検討会等

消防団を中核とした安全で災害に強いコミュニティづくり委員会報告について

平成9年5月27日 消 防庁 消防課

平成8年度、消防庁では国土庁の地域活性化施策推進費を受け、消防団を中 核とした安全で災害に強いコミュニティづくりについて検討を行うこととし、調査検討委員会を設置して、そのあり方を探ってきたところであるが、このたび、その報告書をとりまとめた。なお、この報告書には、これらの調査研究の集大成として実施したシンポジウムの模様も併せて掲載している。

1 報告書の概要
(1)消防団とコミュニティ
阪神・淡路大震災においては、普段から消防団と地域住民との密接な連携が図られている地域において、初期消火、救助、避難、また、被災者への支援活動等、適切な対応がなされ、大きな成果がもたらされた。分団長の要請で住民が重機やバール等の資機材を持ち寄り救助活動に大きく貢献した例など多くの例が報告されている。このことから、消防団が地域住民と一体となった防災体制を普段から作り上げておくことが、災害時においていかに重要であるかが改めて認識されたところである。また、全国で、自主防災組織や町内会等と消防団との連携による伝統行事やイベント等の開催等の活動を通じて地域が一体となって、安全で災害に強いコミュニティづくりに取り組んでいる例について紹介している。
(2)消防団とコミュニティとの連携強化
地域の防災力を高め、安全で災害に強いコミュニティを作っていくためには、消防団と自主防災組織との連携のみならず、町内会、婦人会、PTA、青年団、商店街等、地域の様々な組織やグループ等との連携が図られる必要がある。また、これからの消防団活動には、災害ボランティアとの連携、協力も必要となってくる。消防団は、十分な訓練と経験を積んだ住民に最も身近な消防防災の専門家として、災害ボランティアを適切に指導し、リードしていくとともに、ボランティア活動の盛り上がりを消防団の活性化に結び付けていく必要がある。
(3)消防団と地域との交流の拡大
住民の関心が高い防災関係情報を提供することは、住民の防災意識を高め、安全なコミュニティづくりに向けて住民の役割意識を育成するためにも有効であり、さらに、消防団活動への理解を深めるためにも、大きな意味がある。消防団自身が編集する消防団広報紙の発行、各戸ごとの防火診断などを活用して防災情報の提供、消防団活動のPRなどを活発に行うことが望まれる。対象住民の多い地域においては、CATV、パソコン通信等の新しいメディアを活用した広報活動も有効である。消防団活動の一環として地域の伝統行事等への参加が行われたりしているが、多くの住民が集まる機会に消防防災についての普及啓発を行ったり、消防団の存在を住民にPRすることは、消防団と住民の交流を深めるために有効である。
(4)地域と連携した新たな消防団像
住民との協力体制を作り、安全な地域社会を築き上げるには、幅広い層の住民に親しまれる消防団のイメージづくりに工夫することも必要である。その場合、近年、増加の著しい女性消防団員に大きな役割が期待できるところである。ボランティア活動の盛り上がりに見られるような若者の社会活動への参加意欲を消防団活動に取り込み、消防団の活性化に結び付けるためには、現在の消防団について、団員資格や団員の役割、任務等について弾力化を図る等の工夫ができないか検討を行うとともに、地域にある企業や大学などに消防団活動への理解を深めてもらい、若者が消防団活動へ参加しやすいような環境を整備することも必要である。本委員会においても、地域に勤務する者や学生なども団員として受け入れられないか、専ら昼間に活動する団員と専ら夜間に活動する団員とで消防団を組織することは考えられないか、大学生等が消防団活動に従事した場合に、これを学校で単位として認定するようなことはできないか等について議論されたところであるが、こうした議論も踏まえながら、今後、時代の変化に対応して多くの住民を多様な形で消防団活動に参画させるための検討が必要であろう。
(5)安全なコミュニティづくりと住民
自主防災組織に参加する住民、ボランティア活動に従事する住民、そして消防団員となり地域の防災リーダーとして地域の安全を担う住民、さらに、こうした様々な活動を周辺で支える住民など住民それぞれの立場で役割を担い、それをもとに防災知識の習得や訓練が行われ、消防団を中核として安全で災害に強いコミュニティづくりが進んでいくことで、すべての住民が安心して暮らすことのできる地域となることが望まれる。
2 検討成果の活用

今後、それぞれの地域の特性を生かしつつ、各市町村各地域において、消防団を中核とした安全で災害に強いコミュニティの形成が進められることが期待される。

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