第6節 救助体制
1.救助活動の実施状況
(1) 救助活動件数及び救助人員の状況
消防機関が行う人命の救助とは、火災、交通事故、水難事故、自然災害、機械による事故等から、人力や機械力等を用いてその危険状態を排除し、被災者等を安全な場所に搬送する活動をいう。
平成27年中には平成27年9月関東・東北豪雨により、鬼怒川堤防が決壊するなど、広範囲で洪水被害が発生する中、二次被害のおそれが懸念される困難な状況下において、救命ボート等により住宅に取り残された住民等に対する懸命な救助活動が実施される等、各地で多くの救助活動が行われた。
平成27年中における全国の救助活動の実施状況は、救助活動件数5万5,966件(対前年比729件減、1.3%減)、救助人員(救助活動により救助された人員をいう。)5万9,190人(同1,381人増、2.4%増)である(第2-6-1表、附属資料44)。

このうち、救助活動件数減少の主な要因は、「交通事故」における救助活動件数(対前年比423件減、2.8%減)が減少したことである。
また、救助人員増加の主な要因は、平成27年9月関東・東北豪雨に起因する「風水害等自然事故」(対前年比1,971人増、214.5%増)において増加したことである。
(2) 事故種別ごとの救助活動の状況
故種別ごとの救助活動状況をみると、救助活動件数及び救助人員ともに「建物等による事故」と「交通事故」において高い数値のまま推移している。
なお、「建物等による事故」については、救助活動件数において、平成20年以降最多の事故種別となっており、救助人員においても、昭和53年(1978年)以降最多の事故種別であった「交通事故」を抜き、平成25年以降最多の事故種別となっている。
救助出動人員(救助活動を行うために出動した全ての人員をいう。)は、延べ132万8,039人である。このうち、消防職員の出動人員は延べ124万5,998人であり、「交通事故」による出動が27.7%、「建物等による事故」による出動が27.3%となっている。一方、消防団員の出動人員は、延べ8万2,041人であり、「火災」による出動が73.5%となっている。
次に、救助活動人員(救助出動人員のうち実際に救助活動を行った人員をいう。)は、延べ54万6,334人であり、救助活動1件当たり9.8人が従事したこととなる。また、事故種別ごとの救助活動1件当たりの従事人員は「風水害等自然災害事故」の20.6人が最も多く、次いで「火災」の15.3人となっている(第2-6-1図、第2-6-2図、第2-6-2表)。


