はじめに
昭和23年3月7日に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする我が国の自治体消防制度が誕生してから、本年で60周年を迎えました。これを記念して、本年3月7日の消防記念日には、自治体消防制度60周年記念式典を開催し、我が国における消防の発展を回顧するとともに国民から消防に課せられた使命の重要性を再確認しました。
近年、社会経済情勢の変化とこれに伴う地域社会の変化により、災害の態様も複雑多様化するなど、消防防災行政を取り巻く環境は、大きく変化しており、このような状況の中、国民の安心と安全を向上させていくためには、総合的な消防防災行政を迅速かつ積極的に推進していく必要があります。
平成20年版消防白書では、火災をはじめとする各種災害の現況と課題、消防防災の組織と活動、国民保護への取組、自主的な防災活動と災害に強い地域づくり等について解説するとともに、特集として、「地域総合防災力の強化~消防と住民が連携した活動の重要性~」と題し、自助・共助の精神に基づく住民一人ひとりによる防災の取組と消防との連携の必要性、地域防災の中核的存在である消防団の充実強化、自主防災組織など民間の防災組織の活動、住宅用火災警報器のすみやかな普及に向けた取組について紹介しています。
また、消防防災上、特に話題性のある4項目をトピックスとして紹介しています。
トピックスIは、大規模災害に対応するための消防庁の取組や法改正の概要をまとめた「大規模災害に備える」です。
トピックスIIは、消防力の強化等を図るべく推進している消防の広域化について、広域化実現後の消防の将来像を中心にまとめた「市町村の消防の広域化~将来の消防本部~」です。
トピックスIIIは、救急搬送時の受入医療機関の選定に困難を来す事案への対応についてまとめた「消防と医療の連携の推進~迅速な救急搬送を確保するために~」です。
トピックスIVは、中国への初の国際災害救助として国内外で高く評価された「中国四川省大地震災害における国際消防救助隊の活動について」です。
これらを踏まえ、この白書が国民の生命、身体及び財産を災害から守る消防防災活動について、国民の皆様の認識と理解を深めるとともに、国、地方公共団体だけではなく住民、企業も含めた総合的な消防防災体制の確立に広く活用いただけることを願います。
平成20年12月