令和元年版 消防白書

5.消防表彰等

消防関係者等に対して、現在、国が行っている表彰等は附属資料2-2-1のとおりである。

(1)国の栄典

日本国憲法に基づく国の栄典としては、叙位、叙勲及び褒章がある。国の栄典制度については、21世紀を迎え、社会経済情勢の変化に対応したものとするため、平成14年8月の閣議決定により危険業務従事者叙勲の創設や勲等の簡素化などの見直しが行われ、平成15年秋から改正後の同制度が実施された。

ア 叙位

国家又は公共に対して功労のある者をその功労の程度に応じて、位に叙し、栄誉を称えるものであり、昭和21年(1946年)5月の閣議決定により生存者に対する運用は停止され、死亡者にのみ運用されている。
消防関係者については、消防吏員及び消防団員が対象となっており、階級と在職年数を要件とした運用基準に基づき叙されるものである。

イ 叙勲

国家又は公共に対して功労のある者に対して勲章を授与し、栄誉を称えるものである。
消防関係者については、消防吏員及び消防団員等が対象となっており、以下の種類に分けられる(第2-3-16表)。

第2-3-16表 叙勲

第2-3-16表 叙勲
叙勲伝達式
叙勲伝達式

ウ 褒章

自己の危難を顧みず人命の救助に尽力した者、業務に精励し衆民の模範である者、公衆の利益を興し成績著明である者や公同の事務に勤勉し労効が顕著である者、その他公益のため私財を寄附し功績が顕著である者等に対して褒章を授与して栄誉を称えるものである。
消防関係者については、消防団員及び女性(婦人)防火クラブ役員等が対象となっており、以下の種類に分けられる(第2-3-17表)。

第2-3-17表 褒章

第2-3-17表 褒章
褒章伝達式
褒章伝達式

(2)内閣総理大臣表彰

閣議了解に基づき実施されるもので、消防関係では昭和35年(1960年)5月の閣議了解に基づく安全功労者表彰と昭和57年(1982年)5月の閣議了解に基づく防災功労者表彰がある。総務大臣が行う安全功労者表彰等の受賞者及び消防庁長官が行う防災功労者表彰等の受賞者のうち、特に功労が顕著な個人又は団体について内閣総理大臣が表彰する(第2-3-18表)。

第2-3-18表 内閣総理大臣表彰

第2-3-18表 内閣総理大臣表彰

(3)総務大臣表彰

安全思想の普及徹底又は安全水準の向上のため、各種安全運動、安全のための研究、若しくは教育又は災害の発生の防止若しくは被害軽減に尽力し、又は貢献した個人又は団体等について総務大臣が表彰する(第2-3-19表)。

第2-3-19表 総務大臣表彰

第2-3-19表 総務大臣表彰

(4)総務大臣感謝状

消防団員が相当数増加した消防団、増加率及び増加数が相当である消防団並びに女性団員の入団が多かった消防団等に対して総務大臣感謝状が授与される。

(5)消防庁長官表彰

消防表彰規程(昭和37年消防庁告示第1号)に基づき、消防業務に従事し、その功績等が顕著な消防職員、消防団員等に対し消防庁長官が表彰する。その表彰の種類により定例表彰と随時表彰に大別される。

ア 定例表彰

3月7日の消防記念日にちなみ、毎年3月上旬に実施されるもので、その種類と内容は以下のとおりである(第2-3-20表)。

第2-3-20表 消防庁長官の定例表彰

第2-3-20表 消防庁長官の定例表彰

イ 随時表彰

災害現場等における人命救助等、現場功労を対象に事案発生の都度、実施されるもので、その種類と内容は以下のとおりである(第2-3-21表)。

第2-3-21表 消防庁長官の随時表彰

第2-3-21表 消防庁長官の随時表彰

(6)賞じゅつ金及び報賞金

賞じゅつ金とは、災害に際し、危険な状況下であるにもかかわらず身の危険を顧みず敢然と職務を遂行して傷害を受け、そのために死亡又は障害を負った消防職員、消防団員、都道府県航空消防隊職員又は消防庁職員に対し、消防庁長官表彰(特別功労章、顕功章又は功績章)の授与とあわせて支給されるものである。
報賞金とは、災害現場等において顕著な功労を挙げた消防職員、消防団員、都道府県航空消防隊職員又は消防庁職員で、賞じゅつ金が支給されるに至らない場合及び消防職員、消防団員、都道府県航空消防隊職員又は消防庁職員以外の部外者が消防作業に協力して顕著な功績を挙げた場合に支給されるものである。

(7)退職消防団員報償

永年勤続した消防団員の功労に報いるため、退職消防団員報償規程(昭和36年消防庁告示第3号)に基づき、その勤続年数に応じて消防庁長官から賞状と銀杯が授与される。

(8)消防庁長官感謝状

消防の発展に貢献し、その功績顕著な部外の個人又は団体に対しては、消防庁長官感謝状授与内規に基づき消防庁長官感謝状が授与される。

(9)その他

消防関係の各分野において功労のあった者に対し消防庁長官が表彰するものは次のとおりである(第2-3-22表)。

第2-3-22表 消防関係の各分野における表彰

第2-3-22表 消防関係の各分野における表彰

関連リンク

令和元年版 消防白書(PDF版)
令和元年版 消防白書(PDF版) 令和元年版 消防白書 (一式)  令和元年版 消防白書 (概要版)  はじめに  特集1 最近の大規模自然災害への対応及び消防防災体制の整備  特集2 G20大阪サミット及びラグビーワールドカップ2019における消防特別警戒等...
はじめに
はじめに 昨年は、令和元年8月の前線に伴う大雨や、台風第15号、台風第19号等の幾多の自然災害に見舞われ、また、7月には京都市伏見区で爆発火災が、10月には那覇市で首里城火災が発生するなど、多くの人的・物的被害が生じました。 振り返れば、平成は、阪神淡路大震災(平成7年)や東日本大震災(平成23年)...
1.令和元年8月の前線に伴う大雨の被害と対応
特集1 最近の大規模自然災害への対応及び消防防災体制の整備 1.令和元年8月の前線に伴う大雨の被害と対応 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和元年8月26日に華中から九州南部を通って日本の南にのびていた前線は、27日に北上し、29日にかけて対馬海峡付近から東日本に停滞した。また、この前線に向かっ...
2.台風第15号に伴う被害と対応
2.台風第15号に伴う被害と対応 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和元年9月5日3時に南鳥島近海で発生した台風第15号は、発達しながら小笠原諸島を北西に進み、非常に強い勢力となって伊豆諸島南部へと進んだ。 台風は、強い勢力を保ったまま、同月9日3時前に三浦半島付近を通過し、5時前に千葉市付近に上...