保安四法に基づく認定制度における他の制度の活用に係る検討結果
(別紙11)
1.活用が考えられる認証制度等
文書や記録の管理等を規定している、○○システムと呼ばれるものとしてはISO9000シリ-ズの品質システム、ISO14000シリ-ズの環境マネジメントシステム、労働省が示した労働安全衛生マネジメントシステムや英国規格協会等による安全衛生マネジメントシステム等がある。これらのシステムに基づいて行われている文書や記録の管理の実績を各法の認定制度における審査の際に活用するためには、活用しようとする他の制度が、認証制度を持ち、第三者による定期的な監査等によりシステムの適正な運用を客観的に担保しているものであることが不可欠である。またこの第三者による認証は制度として普及・定着しており、信頼できるものであることが必要である。
2.活用の対象となると考えられる各法の認定制度
活用の対象となる制度としては、
①高圧ガス保安法関係の完成・保安検査実施者認定制度
②労働安全衛生法関係のボイラ-等の連続運転に係る認定制度(2年連続運転及び4年連続運転(試行))
③消防法関係の危険物施設の変更工事に係る完成検査での認定事業者制度
が考えられる。
なお、これらについては新規の認定及び更新の認定の双方で活用が可能と考えられる。
3.考えられる活用の方法
他の制度におけるシステムでは、一般的に、システムの目的のために事業場で管理の対象として特定した文書については、手順を定め、それに従い作成、承認、配布、廃棄等の管理を行うことを、また、管理の対象として特定した記録については、手順を定め、それに従い収集、利用、ファイリング、保管、廃棄等の管理をすることを要求している。当該システムについて認証制度があり、当該システムの運用に関し定期的に監査を行い、適否の確認が行われることとなっているならば、認証を受けた事業場においては管理の対象として特定された文書及び記録の適正な管理については一定の担保がなされているものと考えられる。従って、各法の認定制度の認定基準の中で 適正な管理を求めている文書又は記録であって、他の制度において上記のような形での管理の対象として特定され、チェックされているものは、認定の審査におけるその管理の状況の点検については簡素化が可能と考えられる。 他の制度を活用することにより、認定の審査の際、文書及び記録の管理の適否の確認に費やしていた時間を他のより重要な事項の審査に振り向けることが可能となる。申請者においても、過去の文書や記録の管理状況についてすべての書類を揃えて準備しておくという手間を省略できるというメリットがある。
4.活用に当たっての留意事項
活用に当たっては次のことに留意する必要がある。
①他の制度の認証においては文書及び記録の管理の状況についての確認は行われているが、各法の認定制度の視点から文書及び記録の内容について点検するものではないことから、内容の審査は必要である。また、認定の審査項目によっては、過去の状況の把握のため、記録の管理の状況の適否の点検でなく、記録の内容を点検することが必要なものもある。
②他の制度においては、管理する文書及び記録の対象範囲、内容等が具体的に定められているのではなく、認証を受けようとする事業場において定めるようになっているのが一般的である。各法の認定制度の認定基準で要求している文書及び記録は、他の制度において管理の対象として一律に含められているというものではなく、事業場ごとに異なっているものである。このため、活用の対象とする文書及び記録の種類について一律に示すことは困難であり、個別に判断する必要がある。活用しようとするときは、認定基準のどの文書及び記録が対象となっているのか他の制度のシステムにおける対象文書一覧表等により確認が必要である。
③他の制度の認証においては、その制度の目的のために重要な部分にウエイトを置いて監査が行われることから、対象となっている文書及び記録のすべてについて点検が行われているわけではない。このため、他の制度の目的からは重要でないもの、各法の認定基準上重要なものについては他の制度において管理の対象となっているものでも、認定の審査の際、適宜点検することも必要となるものである。
④他の制度における具体的な管理システムの構築の方法は事業場により異なることから、どこまでが管理の対象となっているかについて判断するためには他の制度の仕組みについて理解していることが必要であるが、認定の審査に当たる者は必ずしもその知識を有しているとはいえないため、実態に則した運用が必要である。
⑤他の制度における認証機関から認証が取り消された場合には文書及び記録の管理について再点検が必要である。このために、認定の審査において他の制度を活用したときには、活用の対象とした文書及び記録の範囲について記録しておくこと、また、認証が取り消されたときは事業場から通知することが必要である。
なお、事業場において認定基準に関わる文書又は記録を他の制度の管理システムの対象から外したときは、その旨通知することが必要である。