような対策を講じることとした。

■林野火災注意報の創設と的確な発令

林野火災の発生原因の大半はたき火や火入れといった人為的な要因によるものであるため、林野火災の予防上危険な気象状況になった際には、火の使用制限等の徹底を行うことが必要である。
火災の予防上危険な気象状況になった際に、火災の発生を未然に防止する仕組みとしては、消防法に基づく火災警報があるが、火災警報は強い制限・罰則を伴うため、消防本部からは発令を躊躇するとの意見がみられる。
そのため、後述する林野火災警報を発令する前段階において、消防本部が強い制限・罰則を伴わずに林野火災予防に係る注意喚起等を行い、林野周辺の区域において住民等に火の使用制限の努力義務を課す仕組みである林野火災注意報を創設し、火災予防条例(例)上に位置付けるとともに、以下のとおり、具体的な発令基準等を示すことで、的確な発令を促すこととする。

(1)林野火災注意報の発令指標(例)
降水が少ない状態となり林床可燃物が乾燥すると林野火災が発生しやすい状況となり、さらに、それが長く続いて林床可燃物の乾燥が強まったり、空気が乾燥していたりすると、発生した林野火災がより延焼しやすい危険な状況になると考えられる。
このため、林野火災注意報の発令指標(例)を以下の①又は②のいずれかの条件に該当する場合とすることとする。
①前3日間の合計降水量が1㎜以下 かつ 前30日間の合計降水量が30㎜以下
②前3日間の合計降水量が1㎜以下 かつ 乾燥注意報が発表
※ 当日に降水が見込まれる場合や積雪がある場合には、発令しないことも可能である。
※ 地域の気象特性等に応じて、適宜発令指標に調整を加えることも可能である。

(2)火の使用制限の内容(努力義務)
林野火災注意報の発令時における火の使用制限の内容(努力義務)は、改正後の火災予防条例(例)においては、以下のとおり定められている。
ア 山林、原野等で火入れをしないこと。
イ 煙火(花火)を消費しないこと。
ウ 屋外で火遊び又はたき火をしないこと。
エ 屋外では、引火性又は爆発性の物品その他の可燃物の附近で喫煙をしないこと。
オ 山林、原野等の場所で、火災が発生するおそれが大であると認めて市町村長が指定した区域内で喫煙をしないこと。
カ 残火(たばこの吸殻を含む。)、取灰又は火粉を始末すること。

(3)火の使用制限の努力義務の対象区域
基本は市町村全域を対象としつつ、林野火災の発生の危険性を勘案し、必要に応じて、各市町村において、火の使用制限の努力義務の対象となる区域が指定される。例えば、森林又はその周囲の一定の範囲内が区域として指定されることが想定される。

(4)発令対象期間
火入れの一般的な実施時期や林野火災(特に、大規模な林野火災)の発生が多くなる時期を踏まえ、基本的に1~5月を対象期間とすることとし、それ以外の期間については各地域の気象特性等を踏まえて各市町村の判断により対象期間とする。

(5)周知・広報、防火指導の強化
平時から、ホームページや広報誌、SNSなど様々な媒体を活用して制度の周知に努めることとした上で、実際に林野火災注意報が発令された際には、対象区域内における防災行政無線や消防車両での巡回等による広報に努めるとともに、防火指導の強化を行うことで、林野火災予防の実効性を高める。

■林野火災警報の的確な発令

消防法第22条の火災警報のうち、林野火災予防を目的としたものについて、発令の目的が明確となるよう林野火災警報との通称を用いることとし、以下のとおり、林野火災の発生・延焼危険度に着目した具体的な発令指標を設定するとともに、火災予防条例(例)において、発令時の火の使用制限の対象区域を林野火災の発生の危険性に応じて指定可能とすることで、的確な発令を促すこととする。

林野火災警報の発令指標(例)
林野火災注意報の発令指標(例)となっている乾燥・少雨に加えて、強風の場合には、発生した林野火災が大規模化しやすい状況になっていると考えられる。このため、林野火災警報の発令指標(例)を以下のとおりとすることとする。
林野火災注意報の発令指標に加え、強風注意報が発表されている場合
※ 地域の気象特性等に応じて、適宜発令指標に調整を加えることも可能である。
その他、火の使用制限の内容、火の使用制限の対象区域、発令対象期間、周知・広報、防火指導の強化等については、林野火災注意報の考え方を準用する。

■たき火の届出制度

以前より火災予防条例(例)第45条においては、火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為等の届出について規定されており、一部の市町村では既にたき火を対象としていたが、今回、届出の対象にたき火が含まれることを明確に位置づける。なお、届出の対象区域については、基本的には林野火災注意報の考え方を準用できる。また、届出の対象期間を指定する場合は、主として1~5月を対象期間として指定することが考えられる。
林野火災の発生や延焼の危険度については、気温や林内の日照等の影響もあると考えられるところであり、今後の林野火災の発生状況、研究や技術開発の動向を注視しつつ、必要に応じ、林野火災注意報や林野火災警報の発令指標の見直しに取り組んでいくことが重要と考えられる。
また、今後の運用状況等を踏まえて、より効果的な林野火災予防対策となるよう、必要に応じ、見直し改善に取り組んでいくこととする。

トピックス1-1表 火災警報と林野火災警報の関係

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トピックス1-1表 火災警報と林野火災警報の関係