令和元年版 消防白書

9.火災原因調査の現況

科学技術の進歩による産業の高度化及び社会情勢の変化に伴い、大規模又は複雑な様相を呈する火災が頻発する傾向にあり、その原因の究明には高度な専門的知識が必要となる。
また、火災の原因を究明し、火災及び消火によって生じた損害の程度を明らかにすることは、その後の火災予防行政のあり方を検討する上で必要不可欠である。
火災の原因究明は一義的には地方公共団体の役割であるが、それを補完することは国の責務であり、消防機関から要請があった場合及び消防庁長官が特に必要があると認めた場合は、消防庁長官による火災原因調査を行うことができることとされている(第6章2.火災原因調査等及び災害・事故への対応を参照)。
本制度による火災原因調査は、火災種別に応じて消防庁の職員により編成される調査チームが、消防機関と連携して実施するものであり、調査から得られた知見、資料を基に検討が行われ、消防行政の施策に反映されている。最近行われた消防庁長官による火災原因調査のうち、その結果を踏まえて消防法令の改正等の対応を行ったものは、第1-1-21表のとおりである。

第1-1-21表 最近行われた消防庁長官による火災原因調査のうち消防法令の改正を行ったもの

第1-1-21表 最近行われた消防庁長官による火災原因調査のうち消防法令の改正を行ったもの

また、製品火災に係る火災原因調査の実効性の向上を図るため、消防機関に対し、製造・輸入業者への資料提出命令権及び報告徴収権を付与することとする消防法の一部を改正する法律が平成25年4月1日から施行された。

関連リンク

令和元年版 消防白書(PDF版)
令和元年版 消防白書(PDF版) 令和元年版 消防白書 (一式)  令和元年版 消防白書 (概要版)  はじめに  特集1 最近の大規模自然災害への対応及び消防防災体制の整備  特集2 G20大阪サミット及びラグビーワールドカップ2019における消防特別警戒等...
はじめに
はじめに 昨年は、令和元年8月の前線に伴う大雨や、台風第15号、台風第19号等の幾多の自然災害に見舞われ、また、7月には京都市伏見区で爆発火災が、10月には那覇市で首里城火災が発生するなど、多くの人的・物的被害が生じました。 振り返れば、平成は、阪神淡路大震災(平成7年)や東日本大震災(平成23年)...
1.令和元年8月の前線に伴う大雨の被害と対応
特集1 最近の大規模自然災害への対応及び消防防災体制の整備 1.令和元年8月の前線に伴う大雨の被害と対応 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和元年8月26日に華中から九州南部を通って日本の南にのびていた前線は、27日に北上し、29日にかけて対馬海峡付近から東日本に停滞した。また、この前線に向かっ...
2.台風第15号に伴う被害と対応
2.台風第15号に伴う被害と対応 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和元年9月5日3時に南鳥島近海で発生した台風第15号は、発達しながら小笠原諸島を北西に進み、非常に強い勢力となって伊豆諸島南部へと進んだ。 台風は、強い勢力を保ったまま、同月9日3時前に三浦半島付近を通過し、5時前に千葉市付近に上...