平成28年版 消防白書

第5節 風水害対策

[風水害の現況と最近の動向]

1.平成27年中の主な風水害

平成27年中の風水害による人的被害は、死者15人(前年107人)、行方不明者1人(同2人)、負傷者448人(同460人)、住家被害は、全壊115棟(同263棟)、半壊7,251棟(同966棟)、一部破損6,643棟(同3,245棟)となっている(第1-5-1表、第1-5-1図)。

第1-5-1表 平成27年、平成26年の風水害被害
第1-5-1図 風水害による被害状況の推移

また、平成27年中に発生した台風の数は、平年より多い27個(平年値25.6個)であり、このうち、日本列島へ上陸した台風の数は4個(同2.7個)で平年を上回った。 平成27年中の主な風水害については以下のとおり(第1-5-2表)。

第1-5-2表 平成27年中の主な風水害による被害状況等
(1) 6月20日からの梅雨前線に伴う大雨に係る被害等の状況

6月19日から6月23日にかけて、本州付近に梅雨前線が停滞し、その前線上を次々と低気圧が通過した。
停滞した梅雨前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、大気の状態が非常に不安定となり、西日本を中心に大雨となった。
この大雨による人的被害は死者6人(熊本県)、行方不明者1人(福岡県)、負傷者10人(9月2日時点)となり、死者のうち5人は、熊本地震の影響による地盤の緩みから生じた土砂崩れに巻き込まれたものであった。
このほか、住家や道路の被害、浸水被害も多数発生した。
消防庁では、6月21日4時30分に応急対策室長を長とする「消防庁災害対策室(第1次応急体制)」を設置し情報収集体制の強化を図った。

(2) 台風第16号に係る被害等の状況

台風第16号は、9月17日12時頃非常に強い勢力で沖縄県与那国島付近を北上した後、東シナ海を北東に進み、20日0時過ぎに鹿児島県大隅半島に上陸した。その後、日本の南海上を東北東進し、13時半頃に和歌山県田辺市付近に再上陸し、21時に東海沖で温帯低気圧となった。
この台風と前線の影響で、鹿児島県枕崎市で20日0時19分までの1時間に115ミリなど各地で猛烈な雨を観測し、16日から21日までの降水量は宮崎県日向市で607ミリとなるなど、東日本から西日本にかけて200ミリを超える大雨となり、西日本では9月の平均の降水量の1.5倍を超えた所があった。また、沖縄県与那国町で17日10時06分に最大瞬間風速66.8メートル、鹿児島県枕崎市で20日0時08分に最大瞬間風速44.5メートルを観測するなど、南西諸島から西日本にかけて猛烈な風が吹き、海上では大しけとなった。
この台風や前線に伴う人的被害は死者1人(愛知県)、負傷者48人となっているほか、各地で住家被害が多数発生した。
消防庁では、9月19日11時16分に応急対策室長を長とする「消防庁災害対策室(第1次応急体制)」を設置し情報収集体制の強化を図った。

関連リンク

平成28年版 消防白書(PDF)
平成28年版 消防白書(PDF) 平成28年版 消防白書(一式)  はじめに  特集1 熊本地震の被害と対応  特集2 平成28年8月の台風等の被害と対応  特集3 消防団を中核とした地域防災力の充実強化  特集4 消防における女性消防吏員の活躍推進...
はじめに
はじめに 昨年は、気象庁による震度観測開始以降、初めて震度7を観測した平成7年(1995年)の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)から20年に当たる節目の年でした。そして、本年4月14日には、平成16年の新潟県中越地震、平成23年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に続き、4例目の震度7の地震が熊本...
1.地震の概要
特集1 熊本地震の被害と対応 1.地震の概要 平成28年4月14日21時26分、熊本県熊本地方の深さ11kmを震源として、マグニチュード6.5の地震が発生し、益城町で震度7を観測した(特集1-1表)。 さらに、28時間後の4月16日1時25分、熊本県熊本地方の深さ12kmを震源として、マグニチュード...
2.災害の概要
2.災害の概要 一連の地震により、激しい揺れに見舞われた地域では、多くの建物が倒壊したほか、道路、電気、通信設備等のインフラ施設にも多大な被害が生じた。また、南阿蘇村では、地震の影響により発生した土砂災害によっても、人的被害、住家被害、道路損壊等の甚大な被害が発生した。 さらに、梅雨前線等の影響によ...