平成28年版 消防白書

3.火災による損害額

消防本部(消防本部を設置していない場合は市町村)は、火災原因の調査に併せて火災による損害についても調査を行っており、その調査結果から、損害額を算定している。
火災による損害額は、3,080億円であった平成7年(1995年)以降おおむね減少傾向となっており、平成27年中の損害額は825億円で、前年(853億円)に比べ28億円(3.3%)減少した。また、火災1件当たりでは、211.0万円となっており、前年(195.1万円)に比べ15.9万円(8.1%)増加している(第1-1-18図)。

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これを出火原因別でみると、ストーブによる損害額が4,449百万円と最も多く、次いでたばこ3,981百万円、電灯電話等の配線3,820百万円となっている(第1-1-19図)。

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火災による損害額は、建物火災によるものが圧倒的に多く、全体の91.8%を占めている(第1-1-1表)。

(1) 「放火」による火災が19年連続して出火原因の第1位

放火による出火件数は、平成17年以降おおむね減少傾向が続いており、平成27年中の放火による出火件数は4,033件と前年(4,884件)に比べ851件(17.4%)減少しているものの、全火災(3万9,111件)の10.3%を占め、19年連続して出火原因の第1位となっている。これに放火の疑いを加えると6,502件(全火災の16.6%、対前年比19.1%減)となっている(第1-1-11表、第1-1-21図、第1-1-22図)。

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放火による損害額は30億980万円で、これに放火の疑いを加えた損害額は55億2,036万円となっている(第1-1-11表)。
次に、放火及び放火の疑いによる火災を発火源別にみると、ライターによるものが1,923件(全体の29.6%)と最も多くなっている(第1-1-11表)。
また、放火及び放火の疑いによる火災1件当たりの損害額を時間帯別にみると、0時~2時の時間帯で損害額が多くなっている(第1-1-23図、附属資料21)。

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(2) 「たばこ」による火災の60.7%は不適当な場所への放置によるもの

平成27年中のたばこによる火災は3,638件で、全火災(3万9,111件)の9.3%を占めている(第1-1-12表、第1-1-21図)。

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たばこによる火災の主な経過別出火状況をみると、不適当な場所への放置によるものが2,210件(60.7%)と半数以上を占めている。また、たばこが原因の火災による損害額は、39億8,137万円となっている(第1-1-12表、第1-1-19図)。

(3) 「こんろ」による火災の51.3%は消し忘れによるもの

平成27年中のこんろによる火災は3,497件で、全火災(3万9,111件)の8.9%を占めている。こんろの種類別では、ガスこんろによる火災が3,073件(87.9%)と最も多く、大半を占めている。こんろによる火災の主な経過別出火件数をみると、51.3%に当たる1,794件が消し忘れによるものとなっている(第1-1-13表、第1-1-21図)。

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(4) 着火物は前年と同様「枯草」が第1位

平成27年中の全火災の着火物別出火件数は枯草が5,173件と全体の13.2%を占め、最も多くなっている(第1-1-14表)。

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