[震災対策の現況]
1.震災対策の推進
消防庁では、東海地震、南海トラフ地震、首都直下地震及び日本海溝・千島海溝周辺型地震に係る特別措置法や「大規模地震防災・減災対策大綱」(第1-6-3表)等に基づき、震災対策に係る国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連絡、地域防災計画及び地震防災強化計画等に関する助言、防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、震災対策に関する調査研究等を行っているほか、緊急消防援助隊の充実強化、地方公共団体における防災基盤の整備及び公共施設等の耐震化を推進している。

(1) 地域防災計画(震災対策編等)の作成状況
平成28年4月1日現在、都道府県において、震災対策に関する事項を地域防災計画の中で、「震災対策編」(又は「地震災害対策編」)として項目を設けて定めているものが43団体、「節」等を設けているものが4団体となっている。一方、市町村(全1,741団体)においては、「震災対策編」(又は「地震災害対策編」)として項目を設けているものが1,375団体、「節」等を設けているものが235団体、「その他の災害等」として扱っているものが37団体となっている。
(2) 震災時等における相互応援協定等の締結状況
大規模な地震は、甚大な被害を広域にわたって及ぼすことが予想されることから、対策を迅速かつ的確に遂行するため、地方公共団体においては、地方公共団体相互間で、震災時等における相互応援協定を締結している。
さらに、阪神・淡路大震災を契機に、平成8年(1996年)7月、全国知事会において「全国都道府県における災害時の広域応援に関する協定」が締結され、各都道府県間等の応援協定では対応できないような災害が発生した場合における、全国レベルでの相互応援体制が整備されている。東日本大震災では、全国知事会が協定に基づき、被災4県からの要望等に基づき、食料品、生活用品、燃料等の救援物資を提供した。
なお、地方公共団体においては、民間団体等との間で、物資、災害復旧、救急救護、放送要請及び輸送などに係る応援協定を締結している(第1-6-4表)。

(3) 備蓄物資・備蓄倉庫等の状況
災害に備えて地方公共団体は、食糧、飲料水等の生活必需品、医薬品及び応急対策や災害復旧に必要な防災資機材の確保を図るため、自ら公的備蓄を行うほか、民間事業者等と協定を結び、震災時に必要な物資の流通在庫を確保することに努めている(第1-6-5表)。

(4) 震災対策施設等の整備事業
平成27年度において、震災対策施設等の整備促進のため、都道府県が実施した事業費は約1,273億円、また、市町村が実施した事業費は約1,186億円である(第1-6-6表)。

(5) 震災訓練の実施状況
平成27年度においては、43都道府県と934市町村が総合防災訓練を実施している(第1-6-7表、第1-6-8表)。


(6) 津波対策の実施状況
大規模な地震が発生した場合、沿岸地域では津波の発生が予想されることから、地方公共団体においては各種の津波対策が進められている。
平成28年4月1日現在、海岸線を有する市町村は646団体であり、その中で過去の地震の記録や海岸の地形等を踏まえ、津波浸水予想地域を定めている団体が612団体、津波災害を想定した避難地が2万3,263か所定められている。
また、緊急時に住民が迅速・的確に行動する必要があることから、津波を想定した訓練が平成27年度は367団体で実施されている。