平成23年版 消防白書

2 雪害対策の現況

過去の10年間(平成13~平成22年)の自然災害による犠牲者をみると、雪害による犠牲者は444人にものぼり、風水害(605人)に続く第二の自然災害となっている。特に、近年の要因をみると屋根の雪下ろし等除雪作業中の死者が多く、また、犠牲者のおよそ3分の2が65歳以上の高齢者である。
消防庁では、都道府県や市町村に対して、毎年積雪期を前にした12月に、消防機関の県内相互応援を含めた即応体制の確立、除雪作業中の事故防止対策の徹底、雪崩危険箇所等の把握・周知及び情報の収集・伝達体制や警戒・避難体制の確立等の対策、特に高齢者等の災害時要援護者に対する対策等、雪害に対する防災態勢を強化するよう地方公共団体に要請を行っている。また、融雪期前の3月には、警戒・避難体制の確立、災害時要援護者に対する対策等、雪崩、特に融雪に伴う出水等に対する対策について、改めて防災態勢の強化を要請している。
平成22年11月から平成23年3月には、豪雪地帯を中心に広い範囲で大雪となり、131人もの方が犠牲となった。犠牲者の約4分の3にあたる100人が屋根の雪下ろし等の除雪作業中の事故によるもの、そして犠牲者の約3分の2にあたる86人が65歳以上の高齢者となっており、152人の方が犠牲となった「平成18年豪雪」と同様の状況であった。
この災害に対し、消防庁は、被害が発生した道府県からの情報収集を実施するとともに、2月2日に内閣府と連名で、除雪作業中の事故防止に向けた普及啓発の徹底と、高齢者等の事故防止に向けた取組等に万全を期すように要請した。

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