平成23年版 消防白書

2 防災に配慮した地域づくり

東日本大震災により津波により甚大な被害が生じたところであり、まちづくりの中で、津波による浸水リスクに応じた地区区分を明確にした上で、土地利用や施設整備のあり方について検討するとともに、都市計画と連携して避難場所・津波避難ビル等や避難路・避難階段などを計画的に整備することが必要である。
また、道路や公園等の空地、耐火造の建物、樹木や緑地帯は、防災上重要な機能を有している。消防研究所(現消防研究センター)が行った阪神・淡路大震災における21地区の延焼の焼け止まり調査によると、延焼の焼け止まり要因として最も大きいのが「道路、鉄道」(主に道路)の約40%で、次いで「空地」、「耐火造、防火壁、崖等」(主に耐火造)がともに約23%となっており、こうした物理的要因が86%を占め、また緑地帯なども有効な要因とされている。さらに、被災地においては、市街地の様々な公園が避難地等として活用されるなど、災害応急対策の上でも重要な役割を担った。
さらに、消防自動車等緊急車両の災害時における緊急通行に配慮した道路整備(道路の多重性、代替性の確保等)、地域の情報化とあわせた住民等への情報連絡機能の強化等、消防防災の観点をあらゆる施策に盛り込んでいくことによって、地域の防災能力の向上を促進する必要がある。消防庁では、防災基盤整備事業により地方公共団体におけるこれらの事業を支援している。

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