令和元年版 消防白書

第6節 震災対策

[地震災害の現況と最近の動向]

1.平成30年中の主な地震災害

平成30年中に震度5弱以上が観測された地震は、11回(前年8回)であった(第1-6-1表)。

第1-6-1表 最大震度別地震発生状況の推移(震度5弱以上)

【出典】「気象庁資料」

第1-6-1表 最大震度別地震発生状況の推移(震度5弱以上)

※令和元年は平成31年1月1日から令和元年10月31日までの数値

なお、平成30年中の主な地震災害については、第1-6-2表のとおりである。

第1-6-2表 平成30年中の主な地震災害(消防庁が災害応急体制を整備したもの)

(平成31年4月1日現在)

第1-6-2表 平成29年中の主な地震災害(消防庁が災害応急体制を整備したもの)

(備考)「消防庁とりまとめ報」により作成

(1)沖縄県西表島付近を震源とする地震による被害等の状況

3月1日22時42分に沖縄県西表島付近を震源とするマグニチュード5.6の地震が発生し、沖縄県竹富町において、最大震度5弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した沖縄県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱を観測した竹富町に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

(2)島根県西部を震源とする地震による被害等の状況

4月9日1時32分に島根県西部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生し、島根県大田市において、最大震度5強が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)し、震度5強を観測した島根県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱以上を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震により、重傷者2人及び軽傷者7人の人的被害のほか、全壊16棟、半壊58棟及び一部破損556棟の住家被害が発生した。

(3)北海道根室半島南東沖を震源とする地震による被害等の状況

4月14日4時00分に北海道根室半島南東沖を震源とするマグニチュード5.4の地震が発生し、北海道中標津町において、最大震度5弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した北海道に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱を観測した根室北部消防事務組合消防本部及び中標津町に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

(4)長野県北部を震源とする地震による被害等の状況

5月12日10時29分に長野県北部を震源とするマグニチュード5.2の地震が発生し、長野県長野市、大町市及び小川村において、最大震度5弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した長野県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

(5)長野県北部を震源とする地震による被害等の状況

5月25日21時13分に長野県北部を震源とするマグニチュード5.2の地震が発生し、長野県栄村において、最大震度5強が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部を設置(第2次応急体制)し、震度5強を観測した長野県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5強を観測した岳北消防本部及び栄村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

(6)群馬県南部を震源とする地震による被害等の状況

6月17日15時27分に群馬県南部を震源とするマグニチュード4.6の地震が発生し、群馬県渋川市において、最大震度5弱が観測された
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した群馬県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱を観測した渋川広域消防本部及び渋川市に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害はなかったが、一部破損4棟の住家被害が発生した。

(7)大阪府北部を震源とする地震による被害等の状況

6月18日7時58分に大阪府北部を震源とする、マグニチュード6.1の地震が発生し、大阪府大阪市、高槻市、枚方市、茨木市及び箕面市において、最大震度6弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに消防庁長官を長とする消防庁災害対策本部を設置(第3次応急体制)し、震度5弱以上を観測した滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県及び奈良県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱以上を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震により、大阪府高槻市において、通学中の小学生がブロック塀の崩壊に巻き込まれるなど、激しい揺れに見舞われた地域を中心に、死者6人(大阪府)、重傷者62人及び軽傷者400人の人的被害のほか、全壊21棟、半壊483棟及び一部破損6万1,266棟の住家被害が発生した。
また、電気、ガス、水道などのライフラインにも多くの被害が発生したほか、鉄道をはじめとする交通機関にも影響が及び、多数の帰宅困難者が発生した。

(8)千葉県東方沖を震源とする地震による被害等の状況

7月7日20時23分に千葉県東方沖を震源とするマグニチュード6.0の地震が発生し、千葉県長南町において、最大震度5弱が観測された。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置(第1次応急体制)し、震度5弱を観測した千葉県に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱を観測した長生郡市広域市町村圏組合消防本部及び長南町に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
なお、この地震による人的被害及び住家被害はなかった。

(9)平成30年北海道胆振東部地震による被害等の状況

9月6日3時07分に北海道胆振地方中東部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生し、北海道厚真町において、最大震度7が観測され、気象庁はこの地震の名称を「平成30年北海道胆振東部地震」と定めた。
なお、この地震による津波は観測されなかった。
消防庁では、地震発生後直ちに消防庁長官を長とする消防庁災害対策本部を設置(第3次応急体制)し、震度7を観測した北海道に対し、適切な対応と迅速な被害報告について要請するとともに、震度5弱以上を観測した消防本部及び市町村に直接問い合わせ、被害状況の把握に努めた。
この地震により、強い揺れを観測した地域においては、住宅の倒壊や道路の損壊が多数発生したほか、200箇所を超える土砂災害が発生した。特に厚真町においては、大規模な土砂崩れが広範囲で発生し、同町吉野地区では山裾の住宅が土砂に巻き込まれ、多数の人的被害が発生したほか、札幌市清田区では、液状化現象により住宅や道路に大きな被害が発生するなど、死者43人、重傷者48人及び軽傷者734人の人的被害のほか、全壊469棟、半壊1,660棟及び一部破損1万3,849棟の住家被害が発生した。
さらに、地震の影響により、道内主力発電所の運転が停止したことに伴い、電力需給バランスが大きく崩れ、道内全域の発電所が停止し、道内全域で長時間にわたる停電が発生したほか、多くの市町村で断水が発生するなど、ライフラインにも大きな被害が発生した。

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