平成28年版 消防白書

2.関係機関の取組

(1) 消防庁の取組

ア 広域化の検討に対する支援
消防庁では、基本指針の策定と合わせ、都道府県及び市町村における広域化の取組を支援するために、消防庁長官を本部長とする消防広域化推進本部を設置して広域化を推進しているところであり、消防広域化推進アドバイザーの派遣等を行っている。
イ 財政支援
市町村の消防の広域化に伴って必要となる経費に対して、その運営に支障の生じることがないよう、必要な財政措置を講じている。
そのうち、広域消防運営計画等に基づき必要となる消防署所等の増改築及び再配置が必要と位置付けられた消防署所等の新築、国の周波数再編に伴い平成28年度までに完了する高機能消防指令センターで複数の消防本部が共同で整備するもの又は市町村の消防の広域化に伴い整備するもの、並びに広域消防運営計画等に基づく消防本部の統合による効率化等により、機能強化を図る消防車両等の整備について、事業費の100%に緊急防災・減災事業債を充当し、元利償還金の70%に相当する額を、後年度、普通交付税の基準財政需要額に算入することとしている(第2-2-5図)。
第2-2-5図 消防の広域化に対する財政措置(平成28年度)

(2) 都道府県の取組

ア 推進計画の概要
基本指針では、都道府県は、当該都道府県の区域内において自主的な市町村の消防の広域化を推進する必要があると認める場合には、その市町村を対象として、自主的な市町村の消防の広域化の推進及び広域化後の消防の円滑な運営の確保に関して、推進計画を定めるよう努めなくてはならないこととされている。
イ 都道府県の支援策
都道府県によっては、独自の広域化支援方策を講じている例があり、財政支援としては、広域化協議会運営費や広域化に伴う施設整備を対象とした補助制度の創設等が、その他の支援策として、協議会事務局への県職員の派遣等が行われている。

(3) 市町村の取組

都道府県の推進計画に定められた広域化対象市町村は、消防の広域化を行う際には、協議により、広域化後の消防の円滑な運営を確保するための広域消防運営計画を作成することとされている(消防組織法第34条第1項)。
広域化に向けた検討を行っている多くの市町村は、市町村部局、消防本部、構成議会議員等から構成される協議会等の検討組織を設置し、〔1〕広域化後の消防の円滑な運営を確保するための基本方針、〔2〕消防本部の位置及び名称、〔3〕市町村の防災に係る関係機関相互間の連携の確保に関する事項のほか、〔4〕構成市町村の負担金割合方式、職員の任用方式や給与の統一方法等、広域消防運営計画や組合規約等の作成に必要な事項を中心に協議を重ねている。

関連リンク

平成28年版 消防白書(PDF)
平成28年版 消防白書(PDF) 平成28年版 消防白書(一式)  はじめに  特集1 熊本地震の被害と対応  特集2 平成28年8月の台風等の被害と対応  特集3 消防団を中核とした地域防災力の充実強化  特集4 消防における女性消防吏員の活躍推進...
はじめに
はじめに 昨年は、気象庁による震度観測開始以降、初めて震度7を観測した平成7年(1995年)の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)から20年に当たる節目の年でした。そして、本年4月14日には、平成16年の新潟県中越地震、平成23年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に続き、4例目の震度7の地震が熊本...
1.地震の概要
特集1 熊本地震の被害と対応 1.地震の概要 平成28年4月14日21時26分、熊本県熊本地方の深さ11kmを震源として、マグニチュード6.5の地震が発生し、益城町で震度7を観測した(特集1-1表)。 さらに、28時間後の4月16日1時25分、熊本県熊本地方の深さ12kmを震源として、マグニチュード...
2.災害の概要
2.災害の概要 一連の地震により、激しい揺れに見舞われた地域では、多くの建物が倒壊したほか、道路、電気、通信設備等のインフラ施設にも多大な被害が生じた。また、南阿蘇村では、地震の影響により発生した土砂災害によっても、人的被害、住家被害、道路損壊等の甚大な被害が発生した。 さらに、梅雨前線等の影響によ...