[原子力災害対策の現況]
1 原子力施設等の防災対策
原子力防災対策は、従来から災害対策基本法に基づいて、国、地方公共団体等において防災計画を定める等の措置が講じられていたが、JCOウラン加工施設における臨界事故等の教訓を踏まえ、平成11年12月に原子力災害対策特別措置法(以下「原災法」という。)の制定及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)の一部改正が行われる等、法令等の整備が行われるとともに、関係府省が一体となった防災活動が行われるよう必要な活動要領を取りまとめた原子力災害対策マニュアルが作成された。
原子力安全委員会の「原子力発電所等周辺の防災対策について」は、平成12年5月に原災法との整合性及び臨界事故への対応を踏まえて「原子力施設等の防災対策について」に改訂され、従来の原子力発電所、再処理施設等に加え、研究炉、核燃料関連施設(第1-7-1図、第1-7-2図、第1-7-3図)及び核燃料物質等の輸送時の防災対策についても盛り込まれた。



平成13年6月には、国、地方公共団体、原子力事業者等の医療に携わる者の責務等の明確化について、平成14年4月には、安定ヨウ素剤予防服用に係る防護対策について改訂が行われ、さらに平成14年11月には、原子力災害時におけるメンタルヘルス(心の健康)に関する対策について、平成15年7月には、緊急被ばく医療体制における地域ブロック化についてそれぞれ改訂が行われた。
平成19年5月には、国際原子力機関(IAEA)等における原子力防災に係る国際的な動向を踏まえ、当該対策の目的、対象施設等をより明確化するとともに、予防的な防護措置の有効性についての改訂及び原災法や本委員会の関連する他の方針との重複部分についての整理が行われた。