はじめに
我が国の消防は、昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して以来、関係者の努力の積み重ねにより着実に発展し、国民の安心・安全確保に大きな役割を果たしてきました。
本年は、3月11日に発生した東日本大震災によって、死者・行方不明者併せて約2万人という甚大な被害がもたらされ、その後も相次いだ集中豪雨や台風の上陸など、例年を大きく上回る自然災害の脅威が日本列島を襲いました。
今後想定される東海・東南海・南海地震、首都直下地震や風水害等の大規模災害をはじめ、危険物火災などの特殊な災害や大規模な人為的事故、国際的なテロ災害の発生が危惧されるなど、災害の態様も複雑多様化しており、住民の安心・安全を脅かしております。
このような状況下において、消防に寄せられる期待は益々大きくなっており、防災・減災に対する国民の意識が高まる中、ハード・ソフト両面からワンランク上の消防防災インフラの整備を推進していく必要があります。
平成23年版消防白書では、第I部において、東日本大震災における地震・津波の概要、人的・物的被害、火災の発生状況や福島原子力発電所事故等の災害の概要、この災害に対する政府や消防庁の対応、被災地域の消防機関、緊急消防援助隊等による消火、救急・救助活動等について記載しています。
さらに、大震災を踏まえた課題への取組として、消防審議会における検討状況等について記載しています。
また、第II部において、火災をはじめとする各種災害の現況と課題、消防防災の組織と活動、国民保護への取組、自主的な防火防災活動と災害に強い地域づくり、国際的課題への対応、消防防災の科学技術の研究・開発等について記載しています。
これらを踏まえ、この白書が国民の生命、身体及び財産を災害から守る消防防災活動において、国民の皆様の認識と理解を深めるとともに、国、地方公共団体だけではなく住民、企業も含めた総合的な消防防災体制の確立に広く活用いただけることを願います。
平成23年12月