平成28年版 消防白書

5.救急業務を取り巻く課題

(1) 適正利用の推進

平成27年中の救急自動車による救急出動件数は、過去最高の605万4,815件に達し、初めて500万件を超えた平成16年以降もほぼ一貫して増加傾向を続けている。救急自動車による出動件数は、10年前と比較して約15%増加しているが、救急隊数は約7%の増加にとどまっており、救急搬送時間も延伸傾向にある。消防庁では、救急車の適正利用等のための広報活動を行う一方で、「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」等を解説した「救急車利用マニュアル」(参照URL:http://www.fdma.go.jp/html/life/kyuukyuusya_manual/index.html)を作成し、全国の消防機関に配付するとともに消防庁ホームページにも掲載するなど、これまでも、増加する救急需要への対応に努めてきた。しかし、平成28年度に行った将来推計(第2-5-11図)によると、高齢化の進展等により救急需要は今後ますます増大する可能性が高いことが示されており、救急搬送時間の延伸を防ぐための更なる対策を検討する必要がある。

第2-5-11図 救急出動件数・救急搬送人員の推移とその将来推移(2000年~2025年)

転院搬送については、全救急出動件数の1割弱を占め、全体の救急搬送件数に与える影響が大きい。
平成27年度は「救急業務のあり方に関する検討会」において、消防庁と厚生労働省が連携して「転院搬送における救急車の適正利用に係るガイドライン」を作成し、各地域においては、当該ガイドラインを参考にしつつ、消防機関、医療機関等関係者間で合意の上、救急業務として転院搬送を行う場合についてのルールを定めることが有効であるとの報告がなされたことを受け、消防庁及び厚生労働省では、平成28年3月に、「転院搬送における救急車の適正利用の推進について」(消防庁次長及び厚生労働省医政局長通知)を発出したところであり、地域の実情に応じ、ルール化に向けた合意形成のための取組を積極的に行うことが期待されている。

(2) 緊急度判定体系の構築

消防庁では平成17年度から、真に救急を必要とする傷病者に迅速に救急出動し、救急現場において的確に対応し、速やかに適切な医療機関へ搬送するという本来の救急業務を円滑に遂行し救命率の向上を図るため、「緊急度判定」の適切かつ効果的な導入方法について検討を進めてきた。平成23年度には「社会全体で共有する緊急度判定(トリアージ)体系のあり方検討会」を発足させ、「家庭自己判断プロトコル」「電話相談プロトコル」「119番通報プロトコル」「救急現場プロトコル」の4つについてVer. 0を策定した。また、傷病者が最終的に医療機関でどの程度の緊急性があったと判断されるかの客観的な基準として「緊急度判定基準」を策定した。平成24年度には、策定した緊急度判定基準の妥当性を明らかにするため、実証検証事業としてVer. 0を横浜市、堺市及び田辺市の3地域にて試験運用した。
平成25年度は、この試験運用において収集されたデータから得られたVer. 0の精度向上に向けた課題を踏まえ、緊急度判定プロトコルVer. 1を策定し、一定の成果を得ることができた。しかし、普及啓発やコンセンサスの形成については充分ではないという課題が残った。
平成27年度は、「救急業務のあり方に関する検討会」において、「緊急度判定体系の普及ワーキンググループ」を設置し、救急安心センター事業(#7119)や救急受診ガイド2014年版の普及について検討するとともに、緊急度判定体系の基本的な概念について、一般市民の立場、関係者の立場、地域社会全体それぞれの観点から整理した。平成28年度も引き続き、ワーキンググループを設置し、更なる緊急度判定体系の普及を目的として、住民による緊急度判定体系を支援するためのツールの作成や、緊急度判定体系の概念や必要性を対象者の年代に応じて伝えるための資材作成の検討を進めている。

(3) 電話による救急相談事業の推進

近年の救急出動件数の大幅な増加は、高齢化、核家族化の進行を背景とし、住民が救急要請すべきか自力受診すべきか迷った場合に119番通報するといったケースの増加が要因の一つであると考えられる。
こうした救急需要対策の一環として、消防庁では、住民が急な病気やけがをしたときに、救急車を呼んだ方がいいのか、今すぐ病院に行った方がいいのかなど迷った際に、専門家から電話で助言を受けることができる相談窓口として、平成21年度から救急安心センター事業(以下、「#7119」という。)を推進しており、平成28年8月末現在で、全国7地域(東京都、大阪府、奈良県、福岡県、北海道札幌市周辺、神奈川県横浜市、和歌山県田辺市周辺)で事業が実施(人口カバー率約27.3%)されている。
#7119の実施地域においては、救急搬送件数における軽症者の割合の減少、救急出動件数の増加率の抑制などの効果が出ているほか、救急相談の結果、緊急度が高いと判断された傷病者を救急搬送し、一命を取り留めた奏功事例が多数報告されている。また、医療機関における救急医療相談や時間外受付者数が抑制されるなど医療機関の負担軽減が見込まれるほか、不安な住民に安心を提供するという効果もみられている。
消防庁では、「平成27年度救急業務のあり方に関する検討会」において、事業を実施するに当たっての課題やその解決方策についての検討を行い、#7119が救急車の適正利用の推進の観点及び緊急度判定体系の普及の観点から極めて有効であると報告がなされたことから、平成28年3月31日に、「救急安心センター事業(#7119)の更なる取組の推進について」(消防庁救急企画室長通知)を発出し、都道府県が、管内消防本部の意向を踏まえつつ、衛生主管部局及び医療関係者等との合意形成を図るなど、#7119の導入に向け積極的に取り組むことを促している。
同通知においては、スケールメリット及び相談員等の確保等の観点からは都道府県単位での運用が望ましいため、原則として、都道府県単位で実施することとしており、都道府県内の一部の地域において実施している団体については、対象範囲の拡大について働き掛けを行っている。さらに、この相談窓口は、原則として24時間365日、相談を受け付けることができることとしており、同一の窓口において24時間365日体制を実施できない場合においては、地域の医療機関等との連携、民間事業者への委託等、地域の実情に応じた適切な体制の整備により、実質的に24時間365日、相談を受け付けることができる体制を整えていることとしている。
平成28年度からは、#7119を実施しておらず、かつ救急需要が大きい道府県を中心に、#7119を開始するに当たっての助言を行う等、#7119の更なる普及のため、積極的な普及推進を行っているところである。また、同様の医療相談を行っているが365日24時間体制となっていない類似番号でサービスを提供している団体については、#7119へ移行するよう働き掛けている。

(4) 心肺機能停止傷病者の救命率等

消防庁では、平成17年1月から、救急搬送された心肺機能停止傷病者の救命率等の状況について、国際的に統一された「ウツタイン様式」に基づき調査を実施している。
平成27年中の救急搬送件数のうち、心肺機能停止症例数は12万3,421件であり、うち心原性(心臓に原因があるもの)は7万3,697件(A)であった。
(A)のうち、心肺機能停止の時点を一般市民により目撃された件数は2万4,496件(B)であり、このうち1ヵ月後生存率は13.0%、1ヵ月後社会復帰率は8.6%となっている(第2-5-12図)。

第2-5-12図 心原性かつ一般市民による目撃のあった症例の1ヵ月後の生存率及び社会復帰率

(B)のうち、一般市民により応急手当が行われた件数は1万3,672件(C)であり、このうち1ヵ月後生存率は16.1%となっており、応急手当が行われなかった場合(9.2%)と比べて約1.8倍高い。また、1ヵ月後社会復帰率についても応急手当が行われた場合には11.7%となっており、応急手当が行われなかった場合(4.7%)と比べて約2.5倍高くなっている(第2-5-9表)。

第2-5-9表 一般市民による応急手当の実施の有無

(C)のうち、一般市民によりAEDを使用した除細動が実施された件数は1,103件であり、1ヵ月後生存率は54.0%、1ヵ月後社会復帰率は46.1%となっている(第2-5-13図)。

第2-5-13図 一般市民により除細動が実施された件数の推移

一般市民による応急手当が行われた場合の1ヵ月後生存率及び1ヵ月後社会復帰率は増加傾向にあるが、一般市民による応急手当の実施は生存率及び社会復帰率の向上において重要であり、今後、一層の推進を図る必要がある。
消防庁では、平成27年8月に、「自動体外式除細動器(AED)設置登録情報の有効活用等について」(消防庁救急企画室長通知)を発出し、各消防本部における、日本救急医療財団全国AEDマップを用いた情報提供の推進並びにAEDの設置場所に関する情報の通信指令システムへの登録及び口頭指導における当該情報の活用の推進並びにAEDの設置登録情報の適正化及び有効活用の環境整備の3点について、更なる取組を促しているところである。

(5) 感染症対策

救急隊員は、常に各種病原体からの感染の危険性があり、また、救急隊員が感染した場合には、他の傷病者へ二次感染させるおそれがあることから、救急隊員の感染防止対策を確立することは、救急業務において極めて重要な課題である。
消防庁では、「消防学校の教育訓練の基準」において、救急隊員養成の講習項目として、参考とするものの中に救急用資器材操作法・保管管理・消毒についても定めている。また、各種感染症の取扱いについて、感染防止用マスク、手袋、感染防止衣等を着用して傷病者の処置を行う共通の標準予防策等の徹底を消防機関等に要請している。
新型インフルエンザ対策としては、平成21年2月に「消防機関における新型インフルエンザ対策のための業務継続計画ガイドライン」を策定し、消防機関に業務継続計画の策定を促した。
平成24年4月27日には、病原性が高い新型インフルエンザや同様な危険性のある新感染症に対して、国民の生命・健康を保護し、国民生活・国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とした、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が成立し、新型インフルエンザ等の発生時における措置の法的根拠の整備が図られ、平成25年4月13日から施行された。また、同年6月7日には、同法第6条第4項の規定に基づき、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」が閣議決定された。
平成26年度に西アフリカを中心に流行したエボラ出血熱は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)において、一類感染症に指定されており、エボラ出血熱の患者(疑似症を含む。)として都道府県知事が入院を勧告した患者又は入院させた患者の特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関への移送は、都道府県知事(保健所設置市の場合は市長、特別区の場合は区長)が行う業務とされている。
しかし、救急業務として傷病者を搬送した後にその傷病者がエボラ出血熱に罹患していたと判明する可能性があり、その場合は救急隊員の健康管理や救急車の消毒等を徹底することが必要となる。
消防庁では、平成26年9月3日に消防本部に対し事務連絡を発出し、エボラ出血熱の発生状況について注意喚起するとともに、感染症患者を搬送した場合に必要となる対応について再確認を促した。さらに、厚生労働省から国内発生を想定した衛生主管部(局)における基本的な対応が示されたことを受け、消防機関における基本的な対応を通知し、救急要請時に発熱症状を訴えている者には、流行国への渡航歴の有無を確認し、過去1か月以内の渡航歴があることが判明した場合は、エボラ出血熱の感染が疑われることから、二次感染の防止のため、本人に自宅待機を要請するとともに、直ちに保健所に連絡し、対応を保健所へ引き継ぐこと等、消防機関における基本的な対応を定めた。
また、保健所等の移送体制が十分に整っていない地域もあることから、厚生労働省から消防庁に対して保健所等が行う移送について消防機関による協力の要請があったため、消防庁は厚生労働省と協議を行った上で、保健所等に対する消防機関の協力のあり方について、同年11月28日に通知で示した。
平成24年からアラビア半島諸国を中心に患者発生が報告され、平成27年5月には韓国で患者が多数発生した中東呼吸器症候群(MERS)の対策については、平成27年6月3日に情報収集を促す通知を発出するとともに、6月9日には救急要請時及び現場活動時にMERSの健康監視対象者を覚知した場合、保健所に連絡し対応を引き継ぐこと等、消防機関における基本的な対応について示した。9月18日には、7月5日以降、韓国で新規患者の報告がされていないこと等を受けて、6月3日の通知を廃止し、新たな通知を発出しているが、消防機関における基本的な対応については変更していない。

(6) 救急用資器材等の整備

救急業務の高度化及び医学的根拠の変遷に伴い、高規格救急自動車、高度救命処置用資器材等の整備が重要な課題となっている。
近年、地方財政が厳しい中、これら高規格救急自動車、高度救命処置用資器材等に対する財政措置は不可欠であり、地方交付税、補助金など、必要な措置が講じられている。今後も引き続き、高規格救急自動車及び救急救命士の処置範囲の拡大に対応した高度救命処置用資器材の配備を促進する必要がある。

(7) 熱中症対策

平成19年8月、埼玉県熊谷市及び岐阜県多治見市において最高気温40.9℃が記録され、熱中症に対する社会的関心が高まったことを契機に、消防庁では、平成20年から全国の消防本部を調査対象とし、7月から9月までの夏期における熱中症による救急搬送状況の調査を開始した。平成27年からは調査期間を5月から9月までに拡大し、その結果を速報値として週ごとにホームページ上に公表するとともに、各月の確定値を公表している。
平成28年5月~9月における全国の熱中症による救急搬送人員は5万412人となっており、平成27年と比較すると約9.7%減少している。年齢区分別にみると、高齢者(満65歳以上)が2万5,228人(50.0%)で最も多く、次いで成人(満18歳以上満65歳未満)が1万8,150人(36.0%)、少年(満7歳以上満18歳未満)が6,548人(13.0%)となっている。初診時における傷病程度別にみると、軽症が3万2,696人(64.9%)で最も多く、次いで中等症が1万6,242人(32.2%)、重症が981人(1.9%)、死亡が59人(0.1%)となっている(第2-5-10表)。

第2-5-10表 熱中症による救急搬送状況の年別推移(平成24~平成28年)

熱中症に関する取組としては、平成19年度から、熱中症対策に関係する省庁が緊密な連携を確保し、効率的かつ効果的な施策の検討及び情報交換を行うことを目的として、熱中症関係省庁連絡会議を設置している。
また、平成25年度から、熱中症に関する普及啓発等の効果をより一層高いものにするため、熱中症による救急搬送人員数や死亡者数の急増する7月を「熱中症予防強化月間」と定めている。消防庁では、今年度、熱中症予防強化月間に併せて、熱中症予防啓発コンテンツとして、「予防啓発ビデオ」「予防啓発イラスト」「予防広報メッセージ」を初めて作成した。全国の消防機関をはじめ、熱中症予防を啓発する関係機関等に対して、このコンテンツを積極的に活用していただけるよう呼び掛けている(参照URL:http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_2.html)。
また、近年、外国人来訪者数が増加傾向にあることから、熱中症による救急搬送人員数における外国人来訪者の救急搬送の実態調査について検討するとともに、熱中症予防の啓発についても、消防庁が作成した予防啓発コンテンツ「予防広報メッセージ」のように、多言語対応化していくことを検討していく。

(8) 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への救急対応

平成27年度の「救急業務のあり方に関する検討会」において、外国語対応・コミュニケーションの問題(文化・宗教含む)及び多数傷病者発生時の対応等の課題への対応策について、実態調査等を踏まえて、各消防本部や関係機関において実施可能な具体的方策と、連携に対する課題の検討を行った。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催により、開催地はもとより、その他の都市部及び観光地において、数多くの外国人が来訪することが予想され、救急業務においても多言語対応がより一層必要となる。このため、各消防本部においては、外国人への対応について、コミュニケーションボードなどの多言語コミュニケーションツールや通訳を交えた三者通話などの多言語音声翻訳システム、今回新たに消防庁で作成した訪日外国人のための救急車利用ガイド(英語版)などを参考としつつ、地域の実情に合わせ検討することが期待される。また、平成28年7月には、消防庁消防研究センター、札幌市消防局及び独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が連携し、多言語翻訳アプリ「VoiceTra」を活用した多数傷病者発生事故対応合同訓練を実施しており、実用化に向けた検討を行っている。
諸外国における大規模イベントでは、医療救護所等の救護施設を設置するなど、万全の医療体制を構築することにより、消防機関への救急要請が抑制されることが示されており、大規模イベント等の開催時に多数傷病者が発生した際の備えとして、イベントの計画段階から、イベント主催者や行政の担当部局等に対して熱中症対策を求めていくとともに、来訪した外国人への熱中症対策として、外国人のための救急車利用ガイド(英語版)を活用するなど、熱中症に備える必要がある。また、感染症など災害発生時に迅速な活動を可能とするため、医療部局など関係機関と連携して、事前のマニュアル策定・見直し等を進めていく必要がある。

【参考】 消防庁ホームページ「熱中症情報」コンテンツ掲載画面
救急多言語音声翻訳アプリを活用した外国人とのコミュニケーション(平成28年7月 札幌市)

(9) 救急隊の編成をより柔軟に行うための政令改正

近年の人口減少や厳しい財政状況などにより、過疎地域や離島においては、救急隊が配置できない地域や時間帯が生じるなど、救急業務の空白が生じつつある。
このような状況にある愛媛県西予市からの地方分権改革提案を受け、必要な措置を講じる旨の閣議決定(平成27年の地方からの提案等に関する対応方針(平成27年12月22日))がなされた。
現行では、救急隊は、救急隊員3人以上をもって編成することとされている(消防法施行令第44条)が、救急業務の空白地域を解消するため、過疎地域や離島における救急隊の編成について、より柔軟な選択を可能とするための政令改正を行うこととした。
具体的には、過疎地域及び離島においては、新たな選択肢として、救急隊員2人と准救急隊員1人による救急隊の編成を可能とすることとしている。
准救急隊員は、救急業務に関する基礎的な講習の課程(92時間)を修了した者とし、例えば、同課程の講習を受けた上で、常勤の消防職員として併任される役場職員などを想定している。また、同課程の講習を受けた者以外に、同等以上の学識経験を有する者についても准救急隊員とすることができることとしており、医師、保健師、看護師、准看護師、救急救命士及び救急科(250時間)を修了した者を想定している。
この改正政令は、平成29年4月1日から施行することとしている。

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