令和元年版 消防白書

はじめに

昨年は、令和元年8月の前線に伴う大雨や、台風第15号、台風第19号等の幾多の自然災害に見舞われ、また、7月には京都市伏見区で爆発火災が、10月には那覇市で首里城火災が発生するなど、多くの人的・物的被害が生じました。
振り返れば、平成は、阪神淡路大震災(平成7年)や東日本大震災(平成23年)など、大規模な災害の経験を踏まえ、被害の最小限化を目指して不断の努力を積み重ねてきた時代でした。
近年、我が国は気象の急激な変化や自然災害の頻発化・激甚化にさらされています。また、南海トラフ地震や首都直下地震も今後発生することが危惧されています。国民の生命・財産を守る防災・減災、国土強靱化は、一層重要性が増しており、新たな令和の時代においても、消防として、その体制をさらに充実強化していく必要があります。
令和元年版消防白書では、特集として、最近の大規模自然災害への対応等のほか、大阪サミット及びラグビーワールドカップにおける消防特別警戒等、外国人・障害者への対応、AI等の活用、緊急消防援助隊の充実強化、消防防災ヘリコプターの安全運航体制の強化、消防用機器等の海外展開、消防団を中核とした地域防災力の充実強化について記載しています。
第1章以下では、火災や風水害をはじめとする各種災害の現況と課題、消防防災の組織と活動、国民保護への対応、自主的な防火防災活動と災害に強い地域づくり、国際的課題への対応及び消防防災の科学技術の研究・開発について記載しています。
この白書が、消防防災に対する国民の皆様のご理解を深めるとともに、国や地方公共団体だけではなく、住民、企業も含めた総合的な消防防災体制を確立するに当たって、広く活用いただけることを願っています。
令和2年2月

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