2.女性消防吏員の活躍推進に向けた取組
(1) 女子学生等を対象とした職業説明会(ワンデイ・インターンシップ)の開催
ワンデイ・インターンシップは、これから社会人となる年齢層の女性に、消防の仕事の魅力と消防分野での女性活躍の可能性を知ってもらい、消防を志す女性を増やすために、各消防本部と連携して実施するもので、189名の女性の参加者があった東京会場を皮切りに、全国8か所の会場で開催した(特集4-2図)。

各会場では、消防士を目指すきっかけや、消火・救急・救助・火災予防等の各業種に関する経験等についての現役女性消防吏員による講演を行い、また、イベント参加者の疑問・不安に応えるため、ブースや座談会方式により、消防本部の組織や特徴等についての説明及び現役女性消防吏員との対話の機会を設け、様々な質問にもきめ細かく対応した。また、近隣の消防署にて執務室等の見学や消防車両の体験乗車、消防活動訓練の見学等を実施した。
参加した女子学生からは、「女性も活躍できる職業であることが実感できた」「絶対消防士になりたいという気持ちが強くなった」との声が寄せられた。
消防庁では、これら女子学生等への消防職業体験イベント等を通じ、各消防本部における女性消防吏員の採用促進を支援していくこととしている。




(2) ポスター及びリーフレット等による広報
女性消防吏員の活躍推進とワンデイ・インターンシップの開催周知に向けたポスター(特集4-3図)、及び消火・救急・火災予防などの消防の業務内容や、出産・子育てのための各種支援制度、教育制度が分かるリーフレット(特集4-4図)を作成した。


各消防本部では、これらを活用して、大学、専門学校及び高等学校等の就職担当部署、進路担当関係者へ女性消防吏員の積極的な採用拡大の周知を図ったほか、公共施設でのポスターの掲示、地域での消防防災に関するイベント等でのリーフレットの配布などによる幅広い広報を行った。
さらに、消防に関心を持った女子学生等の理解をより深めるため、女性消防吏員のキャリアパス、勤務形態や勤務条件、消火・救急・火災予防業務・通信指令業務などの職務内容、家庭との両立等を具体的事例を用いて示したガイドブックを作成した。
(3) ポータルサイト等による幅広いPR
女性消防吏員の活躍推進に向けた消防庁の取組や各消防本部での女性活躍事例の紹介等、様々な情報を発信するため、情報提供のプラットホームとして、消防庁ホームページ内に女性消防吏員の活躍推進のためのポータルサイト(特集4-5図)を開設した。

この中で、男女ともに安心して働き続けられる職場環境であることを伝える「教育制度・福利厚生」、消防の仕事に関する疑問等を解消する「女性消防士Q&A」、ワンデイ・インターンシップ等を紹介する「イベント情報」、全国の各消防本部の基礎情報やホームページのリンク等を表示する「消防本部サーチ」のほか、消防、救急、火災予防等の職務紹介とともに現役女性消防吏員の活き活きとした活動を紹介する動画を作成し掲載している。
また、同時期に、消防の仕事の魅力と全国の女性消防職団員の活躍を伝えるため、総務省消防庁公式Facebookページ「総務省消防庁-女性活躍-」を開設し、ソーシャルメディアを通じて身近でタイムリーな情報の発信を行っている。
加えて、全国の消防本部が各々実施する女子学生向け職場体験を支援するため、消防庁ホームページ及び民間就職情報提供サイトに、各消防本部が行う職場体験の実施日時・体験内容等を掲載し、女子学生等から直接職場体験に参加申し込みができる窓口を設けた。

(4) 消防大学校における取組
平成28年度の消防大学校の教育訓練計画では、女性消防吏員のキャリア形成の支援を主たる目的とした5日間の女性専用コースを新設するとともに、各学科の定員の5%を女性消防吏員枠として設定し、優先的に女性の入校を推進している。
こうした女性の受入れ拡大に対応するために、平成27年度に学生寮の一部増築により、女性の寮生活に必要な浴室、トイレ、更衣室、談話室などの女性専用施設を整備した。
この女性専用施設は、平成27年度新任教官科に入校した女性の提案により、消防大学校の記章に刻まれる桜、桜が美しい消防大学校キャンパスから、「さくら倶楽部」と名付けられた。
また、消防長をはじめとした幹部職員に対して、女性の職域拡大、働きやすい環境の整備(イクボス(育児参加を理解して支援できる上司)などソフト面の環境整備も含む。)など、女性活躍推進に係る意識の改革・醸成等を目的とした講義を実施している。

